一公の将棋雑記

将棋に関する雑記です。

2月19日の4時から男(中編)

2017-02-27 01:37:14 | 新・大野教室

第3図以下の指し手。△7二銀▲4四成銀△5一飛▲3三成銀△5四歩▲4二成銀△5三飛▲7五桂△6二金引▲4五金△7四歩▲5四歩△7三飛▲8五桂△7五歩▲7三桂成△同金▲4四角△5六桂(第4図)

大野八一雄七段はとうに指導対局を終わり、早くからこの将棋を観戦していた。
私は▲4四成銀から▲3三成銀。桂を得しても成銀の動きがおかしく、変調である。
△5四歩に▲同歩△同金▲5五歩は△6五金がある。△5四歩を横目に私は飛車と金を責めるが、なんとなくおかしい。
以下▲7三桂成△同金で駒得を拡大したが、厳密には二枚換え。「おかしい、この指し方は違う気がする」とつぶやいた。
私は▲4四角と出て一手勝ちを狙うが、△5六桂が飛んできた。

第4図以下の指し手。▲2一飛△6八桂成▲同金△9二玉▲4三角△5六桂▲6九金△2九飛▲7九金△5七銀成▲6一角成(第5図)

△6八桂成▲同金に、Sar君は△9二玉の秘手。今の子供はこんな手も手筋の一つとして覚えているのだ。これではオトナが敵わないわけである。
▲4三角は冴えないがほかに手が見えなかった。Sar君は再度の△5六桂。まったく、いい駒を渡してしまった。
▲6九金に△2九飛が詰めろ。まさかこの将棋に詰めろがかかるとは思わなかった。
とはいえ▲6一角成で先手が一手勝っていると思ったのだが…。

第5図以下の指し手。△6七成銀▲同玉△7九飛成▲5六玉△6五金▲5七玉△5六歩▲5八玉△6一銀(投了図)
まで、Sar君の勝ち。

△6七成銀をうっかりした。△6一同銀▲同飛成△7九飛成▲同玉△6八桂成▲8八玉△7九角▲9八玉で不詰みと読んでいるのだから話にならない。
▲6七同玉△7九飛成に、私は秒に追われて▲5六玉。一手の価値がないが、ここではどう指しても私が負けている。勝ち将棋鬼のごとしとはよく言ったもので、半分タコだった△3七銀・△4八銀が綺麗に捌けている。私は呆れる思いだった。
Sar君は決めるだけ決めて△6一銀。アホらしくなって投げた。

「この将棋を負けるかね」
私は自嘲する。前々回の将棋もヒドイ逆転負けだったが、この将棋もヒドイ。またく、アホちゃうか。
感想戦は大野七段が加わってくれた。
まず、第1図からの▲4五桂△4二角▲5三歩には、△5四歩と銀出を防いで後手十分とのこと。私はこの手が見えておらず、命拾いをした。
続く▲4三銀△5三角(第2図)に▲同桂成は普通の手の認識だったが、大野七段は▲3三桂成!を指摘した。なるほどこうやって無条件に桂得すれば、次に▲4二成桂や▲4二銀不成を見て、先手は指す手に困らない。
さらに途中図の▲5五歩もヘンな手で、「なぜ▲5六歩(参考1図)と打たないんですか」と大野七段。

そうか言われてみればそうだ。同じ受けるなら角道を通したまま受けるのが当然だ。これなら後の△5六桂もなかった。
さらに▲4四成銀~▲3三成銀もヘンな動きで、▲3三成銀では▲4二角がよかったとのこと。
決定的な悪手が第4図からの▲2一飛。ここは▲5二成銀(参考2図)だった。

以下△6八桂成▲同金△5六桂には▲6一成銀で先手勝ち。
「ヨコに利く駒を残しておかなきゃダメだよ」
と大野七段。そういえば前々局のOg氏との将棋でも、持駒に金がなくて苦労したのだ。あの時の教訓がまったく活かされていない。本局も、遊んでいる成銀を活用させるのは普通の感覚で、この手を逃したのは不覚というほかはなかった。
ほかの将棋は、W氏が珍しくE氏と対局していた。しかし終盤読み抜けがあって、トン死。それがW氏らしい。
感想戦を終えたあと、W氏が悔しそうだったので、大盤で並べてもらう。
「でもさあ」とW氏がつぶやく。「アマ四段同士が指しているのに、これだけダメ出しされるって、どんだけレベルが違うんだろうね」
私たちのさっきの将棋だ。まったくおっしゃる通りで、私は苦笑するよりなかった。
(つづく)
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