以下の指し手。△2六歩▲2五桂△3一金▲同桂成△2七歩成▲2二竜△同玉▲2一金
まで、先手氏の勝ち。
私はさして考えず、ひょいと△2六歩と突いたが、これがココセ級の大悪手。先手氏にすかさず▲2五桂と打たれ、一遍に後手敗勢になってしまった。まったく、呆れるほかない。
このままでは▲1三歩以下詰むので(←これは錯覚だった)私は△3一金だが、▲同桂成△2七歩成のあと、後手玉は▲1五香と走られて詰むか…と考えているのだからおめでたい。
先手氏に熟考後竜を切られ、後手玉が簡単に詰んだので二度呆れた。
感想戦。△2六歩に換えて△4二銀を検討したが後手よし。△3一金~△4五角~△4七歩成の変化もやったが、やはり後手よし。つまりどの変化も△2六歩以外は後手勝ちで、自己嫌悪に陥るばかりだ。さらに大野八一雄七段が検討に加わってくれたが、「単に△4七歩成で勝ちでしょ」と即答されたのにはクサッタ。この手でいいのか!
△4七歩成はチラッと見えたが、遅い気がしてほとんど読まなかった。しかしこうなれば△4二歩は利くし、たしかに後手負けようがない。
もう、この将棋を負けるようじゃ勝てる将棋がありませんよ。
(註:読者からの指摘で、△2六歩は悪い手ではなく、真の悪手は△3一金だったことが判明した)
ほかの対局、Wパパ氏は快勝し、Kaz-Has戦が最後になったが、Kaz氏が優位に進めていたようで、結局は勝利。チーム2勝目となった。
以上全4局が終了し、チームは2勝2敗、個人では1勝3敗となった。私の1勝は拾い物だったばかりか、勝っても負けてもチームの勝敗に関係がなかった。つまりきょうの私は、いてもいなくてもよかったのである。
傍らにFuj氏がいたので、
「きょうはオレとFujさんが最悪だったね」
と言うと、
「私は最初1勝しましたから」
とFuj氏はつれない返事。
「……。もうダメだ。オレ、フリークラスに行きます」
私が嘆くと、大野七段が
「ダメですよ大沢さん、これからは教室に月4回来てくださいよ」
と、妙なハッパをかけてくれた。
時刻は午後4時を過ぎ、打ち上げである。駅前の居酒屋に繰り出したが、まだ陽が高いので、どこも準備中だ。
そこをHon氏が交渉し、某居酒屋に入ることができた。
長テーブルに全員が着く。ではここで、席の配置を記しておこう。
Ya Taga Ok Shin Wata Hos
Hon Wパパ
入口 Hat Fuj E 一公 Kaz
大野七段は支部関係者と打ち合わせがあり、遅れて参加予定。全員飲み放題につまみのセットメニューを頼み、乾杯した。
各自、本日の成績とともに自己紹介をする。私の「1勝3敗」は、12人中最下位だったのではなかろうか。チーム成績も、最高で2勝2敗だったようだ。
歓談に入るが、このメンバーでは、話題は将棋のことしかない。
和田あき女流初段はマイナビ女子オープンで挑戦者決定戦に進出している。決勝戦は3月9日(月)で、私たちの注目も高い。Fuj氏などは半休を取ってネット観戦するそうで、その熱心さには頭が下がる。
小一時間経ったころ、Ya氏が退席。入れ替わるように、U君親子が来た。U君がここに来れば、将棋を指すしかない。Hat氏が相手になった。
Wパパ氏は4月から勤務地が変わるそうで、それまでに将棋合宿をしたいという。私は参加するつもりはないのでどうでもいいが、例えば3月は21日(土・祝)に府中でLPSA、29日(日)に池上本門寺で女流棋士会のイベントがある。もちろん大野・植山教室もあるし、開催は難しいのではないか。
Hat-U戦は、U君がうまく指している。Hat氏も終盤になって本気を出したがU君も間違えず、快勝。実力を示した。
遅くなったが、大野七段も到着。みなで談笑するが、私は昼の敗戦が尾を引いて、仏頂面である。
時刻は午後8時近くになり、とりあえず中締め。Hon氏は二次会にカラオケを用意しており全員が臨むようだったが、U親子とはここでお別れ。店の前まで来ると、Kaz氏、Shin氏、Ok氏、E氏が消えていた。
翌日は仕事だからここで帰宅するのが賢明というもので、私も「ダイ・ハード5」や「流星ワゴン」を見たかったのだが、人恋しくてズルズル残った。
部屋に入って気が付けば、参加者は男ばかり9人で、打ち上げの席では初めてだ。テンションも下がるが、みんなは気にしているふうではない。
しばし将棋談義に花を咲かせていたが、これではいかんとカラオケに興じる。大野七段は拒絶する人がいないのをいいことに、「同期の桜」を歌う。「5番まで歌わせてくれるとは、初めてです」と満面の笑みだ。二度目は「荒城の月」を朗々と歌い上げ、ここだけがバリバリの昭和だった。
ちなみに大野七段の三曲目は少年隊の「仮面舞踏会」で、Fuj氏との合唱。少年隊ならぬ中年隊で、脂ぎっていた。
ヒトの歌ばかり聴いてもしょうがないので、私も歌う。まずは「思えば遠くへ来たもんだ」。この歌を歌うと、むしょうに旅に出たくなる。
2曲目はHon氏のリクエストで、「炎のたからもの」。映画「カリオストロの城」の主題歌である。
3曲目は富田靖子の「オレンジ色の絵葉書」。この曲の発売前後、私は静岡の女子高生と文通をしていて、彼女が富田靖子の雰囲気に似ていた。この曲を聴くたび、その彼女を思い出すのだ。
みんなで2時間半ほど楽しく歌って、そろそろお開きの時間である。
大野七段講評「支部大会は、参加する支部が少ない中、我がチームからは30数人の会員の中から10数人も出場していただき、うれしく思っています。それにみんな仲がいい。これはほかの支部にはないもので、私は感心しています。来年以降も頑張りましょう」
午後10時半、散会となった。
私はトイレに行くタイミングを逸し、帰りの電車で我慢できなくなり、いったん電車を降りた。あと一駅乗っていたら、私は漏らしていただろう。本当にあぶないところだった。