一公の将棋雑記

将棋に関する雑記です。

新緑の北海道2014・1「滝川→釧路2429D列車」

2015-02-18 00:13:02 | 旅行記・北海道編
私は滝川駅のみどりの窓口に行き、遠軽までの切符を買った(9,930円)。といっても函館本線の旭川回りではなく、根室本線→釧網本線→石北本線回りである。
ここまで長距離の切符を買うのは、そこまでの予定がほぼ出来上がっているのと、長距離逓減制といって、長距離になるほど1kmあたりの料金が安くなるからである。
私がこれから乗るべき列車は09時37分発の「2429D普通列車」で、これが「日本一」なのだ。
この終着は東北海道にある釧路で、駅数は合計48、距離308.4kmとなる。注目すべきは到着時刻で、18時02分。つまり滝川から8時間25分もかかり、普通列車日本最長の運行時間となっているのだ。
まさに鉄道ファンなら一度は乗っておきたい列車で、いつも雪まつりばかり観光している私にとって、今回は恰好のチャンスであった。
参考までに、最長距離を行く普通列車は、山陽本線岡山発・新山口行きの371M列車で、その距離315.8kmだが、所要時間は6時間足らずである。
釧路行きの電光表示を確認して、改札を抜ける。階段の手前に「日本一運行時間がなが~い定期普通列車」のポスターが貼られており、いやが上にも期待が高まる。
釧路行きのホームに着くと、白い北海道ボディーのキハ40が入線していた。といっても1両で、日本一の列車にしてはさびしい扱いだった。
側面の列車行先札(サインボード→サボ)には、「釧路:日本一長い距離を走る定期普通列車(2429D)」と記されていた。こういう細かいサービスはうれしい。



早速乗車するが、中は先客でいっぱいだった。
きょうは平日、「青春18きっぷ」の適用期間でもなく、余裕で座れると思ったのだがアテが外れた。
厳密には満席ではないが、ボックス席には私と同病の鉄道ファンが座っていて、他者の介入を拒絶している。私もその気持ちは痛いほど分かるので、まずは立っていくことにした。
定刻に発車。座っていれば景色を楽しめるのだが、立っていては景色を観る余裕はない。ただこの辺りは、炭鉱で栄えた町である。
10時48分、富良野着。ここでけっこうな客が下車した。当然ながら一般観光客も乗っていたわけで、富良野線沿線にはラベンダー畑、美瑛の丘など、見どころがたくさんある。
ただしここから先、とくに釧路まで乗り通す手合いは、鉄道ファンしかいない。
ここで、前方に1両の増結があった。私は増結作業を見物したのち、前の車両に乗った。13-A席およびこのボックスシートが、終着までのマイハウスとなる。
11時06分、2429Dは富良野を発車した。
11時38分、金山発。しばし走ると、左右に大きな湖が見えてきた。金山湖である。列車に乗っていながら絶景を拝めるのはラクでよい。
11時57分、幾寅着。ここは1999年に公開された「鉄道員(ぽっぽや)」の舞台で、駅名標は当時の「幌舞駅」がそのまま使われている。映画が駅名まで変えてしまった、珍しい例である。
ホームの花壇には、ラベンダーが咲いている。駅舎の向こうには、映画で使われたと思しきエビ茶色のディーゼルカーが留め置かれているが、ここで下車するわけにはいかない。繰り返すが、きょうは午後6時過ぎまで、このボックスシートで過ごすのだ。
釧路までの根室本線を普通列車で乗ったことは少ないが、一駅ごとに停まると、それぞれ味のある駅舎が覗え、乗っていて楽しい。先を急ぐばかりが旅ではないのだ。
落合着。待ち合わせ時間があるので、ホームに降りる。この束の間の息抜きが心地いい。ローカル線の醍醐味である。
落合を出発し、数キロ走ると、トンネルに入った。いわゆる新狩勝トンネルで、全長は5648mある。
トンネルを抜けると、大パノラマが展開した。この辺りから新得までが日本の三大車窓のひとつに数えられる絶景で、狩勝峠から十勝平野を一望できる。
もっともここは新線で、旧線からの眺望は新線以上だったという。いまではそれを国道から眺めることができる。
ところで後方の車両の客は、こちらの車両に移動しないのだろうか。前のほうが客も少ないし、何となく気分がいいと思うのだが。
もっとも彼らには、一度座った席で釧路まで乗り通したい、という思いもあるかもしれない。
こちらの車両は、ボックス席に一人いるかいないかぐらいの感じ。ただ、鉄道ファンの割合は相当高い。胸にバッジを付けている人が何人かいるが、彼らは団体行動なのだろう。みんな嬉々としている。
12時45分、新得着。ここは石勝線の乗り換え駅。ここから先、釧路まではこの根室本線1本となる。
新得は蕎麦が有名で一度食したことがあるが、美味かった。しかしここでも下車するわけにはいかない。きょうは今後、こういうケースがたびたび出てくるのだろう。
芽室(めむろ)13時26分着。出発まで18分あるので、またホームに降りる。仮に駅前に郵便局があったとして、何分あれば戻ってこられるだろう。しかし乗り遅れたら一巻の終わりだし、第一きょうはもう、旅行貯金をしてしまった。
13時48分、大成(たいせい)着。ここが行程のほぼ真ン中である。
14時10分、帯広着。ここはかつて、愛国駅と幸福駅を擁する広尾線と、ローカル線の代表格である士幌線が接続するジャンクションだったが、両線はいずれも1987年に廃止されてしまった。また帯広駅自体も1996年に高架になり、廃線当時の面影は失われている。
そして帯広は言うまでもなく、渡部愛女流初段の出身地である。
ここは本当に降りたいと思う。愛女流初段も入ったことがあるというレストラン「ふじもり」で食事を摂りたいが、今回は時間が許さない。
25分の待ち合わせだったがどうすることもできず、14時35分発。
15時09分、池田に着いた。池田は十勝ワインが有名で、ワイン城もある。私には縁がないが、この辺りの牛肉は美味い。
ここ池田もかつては「北海道ちほく高原鉄道(旧JR池北線)」が通じていたが、2006年に惜しまれつつ廃止された。
列車は走る。時は6月だが、車窓から見える木々は萌え、葉は鶯色だ。新緑の時期ではないが、そう思わせる若々しさがある。最高の贅沢だと思った。
(つづく)
コメント (4)
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