一公の将棋雑記

将棋に関する雑記です。

東十条囲碁将棋サロン初見参(後編)

2014-04-10 00:13:59 | 東十条囲碁将棋サロン
S君は小学生ながら、大野教室とわらび教室の常連である。時折キラリとした手を指し、私がいままで対戦してきた少年の中では、最も才能を感じる。ちょっとふてぶてしいところもあり、本人がその気になれば、奨励会でもかなり上の方へ行くと思う。
「S君、大沢さんに(平手で)勝ったら四段の力はあるよ。がんばれ」
と大野八一雄七段がハッパを掛ける。しかし私はそんなに強くない。これは私へのプレッシャーになってしまう。
S君の先手で▲7六歩△3四歩▲2六歩△8四歩。これにS君は少考して▲6六歩。矢倉志向だ。この指し方は矢倉党のFuj氏の常套手段で、「Fujシステム」とも呼ばれる。
実はS君にこの指し方をされるのは2度目。S君は対振り飛車では100%穴熊に囲う。つまり玉を固めるのが好きなわけだが、相掛かりや横歩取り系の将棋を避けているようでは、天下を取れない。いまは好きな戦法を指していればいいが、早いうちに玉の薄い将棋を勉強したほうがいいだろう。
相矢倉になったが、私が△6四角の前に△5三銀と指したため角の運用に手間取り、作戦負けに陥ってしまった。
私が敗勢になったが、S君が明快な決め手を逃す。しかし私も緩手のお返しをして、傍目には見ごたえのある勝負になった。
そうして迎えた終盤が、下の局面である。

先手・S君:1六歩、1九香、2三歩、3四銀、4三歩、4四金、5二角、5六歩、6三成桂、6六歩、6七金、7七銀、7八歩、8七金、8八玉、8九桂、9七歩、9九香 持駒:なし
後手・一公:1一香、1三歩、2一桂、2八竜、2九と、3一玉、4五歩、5一桂、5四歩、7五歩、8四飛、9一香、9三歩 持駒:角、金、銀2、歩5
(▲2三歩まで)

以下の指し手。△3五角▲4二歩成△同玉▲4三金△同桂▲同銀成△5一玉▲6八桂△3九竜▲4一角成△6一玉▲5一馬 まで、S君の勝ち。

私は△3五角と詰めよ金取りに打った。先手の持ち駒はナシなので受けようがないのだが、S君はなかなか投げない。
熟考後、S君は▲4二歩成以下手順を尽くし▲6八桂と受けた。なるほど受けはあるものだ。
私は戸惑いながら△3九竜だが、▲4一角成以下の王手飛車をうっかりしていた。ここで植山悦行七段とS君が勝手に感想戦を始めだし、私は強制的に?投了となった。
S君が対局者なので、初手から感想戦が進められた。将来性のある子に植山七段は厳しい。本局もそうなったが、実際に負けたのは私だから、私が説教されているような気がした。
そして問題の局面。植山七段の検討によると、ここで△7九銀はなかったかと言う。▲9八玉は△7八竜なので、▲7九同玉の一手。そこで△4六角と打つ。対して▲6八銀や▲6八金は大駒2枚を切って△5七銀で詰みなので、▲6八銀と打つしかない。
これで後手玉への詰めろが消えたので、△8七飛成で後手勝ち、というものだった。
先に△7九銀捨てとは、将棋は奥が深い。そして改めて、男性棋士の読みの深さに感嘆したのだった。
本譜は▲6八桂受けも余計で、ここに桂を受けなくても、先手玉は詰めろではなかったようだ。もっともそれでも後手に勝ちがないのだから、泣けてくる。
このあとはW氏と指す。いまさら、という気もするが、ほかに指す相手がいない。
W氏の先手中飛車となったが、どうも指し手がぎごちなく、気がついたら私の勝勢になっていた。
「もう一局指しましょうか」
がW氏の投了の合図だった。
2局目もW氏が先手中飛車で、私が大きな作戦勝ちとなったが、楽観した私が緩手を連発してしまう。そこでW氏が▲5四桂とふつうに指せば勝ちだったのだが、実戦はスジっぽい角を打ったので、ややヨリが戻ってしまった。最後は私の逆転勝ち。
W氏は先天的に将棋に明るく、いつも局面の急所に手が伸びる。しかし本人は考えているつもりで、何も考えていない。そこがスゴイのである。まあそんなわけだから、正確な読みを要求される終盤では、大ポカがよくある。これを克服したら、W氏はすぐに三段だろう。
もう将棋サロンは客が来ないようだ。囲碁サロンのほうを見ると、おじさんばかりだがかなりの盛況である。我が将棋サロンは、オリジナルの客を増やしたいところだ。
続けてWat氏と指す。いつもは私の駒落ちだが、今回はWat氏の希望で平手となった。
私の四間飛車に、Wat氏の棒銀。しかし定跡とは恐ろしいもので、私がふつうに指していたら、私の作戦負けになってしまった。
飛車を3筋に見合い、Wat氏は▲2四歩△同歩▲2二歩。これには△2五歩が習いある切り返しで、▲同銀は△2二飛以下後手優勢となる。
よってWat氏は▲2一歩成だが、△2六歩に▲2四桂の飛車取りが早まった。ここは▲2二とがよく、△同飛とは取れぬので勢い△2七歩成だが、▲3二と△3八との飛車の取り合いは、先手に分があった。以下は私の勝ち。
時刻は午後9時40分を過ぎ、きょうはここまで。植山七段、W氏と近くの中華料理屋に入る。私は牛丼を食べていたからここは軽く…と思ったが、五目ソバと半チャーハンのセットを頼んでしまう。どこまで意地汚いのだろう。
食後はバカ話。しかし内容が危険すぎて、ここには書けない。
店を出て本屋に出ると、すぐ脇にもサロンに通じる階段があった。ここからだとサロンは4階になる。整理すると、東十条駅の北口改札を出て左折する。通路の右側に書店が見えてくるので、その手前脇の階段を4階まで上がれば、そこが東十条囲碁将棋サロンである。駅から徒歩1、2分というところだ。
(帰宅後考えたのだが、S君との将棋の終盤、△7九銀のほかに、たんに△2四角でも後手の勝ちのような気がしてきた。対局中は△3五角が金取りにもなって味がいいと思ったのだが、終盤の忙しいとき、金を取っているヒマはない。ここは4二と5一に利かす△2四角がベターだった。
また▲6八桂のあとも、△8二飛と引いておけば、先手が後手玉を寄せるのは大変だった気がする。これなら桂受けを疑問手にできたかもしれない。まあ私の負け将棋だったこともあり、これ以上研究する気は起きないが…)
コメント
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