一公の将棋雑記

将棋に関する雑記です。

65たび大野教室に行く(後編)

2014-04-22 00:05:52 | 大野教室
続いてHanaちゃんとリーグ戦を指す。これは「第2回・大野八一雄杯リーグ戦」で、私の開幕戦である。リーグ戦は今年の4月から9月まで。私は教室の出席率がよくないので、全局指せるかどうか分からないが、参加する以上、ベストを尽くすつもりだ。
注目の手合いは、Hanaちゃんの希望で平手。これはまあ当然だが、Hanaちゃんは先のFuj氏とのリーグ戦では、角を落としてもらったらしい。
ということは、私対Fuj氏の手合いも「角」になってしまうが、まあいい。
私の先手で▲2六歩△3四歩▲2五歩△3三角。Hanaちゃんの得意はゴキゲン中飛車だから、こう指したら普通の中飛車にするかと思いきや、Hanaちゃんは角を換えたものの、なかなか飛車を振らない。しまいには居飛車で来られ、すっかりアテが外れてしまった。
この間私は5筋の歩を突き、二段玉に構えている。一杯食ったと指し手を進めていたが、思ったほど形勢は悪くなかったようだ。以下むずかしいところはあったものの、何とか勝利を収めることができた。
北島忠雄六段の指導対局は続いている。きょうは生徒が多いので、北島六段も大変だろう。感想戦での口調は女性的でゆったりとして、呉服問屋の若旦那という趣がある。「北島」と書いて「おだやか」と読むようだ。
続いてSat氏ともリーグ戦を指す。Sat氏は大野七段、植山悦行七段とは平手で指導対局を受けており、何回も白星を勝ち取っている。教室一の強豪である。
しかし私と対峙したとき、Sat氏が意外にも、
「大沢さん、苦手なんだよなァ…」
と、ぼそっとつぶやいた。
Sat氏と私の対戦成績は2勝2敗だが、Sat氏には私に負けた記憶だけが残っているのだろう。
将棋は私の三間飛車。右玉の得意なSat氏には、振り飛車がよい。強制的に左玉にしてしまうのである。Sat氏は居飛車穴熊に構えた。
私は▲5七角から▲6五歩~▲7四歩と決戦に出る。飛車交換ののち一手先に桂を取り、▲6五桂と跳ねたところでは、先手が指しやすくなったと思った。
では中盤の局面を記そう。

先手・一公:1五歩、1九香、2七歩、2八玉、2九桂、3七歩、3八銀、4七歩、4九金、5七角、5八金、6五桂、6七銀、8一竜、8七歩、9七歩 持駒:桂、歩2
後手・Sat氏:1一玉、1二香、1三歩、2一桂、2二銀、2三歩、3一金、3四歩、4一金、4二角、4三歩、5五銀、7四歩、8五歩、9一香、9三歩、9九竜 持駒:香、歩3
(△5五同銀まで)

以下の指し手。▲5六歩△6六歩▲5五歩△6七歩成▲同金△4四香▲5八銀△9七角成▲7五歩△5六歩▲同金△7五馬▲6六歩△7六馬▲5三桂不成△3二金右▲4一桂成△6七銀▲3一成桂△同銀
▲6八桂△5六銀成▲同桂△5八馬▲同金△4九銀▲5九金打△3八銀成▲同玉△6七銀▲4四桂△同歩▲6七金△5九竜▲4八銀△2六桂▲同歩△2九竜▲同玉△2七金
▲3八飛△4五桂▲2八香△3八金▲同玉△5八金▲4九銀△5七桂成▲同金△4九金▲同玉△7九飛▲5九桂△5六歩▲5八金△5七桂▲同銀△同歩成▲同金△5六歩
▲同金△6七角▲5八銀△5六角成▲5四角△2九銀▲3九金△5九竜▲同玉△5七銀▲6九金△6七桂▲4九玉△5九金 まで、Sat氏の勝ち。

私は穏やかに▲5六歩と打ったが、▲5三桂打とするべきだった。本譜は金が上擦り、よくなかった。
それはいいとして、ヘタをやったのが▲7五歩だ。こんなところに歩を打つバカはいない。感想戦で大野七段に、
「指す手が分からないときは、駒得する」
と言われたが、とすると、▲9一竜だったか。
もっとヒドかったのが、次の▲6六歩だ。何とも気合の悪い手で、これは将棋の手ではない。植山七段がいたら、怒鳴られているところだ。Sat氏にすかさず△7六馬と覗かれ、次の△6七銀が受けづらい。一瞬の暗転に、目眩がした。
▲5九桂と受けても一時凌ぎなので、目をつぶって▲5三桂不成とやった。
しかしSat氏にも緩着が出る。苦し紛れの▲6八桂に△5六銀成としたのがそれで、ここは△5八銀成でSat氏の必勝だったと思う(△6八同銀成▲同角△5八馬▲同金△3九銀もあった)。先手側は負担の金が消え、桂の二段跳びで4四の香まで消去できては、また私に利のある形勢になった。
ところが△4四同歩に▲6七金と指したのがまた悪手だった。ここは感想戦後の感想戦でFuj氏に教えてもらったとおり、▲6五角と打つ一手だった。
対局中は△5八銀成とされ自玉がヤバイと思ったのだが、構わず▲3二角成が利いたらしい。これを△同銀は▲2二金!△同玉▲3一銀△3三玉▲4二銀打△4三玉▲8三竜△5二玉▲5三銀成△6一玉▲6四香!で、綺麗に詰んでいたのだ!! 手順中、銀を残して先に金を捨てるのがミソである。
考えてみれば、△6七銀の瞬間に後手玉を寄せる、これが将棋の王道であろう。▲2二金からの即詰みは読めないにしても、▲6五角ぐらいは一発利かしそうなものである。
▲6五角のほかには▲7九歩と竜を遮断する手もあり、これでも先手が指せただろう。時間がなかったからやむを得ないが、それにしたって▲6七金はなかった。今年、最も悔やまれる一手であった。
ところがところが、Sat氏にもまた悪手が出る。△2九竜では△2七金~△2九竜で先手は寄っていた。
本譜は当然ながら▲3八飛が粘りある手。これで再び先手が息を吹き返したのだが、▲2八香がまたまた疑問で、以下いろいろあったもの、無念の敗戦となってしまった。
半年前のリーグ戦に続き、またも好局を負け。あまりにも悔しいので、Sat氏が去ったあとも、名前の知らないおじさんに、感想戦を付きあってもらった。
そしておじさんが帰ったあとも、今度はFuj氏を捕まえて、感想戦の続きをやる始末。これでは私も立派な将棋バカの仲間入りである。
しかしFuj氏は穴熊崩しに精通しており、感心した。先の▲6五角のほか、▲3三香△同桂▲3二金の筋も教えてもらった。
そういえば現在発売中の「将棋世界」付録は「及川拓馬五段の囲いはこう破れ(穴熊編)」なのだが、私は定期購読の申し込みが遅れ、購入しなかった。その報いがここで出たか。
北島六段と和田あき女流3級の将棋が終わり、気が付けば午後8時にならんとしている。
いつも大野教室は終了が遅いが、きょうは一段と遅かった。北島六段も疲労がたまっただろう。お疲れさまでした。
食事は、大野七段、北島六段、Og氏、和田女流3級、Hanaちゃん、W氏、Fuj氏、私の8人。近くの「ガスト」に行った。
新顔の先生がいらっしゃると緊張するがそこはそれ、打ち解けてくればいつもと変わらない食事だ。北島六段は相変わらずやわらかい物腰である。おしゃべりの時間は短かったが、楽しかった。
北島六段とは帰りの方向がいっしょで、そこでもいろいろ話す。といっても、私の一方通行である。そしてその内容はやはり、ここには書けない。
コメント
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