一公の将棋雑記

将棋に関する雑記です。

沖縄旅行2013・3「やむを得ぬ社会科見学」

2013-09-09 00:24:14 | 旅行記・沖縄編
一日乗車券の裏には、「-8月14日11時迄」と印字してあった。
あすの11時まで? …あっ!!
一般的な一日乗車券は、ふつうは「当日限り有効」である。ところがこの乗車券は、丸一日、つまり24時間有効なのだった。これは珍しいし、良心的でもある。これならあす那覇空港に向かう際には、実質タダで行けることになる。貧乏旅行の身には、ありがたいことであった。
首里13時50分発、壺川14時08分着。ホームに降りてみて気が付いたのだが、壺屋通りの最寄駅はここではない。手前の牧志だ。壺つながりで、うっかりして壺川まで来てしまった。私としたことが、何たる初歩的なミス。沖縄本島はガイドブックがないと、からっきしダメだ。
10分待ちで下りのモノレールに乗り、14時26分、牧志着。ここから壺屋通りは近いはずだが、よく分からない。道を歩いていたおばあに聞いたら、懇切丁寧に教えてくれた。地元の人に道を聞く、はいちばん確実な方法だ。
壺屋通りに着いた。空はどんより曇っており、雨がポツポツ降ってきた。私は雨男だから覚悟はしていたけれど、ちょっと早すぎないか?
私は逃げるように、通りのたもとの「壺屋焼物博物館」に入った。通常は315円だが、ここも一日乗車券の威光が利いて、252円で済んだ。ここまでで600円のモトは十分取っているが、前述のとおり、明朝のモノレールも使える。この乗車券は本当に使いでがある。
壺屋焼物博物館は、その名のとおり、古い焼物が置かれ、その歴史が各所に記されてあった。中央のフロアの白い壁は、それ自体がスクリーンの役割を果たしていて、映画にて、焼物の匠の仕事ぶりが紹介されていた。まったく、沖縄まで来たのに、きょうは社会科見学の連続だ。
その一隅に、昭和初期(だったと思う)の沖縄の民家が再現されていたが、私などはむしろこちらのほうがおもしろかった。もっとも拙宅だって戦後すぐに建てられた家だから、この民家と大して変わらないのだが。
壺屋通りの戦前・戦後の地図があったが、この通りの突き当たりには、昔路面電車が走っていたらしい。今朝私が泊高橋に向かう時に通った崇元寺通りに、かつて電車が走っていたことは知っているが、その鉄路がここまで通じていたということか。言うまでもないが、これらはさきの出来事で、路面は徹底的に破壊され、復旧されることはなかった。いつかヒマがあったら、同じ道路を廃線跡探訪してみたいが、まあ、無理だろう。
博物館を出て、壺屋通りをぶらぶら歩く。道の両端に、文字どおり壺屋が連なっている。私は焼物にあまり興味はないし、店に入ったところで冷やかしなるので、表から眺めるだけに留める。
通りの終点は、大通りに接していた。ここを電車が走っていたのだ。東京でもそうだが、路面電車の廃止後の痕跡はまったくない。しかし電車が走っていたことを想像すると、切ない気持ちになるのである。
ここで引き返す。右手に坂道があったので登ってみると、「ぶくぶく茶」を飲ませる喫茶店があった。といっても、そこは民家そのものである。
「家の撮影はご遠慮ください」の貼り紙がある。あまりいい気持ちはしないが、ここは有名な店なのだろうか。喉も渇いたので、木戸をくぐって入ることにする。
中はやっぱり民家そのものだった。男性1人、を告げると、入口の脇に案内された。廊下の突端の気もするが、そこの席に座ると、表が見えた。それはいいがこの雰囲気、ウチのそれにそっくりだ。
以前、松尾香織女流初段の故郷である広島県下蒲刈島の民俗資料館にお邪魔したときも、部屋の雰囲気がウチそっくりで、複雑な気分になった。
今回も、この民家で茶を喫するところにウリがあるのは理解したが、あまり有難味はなかった。
予定どおりぶくぶく茶を頼むが、値段が800円となっていてビックリした。せいぜい500円とフンでいたので、これは大きな誤算だった。
ぶくぶく茶がきた。これはさんぴん茶を泡だてたもので、湯飲みのさんぴん茶の上に、ふんわりと泡が盛り上がっている。いままでは「ぶくぶく茶=コーヒー」と理解していたのだが、どうもこちらが本当のようだ。
今回は冷茶である。泡といっしょに飲む。まあ、うまいが、しょせんお茶である。
と、表の雨が本降りになってきた。いや雷も鳴って、これはゲリラ豪雨だ。まさか沖縄でもゲリラに遭うとは…。今回の旅行では傘を持ってきていない。私は雨男だけれど、少しでも荷物を軽くしたい、は人情であろう。
もうぶくぶく茶は飲み終わったが、これでは店を出るに出られない。そのまま15分くらい留まっていると、店の女性が「傘をお持ちでないなら、ビニール傘を差し上げますが…」と申し出てくれた。たぶん親切心からなのだろうが、私には「そろそろ出てってくれませんか」に聞こえてしまう。
私はそそくさと店を出た。もちろん傘はもらわない。そのまま来た道を引き返すが、まだ雨はジャンジャン降っている。マンションの1階がガレージになっていたので、そこで雨宿りだ。
することもなくボーッとしていると、自分がここにいる理由が分からなくなってくる。こんなことならきのうのうちに、宮古島へ行く夕方の得便をもっと検討するべきだったと後悔したが、もう遅い。といっていまさら株主優待券も使えぬところである。それにさっき、きょうの宿を予約してしまった。きのうに続いて、「カプセルイン沖縄」だ。
ひと昔前なら旅人(女性)との出会いを求めて、晴海YHに予約を入れたところ。さらに晴海YHには昔、私の道徳観の欠如から多大な迷惑を掛けたことがあり、いつかその借りを返したいのと思っているのだが、それだけにお邪魔しにくい、ということもあるのだ。
雨が小ぶりになったので、通りに戻る。アーケード街に入るころには、陽が射していた。まったく、ヒトの行動の逆を行く天気だ。
アーケード内をぶらぶらすると、開南近くに出た。近くに喫茶店がある。ここは以前訪れた記憶がある。店内にコーヒー豆を入れた麻袋があり、これだけでも、美味いコーヒーを飲ませてくれそうな感がある。
ジャーマニーブレンドとニューヨークチーズケーキのセット(650円)を頼む。あー、落ち着く。沖縄はケーキ類が美味い。今回も美味しくいただいた。
アーケード街をぶらぶらする。きのう見かけたコンピュータの占い屋さんで、占ってもらう。コンピュータだから安く、300円で済んだ。診断結果は、かなりいい感じだった。それなのに、何で私は結婚できないのだろう。
国際通りに出る。ちょっと時間が早いが、「つけめん大王」で夕食にしようと思う。ここのベチャベチャしたチャーハンが妙に美味で、一度食べたら癖になる。鹿児島の山ちゃんラーメンと同じ感じだ。
つけめん大王は、熟年夫婦と息子さんで経営していて、応援したくなる。息子さんには嫁さんがいないようで、そこも私がひいきにしている理由である。かようなわけで、ガイドブックに記されている食事処と私のそれとは、大きな乖離がある。
そろそろつけめん大王が見えてくるはずだ。あ…あああっ!?
(つづく)
コメント
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