一公の将棋雑記

将棋に関する雑記です。

第25回将棋ペンクラブ大賞贈呈式(前編)・愛ちゃんと談笑する

2013-09-22 17:33:53 | 将棋ペンクラブ
20日(金)は、東京・四ツ谷にて、「第25回将棋ペンクラブ大賞贈呈式」があった。会費は男性8,000円で、ヒトの受賞を祝うために大枚をはたいて参加するのも冴えないが、今年は湯川恵子さんや上野裕和五段が大賞を受賞したので、それをお祝いしたい気持ちがあった。
…というのは半分ウソで、今年は指導対局の女流棋士に、鈴木環那女流二段と、渡部愛女流3級が登場する。今回は、おふたりとの交流をメインに据えていたことを私は白状する。
開会は午後6時30分から。家を出るのに意外にまごついて、会場の「スクワール麹町」に着いたのは、開会の15分前だった。
エレベーターの前で、長沢千和子女流四段に会う。と思ったら、加藤桃子女流王座のお母さんだった。5月の関東交流会でもお目にかかっているが、ふたりはウリふたつである。
エレベーターには何人かで乗るが、その中に会員のKin氏もいた。
5階で降りると、多くの参加者がたむろしている。石田和雄九段、窪田義行六段の姿がある。窪田六段は将棋ペンクラブの常連だが、石田九段は何の縁だろう。
受付で待っていると、上野五段が通った。上野五段には、「大野教室」など、各所でお目にかかっている。私は深々とお辞儀をした。
ほかにも島朗九段、勝又清和六段、後藤元気氏など、受賞者の姿を確認した。
「芙蓉の間」に入る。しばらくすると、鈴木女流二段、渡部女流3級が入室した。LPSA女流棋士はともかく、女流棋士会の女流棋士が指導対局に招ばれるのは珍しい。鈴木女流二段は、今年の春号でも登場しているし、島九段とは東北地方を精力的に普及している仲だ。今回はもろもろのご縁で、ということだろう。
ほかには神谷広志七段の姿も見えた。神谷七段も当会の常連だ。
定刻の6時30分、贈呈式開始。司会は、「将棋寄席」のイチローこと、長田衛氏。
まずは、技術アドバイザー・所司和晴七段の総評である。各受賞者の作品を丁寧に講評していくが、その語りがスローモーだ。このペースでいったら30分ぐらいかかってしまうのではと危惧したが、長くはかからず10分ほどで終わった。
とはいえ閉会は8時30分だから、あと110分しかない。毎年思うのだが、贈呈式は時間が短い。せめてあと30分、延長してくれまいか。
続いて表彰式。木村晋介将棋ペンクラブ会長から、短評と賞状(色紙に書かれている)が渡された。大賞の賞金は5万円だが、賞金以上の名誉がある。そう、将棋ペンクラブ大賞は、妙な権威がある。何しろ、時の将棋連盟会長と専務でさえ、表彰してしまうのである。これは、選者が執筆者に媚びてないからだ。将棋と同じ、実力の世界。それだけに、大賞受賞は価値があるのだ。
表彰式は、ファンの方からサプライズの花束贈呈もあり、微笑ましかった。
続いて受賞者のスピーチ(コメントは正確ではないので、ニュアンスだけ感じてください)。
観戦記大賞・勝又六段「いままでは自戦記等で賞をいただいたことはありますが、純粋な観戦記は初めてで、それだけにうれしい」
同・恵子さん「女流棋戦が大賞に選ばれてうれしい。同時受賞の片方が羽生棋聖の将棋で、それと並べて評価されたことがうれしい」
文芸大賞・島九段「昨年、島研のトークがなかったら、この本はこの世に生まれなかった。皆様に感謝します」
同優秀賞・後藤氏「過去の名言をコツコツ集め、ひとつにまとめられたのがうれしい」
そして技術部門大賞・上野五段。これが爆笑のスピーチだった。
「皆さま覚えておいででしょうか。昨年私はここでお話しさせていただく機会があり、そのとき私が、『いま私は本を書いており、秋に出版する予定です。来年これでペンクラブ大賞を獲ります!!』と誓ったことを!」
1年後にペンクラブ大賞を獲る、と宣言して実際に獲ったなど前代未聞。これは上野五段の面目躍如だ。「現在ほかの方から、私がかつて将棋連盟の理事をしていたことから、今度は『理事会完全ガイド』を出してくれ、のリクエストがありましたが、諸般の事情で、それを書くことはできません…」
場内爆笑。まさにMVP級のスピーチだった。
同優秀賞・阿部健治郎五段は対局中のため、マイナビの編集者・島田氏が代わりにスピーチ「阿部さんは『今後10年は持つ著書』を目標に書いていました。阿部さんの研究の中で、執筆後に結論が変わってしまったものがあり、全面書き直しをしたときは、(本の発売が危ぶまれ)アオくなりました。あのときのことは思い出したくありません」
島田氏も笑わせてくれる。しかし優秀賞を受賞したから、苦労した甲斐はあったということだ。
乾杯の音頭は石田九段。石田九段は勝又六段の師匠であり、その縁で。私としたことが、基本的知識を失念していた。
「勝又がペンクラブ大賞を受賞したことは知ってたんですが、贈呈式がきょうだとは知らなくて…。きょう将棋道場のお客さんから、きょうだと知らされまして、先約をキャンセルして、こちらに来ました…。乾杯!!」
私は飲まないが、喉が渇いたときの最初の一杯は美味いと思う。近くに愛ちゃんもいて、最高だ。
その愛ちゃんに声を掛けられる。ハタチの女流棋士に声を掛けられる将棋ファンはそうはいないと思う。大感激である。
「先日の斎田戦の勝利、おめでとうございます」
愛ちゃんは先日の女流王位戦で斎田晴子女流五段に勝ち、女流棋士として公式戦初勝利を挙げたのだ。
「ありがとうございます」
という愛ちゃんがかわいらしい。彼女はやっぱり本田翼に似ていると思う。愛ちゃんと話すのは相当久しぶりで、2年以上のブランクがある。とりあえず元気そうで何よりである。
「次は北海道の…ホラ、ともこ…久津さん?でしょ? それに勝って次に勝てば、女流王位リーグ入りだもんね」
「そうですね。でも、今度大きい勝負があるから…」
「ああ、日レス杯? 28日だっけ。それは大きいよね」
などとじゃれあっていたら、Kun氏が現われた。せっかくいい雰囲気だったのに…。そういえば以前、ジョナ研で私とAyakoさんが他愛ない会話をしていたら、そこにKun氏が現われたことがあった。まあよい。
日レスインビテーションカップの優勝賞金は100万円である。これは女流棋士のタイトル戦に匹敵する賞金額である。テキは大豪だが、いまの愛ちゃんの実力なら大丈夫、必ず勝てる。当日は悔いを残さぬよう、全力を出し切ってもらいたい。
品のいいご婦人と目が合う。関東交流会でお目にかかった方だ。私が会釈すると、
「たしか、中井先生のファンでいらした…」
とご婦人。
「はあ、いまはそうでもないんですが。ここだけの話ですけど…」
私は苦笑するしかない。
近くに石田九段が来て、食事をしている。石田九段といえば、NHK杯の名解説者として名高く、私たちの世代では偶像化されている。
石田九段の食事が一段落したころ、意を決して話しかけてみた。
(つづく)
コメント (6)
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