感染症診療の原則

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ICNは見た! 空間"除菌"とその周辺

2015-01-18 | 毎日いんふぇくしょん(編集部)
全国のICNがフル稼働するシーズンです。
皆様ICNを大切にしましょう。

金曜日の16:30くらいからは、魔の時間帯です。ここで「○○病棟ですけれども・・・」

「・・・・なななんでしょう」

「実は・・・」ということがよくあります。なぜ金曜の夕方なんだろう(ブツブツ)といいながら週末もせっせとするICN。
専従になったとたん年収が〜100万近くさがり(夜勤手当が減ります)、時間外業務も増え、という中奮闘中です。

最近は、近隣の医療機関や施設の支援も仕事です。

この時期は高齢者施設に出かけて、スタッフの勉強会の講師をしたりもしています。
そのようななかで「うわああああああ」となるようなお話は多々あり、おそらくICNでもちよったら数冊の単行本がシリーズで出せるくらいの事件は各地でおきています。


今回はその1例(各地で経験されているお話ですが)

とあるICN。あるところ(保育園だったり病院だったり。。)から、スタッフにインフルエンザ対策の指導にきてほしいといわれてでかけていきました。

こんにちは!と入って行ったところ、胸にぶら下がるある物体。
最初は名札かなと思っていたのですが、よく見たらちがいました。

それは "首からかけて携帯できるカードホルダー型空間除菌"


しかも皆がぶらさげているではありませんか・・・・。
(マスクはしていない。手洗いは・・・)

えーと、講義の前にまずは皆ではずしましょうね、というところから入ります。

そして施設の担当者(専門家は通常いません)と一緒にインターネットで検索をして、そもそもどういったものなのか、お役所からどのような指導がおこなわれているのか、安全性の問題、効果の問題などを説明したらすぐ納得してもらえたそうです。

消費者庁 平成26年3月 「二酸化塩素を利用した空間除菌を標ぼうするグッズ販売業者17社に対する景品表示法に基づく措置命令について」

国民生活センター 平成25年4月 首から下げるタイプの除菌用品の安全性-皮膚への刺激性を中心に-

朝日アピタル もともと効果があるのか、携帯型の空間除菌製剤


なぜこのようなことになるかというと、

「誰かが広告を見ていいねとおもったから」 専門家に相談しましょうね
「ある日、訪問営業がきて買わされてしまった」 詳しい人がいないところが狙われます
「薬局が在庫セールをしていた」 薬剤師さんがいるはずなのに。おかしいなあ・・・


予算は適切に使いましょう。

「これって何の役にたつんですか?」という質問には次のように応えています。

「スタッフがぶら下げている施設は、感染症対策を適切にしていない/わかっていない」という判断根拠に使えます。

<追記>
1月17日 朝日新聞 「空間用虫よけ剤4社に措置命令検討 消費者庁」

"消費者庁が分析すると風通しがよい場所では成分が空気中に残りにくかったという。"

あたりまえすぎて、効果も期待しないし、買ってしまう人がいるのもしょうがないとして、それを承知で売りつける専門家や法人があることには悲しみしかない・・・。
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