感染症診療の原則

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クーリッジ効果とOnly you forever症候群

2009-12-15 | (ちょっと休憩)ほんとに休憩
STD検査啓発の話をして終わるかと思っていたのですが、学生の間ではまだ有名ゴルファーの話でが続いています。
日本ではあまりもりあがっていませんが(共感・受容的態度?)、米国では「神様に誓った結婚。神様や家族にウソをついたふとどきもの」扱いになっています。

学生A「怖くて結婚できなくなりそう」
学生B「携帯を見なければいいんだよ」(あまりフォローになっていないぞ?)

時間の経過と共にお互い成長・変化していきます。
「住まいとパートナーは、人生のフェーズによって最適な条件が変わる」のが現実です。まあ、多少不便でもそれでまずいということはないのでしのげるひともいますし、いや!やっぱりリフォームしないと、というひともいます。自分が思っていなくても相手がそうしたいということもあるでしょう。

積極的にネガティブなことは「なかったことにして」あえて問題にしないカップルもいるようですが、なかには関係を維持するために「機能分散」を提案する人もいます。
つまり、「Only you forever症候群群」からの脱却です。

家庭は家庭、恋愛は恋愛、●●は●●、、ということです。これを提唱しているのは男性がおおいようにもおもいますが。
(家族論をたくさん書いてきた医師の斎藤学氏も新刊の新書で書いていました)

ううむ。女子学生が納得するか?とおもいつつ、学習&行動心理学系の話をしました。

「特定の刺激がくりかえされると、その刺激に慣れてしまって反応が減ります。飽きるわけですね。ラットでの実験を紹介しましょう。オスとメスを1匹ずつ箱に入れます。最初は熱心に交尾をしますが、しばらくするとオスが飽きます(!)。そこで別のメスをいれるとオスはまたせっせと交尾をします」

学生C「えー!何それ!」
学生D「でもわかる気がする」(わかるの?)

フィッシャーの実験(1962年)では、最初の組み合わせでの交尾回数は約7回、交接時間は合計約35分。オスが飽きるたびに新しいメスを交換すると、交接回数は約12回、交接時間の合計は約140時間だったそうです。

表題の「クーリッジ効果」のクーリッジとは人の名前(大統領)。

あるとき大統領夫妻が養鶏場を訪問します。
婦人が「このオスの鶏は1日に何回くらいメスに求愛するの?」とたずね、飼育係が「何十回もです」というと、「まあ、その話をぜひ夫にもしてくださいな」といいってその場を去ります。

そのあと、大統領が見学にきました。先ほどの話を伝えたところ、大統領がいいました。「そのオスはいつも同じメスに求愛するのかね?」
飼育係は「いいえ、その都度ちがうメスにです」と説明。
「じゃあ、その話を妻にしてやってくれないか?」
Coolidge effect

日本でもバイアグラが認可発売になったときに、「できなくなった」と相談をしにきた患者さんが、奥さんとの関係を維持するために必要なのだというケースがけっこうあったそうです。

患者「妻以外とはうまくいくんですが・・・」
医師「このクスリだけではダメそうですね・・」(効果のためには刺激が必要。クスリを飲むだけではダメ)

長寿社会のなかでけっこう現実的な話なのでは?と思っています。

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フィッシャー博士(ラトガース大学)のHP
http://www.helenfisher.com/
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2 コメント

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アナーキストなので (室蘭の腎臓科医)
2009-12-15 13:16:13
神様に誓わなければならないような愛は偽物だと、酔っ払って発言してしまい白い眼で見られています。
返信する
なるほど・・ (編集部)
2009-12-15 16:37:04
深いコメントですね。

ワカモノのなかには愛を熱く語る人もいれば、「メスも飽きていると思うから別にいいとおもいます」という意見もありました。
返信する

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