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最終判断者になりたくない

2009-05-19 | 毎日いんふぇくしょん(編集部)
昨年度までの講習会で、実に多くの人が「最終判断者になりたくない」とつぶやいていました。新型インフルエンザよりもそちらにおびえる、という印象がありました。

背景には袋叩き文化があるのではないかとそのとき思ったわけですが。危機管理のときに必要な迅速判断のためには何が必要なのか。

訓練シナリオでは、たしかに「○○段階になったらこれをする」とか「疫学調査の手順」というのはありましたが、社会機能を麻痺させないこととをふまえた状況判断訓練のシミュレーションはあまりみかけませんでした。


ホームページによると神戸市が通常の保健事業をストップさせています。
(結核健診や予防接種等を含む)

今回の学びとして、起こりうると予想できたことばかりなのに、現場の負担に対してのアセスメントが遅いのはアセスメントしようとしていないのか、現場からの効果的な状況についての発信がないからか。
要望書が出てから「考えましょう」でいいのか。

症例の数もさることながら、保健所や自治体・医療機関が今回のことでどれだけのマンパワーを要したのかという分析も後日重要ではないかと思います。

ずっと人員削減・給与削減できているなかで、もともとギリギリのところ、地方や病院によっては検疫に医者や看護師を出してもいます。

■県内の感染症指定の病床がうまってから「軽症は自宅対応」
■混乱防止のために数例入院の段階で「軽症は自宅対応」

あきらかに「前者は思考停止・怠慢」型、後者は「柔軟対応・現場重視」型。現時点で、このあたり自治体で考えていることはかなりばらつきがあります。

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「国内感染重視を」 厚労相に要請 全国知事会(5.18 22:33 産経)
 新型インフルエンザの国内感染問題で、東京都の猪瀬直樹副知事は18日、都道府県会館(千代田区)で開催された全国知事会議に出席。意見交換のために訪れた舛添要一厚労相に対し「新型インフルエンザ蔓延国からの帰国者を中心とする健康観察対象者は、都内だけで1万人いる。保健所は電話対応をするだけでも時間をとられており、(自治体に頼る)行政措置だけでは限界」と指摘。「検疫などの水際対策に出している国の人的資源を国内感染対策に回してほしい」と訴えた。
http://sankei.jp.msn.com/region/kanto/tokyo/090518/tky0905182234020-n1.htm
新型インフル、厚労相「軽症者は自宅療養」 国内感染者163人に
 豚インフルエンザから変異した新型インフルエンザ対策で、舛添要一厚生労働相は18日、さらに感染患者が増えた場合、軽症者については病院に入院させず自宅療養への切り替えを検討することを明らかにした。舛添厚労相は記者会見で政府の行動計画について「状況に応じて弾力的に運用したい」と述べた。
http://www.nikkei.co.jp/news/shakai/20090518AT1G1804718052009.html
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