Dr. WAKASAGI at HEI-RIVER(閉伊川ワカサギ博士)

森川海をつなぐ学び合いの活動を紹介します

第4回港南ジュニアカレッジが開催されました

2010-10-04 | 水圏環境教育センター
今年度4回目となる港南ジュニアカレッジが,お隣りの港区立港南中学校の1年生の総合的な学習の時間において開催された。

本研究室の大学生,院生総勢8名が押しかけ,1クラスの生徒と一緒に楽しい学習活動を行った。あいにく,雨ということで予定していた野外での活動が中止となり,室内での活動となったが生徒たちはいきいきと活動に取り組んでいた。

今回は,学習発表会向けのポスター作りということで,これまでの活動を振り返りながら,ポスターを作成した。これまでの活動とは,港南地区の運河をとらえ発見し,疑問を持ち,仮説を立てる,という一連の科学的な観察である。

中学生の観察の結果で興味深いのは,運河との接点がないといわれるが,運河を普段から観察している様子であるということである。例えば,「雨の日はどうして運河がにごり,海の匂いがするのか?もしかしたら,海と繋がっているのかもしれない。」ど「うして緑色をしているのか,もしかしたら,プランクトンが多いのかもしれない。」「どうしてクラゲが排水の方に向かって動いているのか,もしかしたら排水の方に餌があるかもしれない」等々である。

生徒たちは,大学院生・大学生たちが教えることにも興味を持っているようであるが,同時に自分たちで発見し疑問を解決したいという気持ちをいだいているようだ。次なる段階は,彼らの立てた仮説をどのように検証するかである。この学習は,3年生まで継続的に実施する予定であり,成長が楽しみである。一人でも多く科学に携わる人物が育ってくれればと願っている。


新学習指導要領中学校理科における「仮説」の確かめ

2010-10-02 | 水圏環境教育センター
 自然観察の基本は3つある。それは自然を観察し「気づき発見し」,「疑問を持ち」,「仮説を立てる」ことである。この一連の作業は,私たちが普段何気なくおこなっている思考ではあるものの,「仮説」と聞くと,戸惑い,難しいあるいはとっつきにくい,といった印象を抱き,普段あまり話題にならない。

 しかし,新学習指導要領では,明確に「科学的な思考表現力」の育成が強調されている。本日,届いた文部科学省発行の「中等教育資料」によると,体験的な学習の推進が新学習指導要領の大きなテーマであるとし,科学的な思考・表現の指導として「問題を見出すこと」「解決可能な課題を設定すること」「仮説の確かための観察,実験の計画」「結果の推論」「結果を図や表にまとめ,分析解釈する」「モデル,原理法則と比較し分析解釈」「仮説を元に結論づける」「観察,実験の見直し」の一連の科学的思考が重要であると述べられている。

 上記のことは,まさに科学の手法を表現したものであり,科学者が実際行っていることである。また,同時に本研究室で実施している近隣の港区立港南中学校における総合的な学習の時間もまさにこの科学的思考・表現力の育成を目指している。

 また,閉伊川大学校におけるわくわく自然塾,キッズアース様に提供している教材のコンセプト,里海探偵団が行く!の里海学習はまさに,この一連の科学的な思考表現の育成を目指しているものである。

 これまでの研究成果で明らかになっていることは,室内の体験よりも野外における体験活動が科学的な思考・表現力をより高めるというものである。

 また,今回複数の著者が述べているが,探究学習の際には,大人が先に結論を出すのではなく,児童生徒の探究活動をできるだけ見守る態度が必要であるとしている。これも私たちが「ラーニングサイクル理論」を用いた「水圏環境教育」として訴えていることに符合している。(『海洋の気づきをもっと子どもたちに』「里海探偵団が行く!」10p, 2010,農文協)

 そうは言っても,科学的な思考・判断力の育成は学校教育だけで限界がある。地域の社会教育施設や研究機関,大学とうまく連携を図ることが必要であり,そうした教育システムづくりがこれからの大きな課題である。

日仏海洋教育情報交換会が開催されます:10月18日

2010-10-01 | 水圏環境教育センター
日仏海洋教育情報交換会が10月18日海洋大学楽水会館で開催されることになっており、その打ち合わせが行なわれた。

この会議は,学術交流協定校である国立マルエイユ地中海大学から海洋教育の視察団20名が来日して行なわれるもの。

フランスの海洋教育に関しては以前のブログ記事でも紹介したが、組織的に学校教育に取り込まれているのが大きな特徴だ。

これに対し日本の場合は、豊かな自然環境を背景として水産高校が47校全国に設置されていることが世界的に見ても大きな特徴といえる。しかし、残念ながらその特徴に目が向けられていないこと、その特徴を十分に活用されていないこと、水産高校以外には体系的海洋教育がないことがこれからの課題だ。

この機会に、お互いの国の海洋教育に関する意見交換をして有意義な成果をアピール出来ればと考えている。