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複眼的な思考

2010-02-21 16:02:54 | 日記・エッセイ・コラム

「複眼的な思考が豊かな心を育む」と言う人がいる。「複眼的な思考」には、色々なケースが含まれると思うが、科学技術や社会科学が到達した普遍的な知識に基づいて「人間とは何か」など色々な問題を思考することと、インスタンスとしての他人の各々を理解するよう努めることの両方を実行することも、「複眼的な思考」をすることに含まれると思う。現在までに科学技術や社会科学が到達したすべての知識をもってしてもこの世のすべての仕組みを知るにはあまりにも貧弱であり、人類のもつ普遍的な知識は、完全なものからは程遠い。一方、他人としての各個人の考えは、その過去の履歴に依存しているから、各個人の考えを理解することは容易ではなく、個人を完全に理解することから程遠い。そうであれば、両者を共に考慮する「複眼的な思考」も完全な知識に基づく思考からは程遠いということになる。しかし、この両者のうちのいずれか一方しか重視しないという態度よりはましと思われるのである。また、普遍的な知識も他人の考えもともに軽視する自己中心的な思考・態度よりはましと思われるのである。

 人間だれしも知識が不足しているという点において井の中の蛙である。たとえ複眼的な思考をもっていたとしてもそうであると認めざるを得ないだろう。しかし、複眼的な思考がそうでない思考よりも豊かな心になりやすいのなら、ありがたいことである。科学技術に関する知識を含めた教養を身につけることの重要さが理解できる。「教養」を辞書で引くと出てくる「文化に関する、広い知識を身につけることによって養われる心の豊かさ・たしなみ」という解釈とも合致する。ただし、複眼的な思考の立場から言えば、他人の考えを理解しようと努める場合において、という注釈が付くのである。