生活用品の認知工学 07月29日
2006-07-29 03:41:44
生活用品の認知工学
テーマ:インタフェース
生活用品の認知工学序説
海保博之
1.「デザイン性」をめぐって
●本論のねらいと構図
日常生活の中で使われるさまざまな道具や用品(生活用具)の開発・評価を考えるための認知工学的な基本視点として、次の4つを設定し、それぞれについて1章ずつ割り当てて論じてみる。
・デザイン性 見た目はどうか
・使用性 使えるか、使いやすいか、気持ちよく使えるか
・安全性 エラー、事故への配慮は充分か
・機能性 用具の目的をどの程度果たせるか
デザイン性と使用性はもっぱらマーケティングで、機能性と安全性はもっぱら開発技術者での関心になるが、一つの用具で、軽重はあっても、この4つの視点は一体で考えることも必要である。
4つの視点間には、機能性を中心に、3つの視点が、ときには連携し、ときにはトレードオフ(あちらたてればこちらがたたず)するような関係が想定される。
図1-1 4つの視点間の関係
取り上げる生活用具は特には限定しないが、近年家庭生活への普及の著しい電子生活機器について取り上げるときはその旨を宣言することにする。
4章全体を通して、「使い手にとってこうだから、用具の開発、評価にあたっては、こうしてほしい」というスタンスでの言説になる。
さらに、使い手の認知特性を、用具開発と評価のための工学技術として活かしてほしいとの気持ちを「認知工学」という言葉に込めてみた。
ところで、今なぜ生活用具が問題なのであろうか。
アフガニスタンからの悲惨な映像がTVで繰り返し流される。戦争や地震による建物や道路の見るも無残な破壊の映像に加えて、生活場面に見られる生活用具の貧弱さにも驚かされる。
ひるがえって、我が日本の家庭の中にある生活用具。その質量の豊穣さには、アフガニスタンでのそれとの比較をせずとも、あらためて驚かされる。ノーマンによると、その数は2万個くらいになるという。しかし、その豊穣さの中にも、というより、豊穣だからこその問題もある。
それも踏まえながら、生活用具と人との関わりについて、上記4つの視点から1章ずつ取り上げてみたい。
本章は、デザイン性である。
なお、その前に「生活」の中での認知・行動の特徴を摘記しておく。以下の話で陰に陽に、これらの特徴が引き合いに出されるからである。
・圧倒的に習慣的な認知・行動が多い
・多彩な認知・行動が発生している
・多彩な人々がかかわっている
・通時的な変化がある
・世代間遺伝がある
●デザインの3つのねらい
一般に、デザインには、3つのねらいがある。
一つは、ファッション製品などのように、それを持っていることを人に誇ったり、自己満足したりすることをねらうものである(所有のデザイン)。感性に訴えたり、さらに大げさに言うなら、それを所有することの意味にまで配慮したデザインをすることになる。
2つは、消火器などのように、それがそこにあることを示すことをねらうものである(存在のデザイン)。目を引く(誘目性)、違いがわかる(弁別性)、それがそれであることがわかる(識別性)の3つが大事になる。たくさんある食器の中から自分の食器が選べるのも、存在のデザインのおかげである。
3つは、包丁などのように、どんな機能を果たすか、どのように操作するかをわからせることをねらうものである(機能のデザイン)。
適切な行為を自然に導くアフォーダンス、できることの制約、目標と操作の自然な対応づけ(ノーマン、1988)が組み込まれることになる。ほとんどの台所用具はこれらを備えているが、近年家庭に急速に普及した、電子生活機器にはまだうまく組み込めていない。
生活用具は、機能のデザインが主である/あるべきだが、豊穣の中では、所有と存在のデザインもときには強く求められるし、それが売れ行きに直結することもある。さらに、後述するように、それが所有者の生活の中で単なる道具を越えて一つの物語性を持つこともある。
●色と形がデザイン性の中心
いずれのねらいを持ったデザインでも、その中心は色と形である。
話はやや脇道にそれるが、色形問題と呼ばれる古典的な実験がある(図1-2)。この実験のおもしろいところは、年齢7、8歳あたりを境に、色分類から形分類へと移行する発達的な変化である。
元来は、事物の分類という抽象能力の発達をみるための実験であるが、事物の分類の基本属性として色と形があるらしいことをうかがわせること、さらに、多彩な分類を可能にする形のほうに基本属性をシフトさせることで分類効率を高めようとする適応的な発達が起こっていることが示唆されて興味深い。
ところで、色属性については、その感性的な機能が、とりわけ存在のデザインでは重視される。図1-3のような、SD(意味微分法)尺度で計測できるような特性である。
● 評価次元
健康な −−−− 不健康な
美しい −−−− みにくい
良い −−−−− 悪い
● 活動次元
不安定な −−− 安定した
近い −−−−− 遠い
活動的な −−− 静かな
● 力量次元
硬い −−−−− 柔らかい
強い −−−−− 弱い
深い −−−−− 浅い
図1-3 SD尺度の基本3次元ごとの尺度の例
しかし、色属性は、存在のデザインでも、誘目性、弁別性、識別性の点で極めて効果的なので、これらの目的のためにもよく使われる。消火器が赤色なのは、この3つをねらったものに他ならない。
ただし、所有のデザイン目的だけを考慮した、過度でセンスなき色彩使用は、所有のデザインとしてはネガティブ効果をもたらすことがあるので要注意である。
一方、形属性には、感性的な機能よりも認知・行動的な機能がより期待される。色形問題のように、事物の分類といった機能や、用具の操作を見せて適切な操作に誘導する(アフォードする)といった機能(図1-4参照)である。前者は、存在のデザインに、後者は、機能のデザインにつながる。
このような観点からあらためて台所の用具を観察してみると、見事なまでに、多彩な形が自然に多彩な行為を導くように設計されているのに気づかされる。
図1-4 形で機能を見せる(形コーディング)例
(横溝・小松原、1987より)
●情報デザインという新たな領域の出現
色と形によるデザインをハード・デザインと呼ぶなら、これに加えて最近は、ソフト・デザイン、あるいは情報デザインと呼ぶにふさわしい領域が出現している。
所有のデザインなら、たとえば、包丁一つにしても、色形に加えて、誰がどこでそれを作り、それを使うことでどんな料理ができるのか、といった情報が用具に付加されることで、所有することの満足感が高まり、さらに、用具に物語性、すなわち、用具に自分なりの意味を付与するのに役立つ。
存在のデザインなら、色形そのものが存在を示す情報デザインとなっているし、さらに、触覚や嗅覚に訴える情報なども付加することで、デザインのねらいをより効果的に実現できる。
機能のデザインをねらった情報のデザインは、普通の生活用具ではほとんど必要がない。ただ、電子生活機器にとっては、情報のデザインは機能を見せるために極めて重要になってきている。これについては、第4章でまとめて考えてみることにしたい。
●引用/参考文献
・ 横溝克己・小松原明哲 1987 「エンジニアのための人間工学」
日本出版サービス
・ D.A.ノーマン(野島久雄訳) 1988 「誰のためのデザイン?」
新曜社
2.「使用性」をめぐって
●使用性を構成するもの
使用性という用語は、usabilityの訳語として使われている。それは、図2-1に示すようにソフトウエアの品質評価の一つの観点となっている(黒須ら、1999)。
_ 使用性
感情を安定させる
注意は感情と密接に関係している。あとえば、
・ 強い恐怖ば、その対象に注意を集中する
・ 楽しいことをしていれば、注意は持続する
・ 悲しければ、注意は悲しい心のほうに向けられる
このように、感情は、注意の選択、配分、持続のいずれに対して、間接的にではあるが強く影響する。
これは大きい目でみれば、生き残り戦略としておおむねプラスに働く。たとえば、どう猛な熊が目の前に現れたときに発生ずる強い恐怖は、熊だけにすべての注意を集中することを促し、もしかしたら生き残る手立てを講ずることができるかもしれない。
しかし、こうした注意の特性が、ときには、本来集中すべき課題への注意を奪ってしまって、うっかりミスを引き起こすことがある。たとえば、職場での上司や同僚との人間関係の悪さや家庭不和などが、仕事上のミスにつながってしまうことがある。
車の運転などのように事故と直結するような仕事にかかわっている時には、自分の感情状態にまで気を配り、感情の乱れがあるときには、それが静まるまでは、仕事に入らないくらいの慎重があってよい。もっとも、感情管理も、注意管理以上に難しいところがあるのだが。
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2度目の激しいTOT
・前、堀さんのヒントで解決
・イギリスの天才数学者
・オートマトンの原理を提案
・ロボットに知能があるかを確かめる方法を提案
・劇場で、彼をドラマ化してものをみた
同じ人物ででTOT
そういえば、他にもこういうことってあったような気がするなー
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