酒「心の元気づくりの文化」
「酒は手軽な元気薬ではあるが」
● 酒と気持ち
気持ちのコントロールの方策にはさまざまな心理的なテクニックがありますが、下戸以外なら誰もがもっとも確実かつ手軽にできる方策が飲酒です。
飲酒を適切にコントロールできれば、気持ちも適切にコントロールできることになります。
「適切に」が難しいですね。これをここでは考えてみたいと思います。
その前に、アルコールと気持ちについて一言。
アルコールに限らず、タバコも含む薬物による気持ちのコントロールには長い歴史があります。そして、社会の中で確固たる文化として機能しています。それほど、社会において気持ちのコントロールが必要だということだと思います。
それだけに、結構うるさいマナーと自己規制――法律的な規制もありますーーーが要求されます。その中で、いかに「適切に」飲酒を心の元気づけに活用するかを考えることになります。
● 気持ち元気になるための飲酒のコツ
① 飲酒を習慣にしない
飲酒には習慣性があります。
ほどほどの飲酒は、身体的には、「百薬の長」と言われますから習慣になったほうが好ましいかもしれませんが、しかし、習慣になってしまった飲酒は、気持ちのコントロールにはあまり好ましくありません。
気持ち元気な時も酒、気持ち落ち込んだ時も酒。気持ち穏やかな時も酒となります。
これでは、アル中まっしぐらとなります。
酒による気持ちのコントロールは、自分の意志でやれることが大前提です。
② 一人酒はできるだけ避ける
もちろん一人静かに、もありですが、できれば、心元気にするための飲酒は、仲間と一緒のほうが元気が倍増します。一人飲酒だとどうしても習慣になります。仲間と一緒なら、ポイティブコミュニケーションもできます。さらに、仲間との気の置けない会話が頭の活性化にも役立ちます。
③ 涙酒は節制、祝い酒は積極的に
うれしいこと、楽しいことがあった時こそ、それを祝する飲酒をするほうにバイアスをかけておくのも一計です。
なぜかというと、高ストレス社会では、ネガティブ感情を消す(忘れる)ための飲酒ほうがどうしても多くなりがちだからです。これはこれで、適切に自己コントロールができているなら悪いことではないのですが、頻度と深さが問題です。
ポジティブ感情と飲酒のほうの結びつきを緊密にしておけば、この問題にも効果的に対処できることになります。