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対人関係「それは生きるためのインフラ」周りを元気にするキーワード解説その19

2018-12-18 | ポジティブ心理学
対人関係「それは生きるためのインフラ」

●対人関係は生きるためのインフラ
人間は社会的動物ですから、対人関係なしにというわけにはいきません。生活に電気ガス水道が必須なのと同じです。
対人関係には、感情の共有、情報の共有、資源の共有の3つの側面があります。そしていずれにも、ポジティブな面とネガティブな面とがあります。
感情の共有のポジティブな面は、たとえば、職場の雰囲気が明るく活気に満ちている、ネガティブな面は、職場がストレスに満ちているということになります。
情報の共有のポジティブな面は、たとえば、会社のミッションに従って全員が働いている、ネガティブな面は、情報を各自が独占しているような状態です。
資源の共有のポジティブな面は、お互いが助け合いながら仕事をしている、ネガティブな面は、業績を自分だけのものにするということになります。
余談になりますが、「無縁死」「孤族」「引きこもり」など、対人関係を遮断してしまった人々が増加しているようですが、資源の共有の社会的システムが劣化してきているのかもしれません。
 
●対人関係で心を元気にするコツ
①ポジティブ・コミュニケーションを心がける
 これについては、別項目を用意してありますので、そちらを参照してください。要するには、「ほんわか」です。
ほめる

わらう
かんしゃする

②知性化する
 対人関係の難しさは、もろに感情が入りこんでしまうことです。挨拶一つにしても、それが能面挨拶か笑顔挨拶かで全然、効果が違ってしまいます。
 しかし、対人関係には、知的な側面もあります。情報を伝えたり、共有したり、一緒に考えたりも、対人関係のもう一つのしかも大事な側面です。
 会議の場で激しい議論をしたとします。当然、反論されれば頭に来ます。相手に攻撃心を抱きます。あとあとまでネガティブ感情にとらわれてしまいます。
それにこだわってしまえば、対人関係はどんどんネガティブなほうへと展開してしまいます。
 こんな時でも、できるだけ知的に考えてみる、つまり知性化の習慣をつけるのです。
たとえば、「彼の反論のどこがおかしいのか」「自分の論理に破綻はないか」「あの証拠はどうやって入手したのか」などなどを自分に問いかける習慣をつけるのです。
そして、普段から、こうした知的な対人関係の側面が表面化するように心がけるのです。これによって、感情的な側面に頑健な対人関係が築けるはずです。

③対人関係を濃密にしない
 社会的動物ですから、人間はひとりぼっちを恐がります。そのためか、どうしても、対人関係に濃密さを求めてしまうよ、のっぴきならないものにしてしまいます。
 個人的な対人関係、たとえば、恋愛、家族をみてください。実にさまざまな対人関係の明るい面と暗い面とが混在しているのがわかります。
 こうした濃密な対人関係は、公的な場では、抑制的なほうが無難です。具体的には、次のようなことを心がけると良いと思います。
・特定の人にとらわれない
・特定の感情にとらわれない
・ほどほどの接触頻度を保つ
・さまざまな浅い対人関係を作っておく

④「与え、与えられる(give & take)」関係も大事
 旅行にいったら、お土産を買って帰る習慣、日本独特なのかどうかは知りませんが、対人関係を良好に保つには実にすばらしい習慣だと思います。たかがお土産、されどお土産です。
 対人関係には、感情の共有、情報の共有に加えて、資源の共有という面があります。資源に余裕のある人が、余裕のない人に分け与えるのです。それが対人関係を良好なものにします。
 資源といっても、お土産のように目に見えるものばかりではありません。助け、助けられる、といった可視化できない対人関係の資源もあります。
 勝間和代氏は、「不幸になる生き方」(集英社新書)の中で、お互いの感謝や尊敬、評価を仮想通貨ウッフィーで決済する社会、称して「ギフト(贈与)経済」が生まれつつあることを紹介しています。
 関連して、92歳の詩人デビュー・柴田トヨ氏の詩でしめくくりとします。
 「貯金」
  
私ね 人から やさしさを貰ったら 心に貯金しておくの
さびしくなった時は それを引き出して 元気になる

あなたも 今から積んでおきなさい
年金より いいわよ
「くじめないで」(飛鳥新社より)
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第一印象「最初が肝心」周りを元気にするキーワード解説その18

2018-12-14 | ポジティブ心理学
第一印象「最初が肝心」

●第一印象がすべてを決める
 第一印象で、生涯のパートナーを決めた人はごまんといます。
 第一印象で、商品の購入を決めるのとは日常茶飯事です。
 でも、それでしまったとなることもあります。第一印象の面白さ、というより恐さです。
 なぜ、これほどリスクのあるものに私たちは頼るのでしょうか。
 それは、人は横着だからです。
あれこれ考えるのは面倒、とりあえず、よさそうなら、それを受け入れてしまおう、という戦略を採用するようにできているのです。
そうしないと、パートナーに逃げられてしまうかもしれません。手に入れたい商品が誰かに買われてしまうかもしれません。そのリスクをとりあえず、下げようという戦略の結果かもしれません。もしかして、だめなときには、それはその時に対処すればよいとの冒険的な?計算もあるかもしれませんが。

●第一印象の良い人ってどんな人?
 第一印象がすばらしい人は、確かにいます。思いつくままにあげてみれば、こんな人です。
 ・表情が柔和で笑顔
 ・視線が安定している
 ・声が落ち着いている
 ・動作がスムーズでゆっくりしている
 ・聞き上手
 ・打てば響く応答
 ・受容的
 ・上手な挨拶をする
 まだまだあると思いますが、たとえば、美男美女など(笑)、きりがなさそうなので、あるいは、さし障りがでてきそうですので、これくらいにしておきます。
 いずれにしても、これらの中には、天性としか言いようのないものも、スキルとして身につけたものもあります。天性は無理ですが、スキルなら、身につけることができます。そのあたりのスキル、というより、こころがまえをいくつか挙げてみます。


● 第一印象で周りを元気にするコツ
① 気持ちをポジティブに
 第一印象は、確かに、表面的なものです。美男美女ならその心底がどうであれ、周りは明るくなることが多いことは間違いありません。でも、こればかりは、天のおぼしめしです。どうにもなりません。
 となると、せめて気持ちだけでもポジティブにもち、それが自然と第一印象に反映するようにすることしかありません。
 とはいってもです。
・顔とこころは裏表
・顔とこころは雪と墨
・顔に似ぬこころ
・ 外面如菩薩、内心如夜叉
ということもあります。あまり無理をすると、ストレスになりますから、
ほどほどのこころがけということにしておいてください。

② 相手を意識する
 第一印象は、相手が持つ印象です。自分ではどうにもならないものもあります。
 どれほど美男、美女でも、一目みて嫌いということもないわけではありません。
 相手がどんな人で、どうすれば喜んでもらえるかを、会う前に考えることかはじまります。場合によってはちょっとしたお土産もいるかもしれません。あるいは、おべんちゃらも必要かもしれません。会う時間や場所にも配慮がいるかもしれません。
 要するにnot-KYです。

③ 顔グセを直す
 本を読んでいないので推薦するわけではないのですが、「顔グセの法則」(重田みゆき)という本があるようです。記事によると、第一印象をよくする顔を作るトレーニング本のようです。
 顔の表情を作るのは、複雑多彩な表情筋です。随意筋ですから自分の意志で動かすことができます。ですから、訓練すれば、それなりの変化、強化もできます。まずは、鏡を見ながらの笑顔作りあたりからやってみるのもよいかもしれません。
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尊敬心「尊敬できる人をたくさん持つ人は幸せ」周りを元気にするキーワード解説その17

2018-12-11 | ポジティブ心理学
尊敬心「尊敬できる人をたくさん持つ人は幸せ」

●尊敬できる人ってどんな人?
 どんな人が尊敬に値するのでしょうか。
 まずは、自分にないものをもっている人ですね。
 たとえば、ノーベル賞をもらった方々は、私は無条件に尊敬です。なぜなら、自分にはそんな能力はないからです。いわば、絶対的に尊敬する人です。
 次は、自分でもそうなりたいと思う人ですね。
 たとえば、私の場合は、先輩教授です。なぜなら、自分にも努力をすれば、そうなれそうだからです。いわば、相対的に尊敬する人です。
 いずれの人も、ポジティブな特性をしっかりと、場合によっては、過大に持っていると認識することになります。本当にそうなのかどうかは問題ではありません。そういう人だというあなたの思い込みでも良いのです。(時折、あなたの尊敬する人が、まったく逆の評価を受けていることを見聞きするようなこともありますが、人の評価、そんなものです。)
 そして、その人の片言隻句(へんごんせっく)が心に響きます。そして、時には、その人を思い浮かべるだけで、気持ち、元気になれます。がんばろうとなります。幸福感に浸れます。

● 誰を尊敬すればよいのか
 昔の日本なら、社会の雰囲気として、尊敬すべき人がある程度決まっていました。
家庭では親、学校では教師、会社では上司、社会では天皇、という具合でした。ほとんど、誰も疑うことなく、それが当然のごとく、尊敬する人が決まっていました。だいたいが絶対的な尊敬になります。
 これの良いところは、社会全体の幸福感の基盤ができたことだと思います。
 しかし、時代が変わりました。尊敬する人のレパートリーも激変しました。親も教師も、上司も天皇も総崩れです。
現在では、それぞれの人が、尊敬する人を見つけるようになってきました。そして、相対的な尊敬をみつける傾向になってきました。
それだけ、社会全体の幸福感も一様にはいかなくなりましたが、これが民主主義というものです。
では、誰を尊敬すればいいのということになりますが、答えは、簡単。「あなたが自分でみつけるのです」ということになります。
たぶん、ここでどんな尊敬できる人を見つけることができるかが、あなたの大事な力量の一つだと思います、そして、それが、幸福感を高め、あなたの人生を陰に陽に決めることにもなると思います。

● 自分で尊敬する人を見つけるコツ
① 謙虚になる
 自分には、尊敬するような人はいない、自分こそ尊敬されてしかるべき、と思っているかのような方々があなたの周りにいませんか。時には、傲慢な人と見られる人です。
  権威主義的な人
  自己チューの人
  自尊心が高すぎる人
 だいたいが、いわゆる「偉いさん」です。
 余談ですが、こういう人でも、どこかに不安があるのでしょうか。歴史上の人物を仮想的に尊敬することが多いようです。
 一方ではまったく逆に、自分をいつも謙遜、はなはだしくは卑下するような人もいます。日本の文化のなかでは、それほどネガティブな人とは見なされませんが、それでも、こればかりでは、貧しい対人環境になってしまいます。
 自分評価をある程度、客観的にできること、周りとの関係で自分の立ち位置をきちんとつかめること、煎じ詰めると謙虚になることが、本当に尊敬できる人の発見のためには、まずは必要です。

② 尊敬できるポジティブなところを見つける
 一人の人を丸ごと尊敬できれば、それに越したことはありません。
 感情的な一体感がともなうような場合には、そのような尊敬もありです。
 しかし、生身の人間、それも自分の身近にいる人だと。どうしても、なんらかの欠点、気に入らないことも目についてしまいます。
 となると、あの人のあそこを尊敬という形、いわば、知的な尊敬のほうが無難です。そして、そのほうが自分を高めるための具体的な目標もはっきりします。
さらに、丸ごと尊敬なら申し分ないとは言いましたが、これにはちょっぴり危ないところもあります。尊敬には、どうしても上下関係の色合いが忍び込みます。丸ごと尊敬の人も前では頭があがりません。批判心なんてとんでもない、ということになります。でもそんな尊敬する人でも、欠点はあります。そして、人間ですから変わります。それが悪いほうへの変節だったりすると、一蓮托生のリスクを冒すことになります。
やはり、きちんとした人物認識の上にたっての知的な尊敬が無難です。

③ 尊敬される人になる
 尊敬できる人を見つけたら、自らがそうなるように努力することで、今度は、自分が尊敬される人になれれば言うことなしですね。
これも、2人の間での相互尊敬ということが一つあります。夫婦関係や仲間関係などで見られるものですね。
もう一つは、順繰り尊敬です。父親を尊敬、そして父親のようになって、今度は自分が子どもから尊敬してもらうというものです。永続性のある組織などでは、必須ですね。
 
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親切「隠徳あらば、陽報あり」周りを元気にするキーワード解説その15

2018-12-01 | ポジティブ心理学
親切「隠徳あらば、陽報あり」周りを元気にするキーワード解説その15

●親切はうれしい
 先日、東京の下町で、地図を見ながら訪問先を探してうろうろ。「どこかお探しですか?」とおばーさん。「はい、ここに行きたいのですが」。おばーさん、「うーん、わからないなー」。でも、この声かけの親切、とてもうれしかったです。都会で道を尋ねるのはなかなか勇気がいります。ことわられる、あるいは、知らないと言われることが多いからです。
 人からもらう親切は掛け値なしにうれしい、と言いたいのですが、親切の押し売りということもあり、やや面倒なところもあります。
 ここでは、自分から行う親切を、周りを元気にするという観点から考えてみたいと思います。

●親切心、からずしも親切につながらず
 親切心は誰にもそれなりにあると思います。
 ただ、それを行為として実行できるかどうかとなると、なかなかストレートにはいきませんね。
 よく新聞の投稿欄に、座席ゆずりの顛末が載ります。ネガティブなほうだけでも、
 ・譲ったのに断られで、気分を害した
 ・譲るのを躊躇して、内心忸怩
 ・譲ってもらって、迷惑
 ・譲ったのに一言の礼もなく、不快
 あれこれ不愉快なことがあるなら、いっそう、座席譲りの親切はもうしないと決め込んでしまいたいほどですし、そう決め込んでいるように見える人も多いですね。自分にもそんな時期がありました。
 似たようなことは、挨拶でもおこります。これが、また自然な挨拶を躊躇させます。

●親切な行為によって周りを元気にするコツ
①状況を見極める力をつける
子どもが親の前で立っているのをみたときに、即座に席を譲る行為をするのは立派だし、そういう習慣を付けておいて損はないとは思いますが、それが、いつも感謝につながるわけではないですね。
親のしつけの一つかもしれないし、子どもの自発的な行為かもしれません。
親切心を殺がれないためには、あまり、親切を拒絶される経験はしたくないものです、
となると、状況を見極める力も大事になります。
それを身につけるためには、外に自分の目と気持ちを開いておくこと、そして、周囲の人々の気持ちをそんたくできるようにしておくことです。そうすれば、自分の身の回りで困っている人、助けを求めている人を自然に見つけられるようになります。あなたの親切が、余計なおっせっかいとならないで済みます。
さらに副産物として、いろいろの人物像や振る舞いのおもしろさを発見できます。
こんな名言がありました。
「親切な行為は簡単に実行できる。親切にされた人は自分も親切にしたくなるから、親切の輪は広がっていく。」(「J.michinton「心の持ち方」Discover」
②自分が受けた親切は無条件に受け入れる
親切が気持ちのよい行為となるためには、受けた人が気持ちよくなり、それが反応として帰ってこないとだめですね。親切ー感謝がセットになってはじめて周りが元気になるのです。
 まずは、「魁より始めよ」です。あなたが、親切の受け手の名人になるのです。親切を気持ちよく受けて、感謝のことばを素直に出せるようにすることです。とりわけ、小さい親切は日常の生活を元気にする潤滑油ですので、あれこれ考えずに受け入れたいものです。
そして、受けた親切を心の借りとして心のどこかに留めておくようにすれば、それは次のあなたの親切を引き出す源になります。
なお、親切には、大きな親切もあります。
たとえば、大金を貸してもらったとか、急病で病院まで付き添ってもらったとか。こういう親切こそ真正の親切なのですが、これはきっちりとあとでそれなりのお返しをしないと社会人としては失格です。
③一日1親切
 「一日1善」にならって、一日1度は、親切をするというのはどうでしょうか。
 精神修行のようになってしまいますが、親切行為が習慣になるまでは、こうした努力もあってよいかもしれません。
 そして、うまく相手の感謝を引き出せたときの自分の気持ちをじっくりと味わうのはどうでしょうか。幸福感に満たされるはずです。
 そして、親切が受け入れてもらえなかったらケースがあれば、それはどうしてか、自分の状況の見極めのなにが間違っていたかを反省してみるのも、いいですね。
 一日1親切に加えて、週1、あるいは月1で、親切デイを設定するのもおすすめです。
その日一日は、徹底して親切にするのです。

ポジティブ心理術トレーニング「親切・感謝体験を思い出してみよう」@@@@@@@@@@

次のそれぞれのケースを2つずつ思いだしてみよう。
① あなたが親切―>感謝された経験
例 落し物を拾ってあげたー>助かったと感謝された


②人が親切―>あなたが感謝
例 車で右折を譲ってくれたー>片手をあげて感謝の印を


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親友「遠くの親戚より近くの友」周りを元気にするキーワード解説その14

2018-11-27 | ポジティブ心理学
親友「遠くの親戚より近くの友」

●親友がいない
 日本経済新聞の一番裏側に、「私の履歴書」と「交遊抄」の欄とがあります。
 「私の履歴書」のほうは、関心のある人の連載の場合以外はあまり読みませんが、「交遊抄」のほうは、記事が短いこともあり、よく読みます。そこには、筆者――多くは偉い方々――が親友を得たいきさつが書かれています。「持つべきものは友」あるいは「友こそ我が命」がよくわかります。
 実は、お恥ずかしい話ですが、そして、こうした記事がかける人をとてもうらやましく思うのですが、私には、このような記事を依頼されてもーーそんなことはまずないのですが(笑い)ーー、書くべき親友はいません。
 70年の人生の節目では、それなりに仲良しはいましたし、いわゆる友人付き合いは悪いほうではなかったと思いますが、心からの友、いわゆる親友はできませんでした。
 内心忸怩たるものがないわけではないのですが、この年にあるといまさらどうしようもありません。その思いをベースに、親友について、心の元気という点から考えてみたいと思います。

●親友と「普通の友」とを分けるもの
 ところで、親友とはどういう人を言うのでしょうか。
 一般的に言うなら、
 ・同性どうし(男女の親友的な関係はありうるとは思いますが、ここでは話を単純にするために除きます)
・その人のどこで何をしているかがわかっている
・経済的にも心理的にも相互の支援関係がある
 行動面で言うなら、
・連絡が途絶えない
・なんでも話せる
心理面で言うなら
・感情的に一体化している
・上下関係がない
といったところでしょうか。
 これらすべてを満たす友をあなたは持っているでしょうか。
 そして、そんな親友がいれば、あなたは心元気になれること間違いなしです。

●心を元気にするための親友作りのコツ
 自分に親友ができなかった反省もこめて、親友作りコツのようなものを考えてみました。書いてみて気がつきました。結局、男女間の恋愛関係を同性間で作り出すことが、親友作りです。
① 自律する
いろいろの場面でお互いが頼り頼られることはあっても、基本は、経済的にも心理的にも、自律していることが必要です。
  そうでないと、べたべたつるんで相互依存の関係となってしまいます。女どうしの「親友」関係に多く見られるように思います。真の親友というより、親友錯覚が親友的な関係を維持しているのだと思います。
② 積極的に自己開示する
 自分を相手にどれだけ知ってもらえるかが大事です。それが親密さを作り出すからです。
 ここでは、当然、頻繁な情報交換、しかも、対面での情報交換が基本になります
③知的であること 
 親友には、感情的な一体感はベースにありますが、それだけですと、破綻のリスクがあります。対人感情は、不安定だからです。それを補うのが、知的な交流です。
 知的という観点から情報交換に工夫を凝らすことになりますが、もっとも大事なことは、ここでは、対面よりも、手紙やメールなど、文字ベースの交流のほうが望ましいことになります。
 おおまかには、自己開示は対面で、知的な情報交流は遠隔でとなります。


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親切「隠徳あらば、陽報あり」周りを元気にするキーワード解説その13

2018-11-19 | ポジティブ心理学
親切「隠徳あらば、陽報あり」

●親切はうれしい
 先日、東京の下町で、地図を見ながら訪問先を探してうろうろ。「どこかお探しですか?」とおばーさん。「はい、ここに行きたいのですが」。おばーさん、「うーん、わからないなー」。でも、この声かけの親切、とてもうれしかったです。都会で道を尋ねるのはなかなか勇気がいります。ことわられる、あるいは、知らないと言われることが多いからです。
 人からもらう親切は掛け値なしにうれしい、と言いたいのですが、親切の押し売りということもあり、やや面倒なところもあります。
 ここでは、自分から行う親切を、周りを元気にするという観点から考えてみたいと思います。

●親切心、からずしも親切行動につながらず
 親切心は誰にもそれなりにあると思います。
 ただ、それを行為として実行できるかどうかとなると、なかなかストレートにはいきませんね。
 よく新聞の投稿欄に、座席ゆずりの顛末が載ります。ネガティブなほうだけでも、
 ・譲ったのに断られで、気分を害した
 ・譲るのを躊躇して、内心忸怩
 ・譲ってもらって、迷惑
 ・譲ったのに一言の礼もなく、不快
 これほどあれこれ不愉快なことがあるなら、いっそう、座席譲りの親切はもうしないと決め込んでしまいたいほどですし、そう決め込んでいるように見える人も多いですね。自分にもそんな時期がありました。
 似たようなことは、挨拶でもおこります。これが、また自然な挨拶を躊躇させます。

●親切な行為によって周りを元気にするコツ
①状況を見極める力をつける
子どもが親の前で立っているのをみたときに、即座に席を譲る行為をするのは立派だし、そういう習慣を付けておいて損はないとは思いますが、それが、いつも感謝につながるわけではないですね。
親のしつけの一つかもしれないし、子どもの自発的な行為かもしれません。
親切心を殺がれないためには、あまり、親切を拒絶される経験はしたくないものです、
となると、状況を見極める力も大事になります。それを身につけるためには、外に自分の目と気持ちを開いておくこと、そして、周囲の人々の気持ちをそんたくできるようにしておくことです。そうすれば、自分の身の回りで困っている人、助けを求めている人を自然に見つけられるようになります。あなたの親切が、余計なおっせっかいとならないで済みます。
さらに副産物として、いろいろの人物像や振る舞いのおもしろさを発見できます。
こんな名言がありました。
「親切な行為は簡単に実行できる。親切にされた人は自分も親切にしたくなるから、親切の輪は広がっていく。」(「J.Michinton「心の持ち方」Discover」

②自分が受けた親切は無条件に受け入れる
親切が気持ちのよい行為となるためには、受けた人が気持ちよくなり、それが反応として帰ってこないとだめですね。親切ー感謝がセットになってはじめて周りが元気になるのです。
 まずは、「魁より始めよ」です。あなたが、親切の受け手の名人になるのです。親切を気持ちよく受けて、感謝のことばを素直に出せるようにすることです。とりわけ、小さい親切は日常の生活を元気にする潤滑油ですので、あれこれ考えずに受け入れたいものです。
そして、受けた親切を心の借りとして心のどこかに留めておくようにすれば、それは次のあなたの親切を引き出す源になります。
なお、親切には、大きな親切もあります。
たとえば、大金を貸してもらったとか、急病で病院まで付き添ってもらったとか。こういう親切こそ真正の親切なのですが、これはきっちりとあとでそれなりのお返しをしないと社会人としては失格です。

③一日1親切
 「一日1善」にならって、一日1度は、親切をするというのはどうでしょうか。
 精神修行のようになってしまいますが、親切行為が習慣になるまでは、こうした努力もあってよいかもしれません。
 そして、うまく相手の感謝を引き出せたときの自分の気持ちをじっくりと味わうのはどうでしょうか。幸福感に満たされるはずです。
 そして、親切が受け入れてもらえなかったらケースがあれば、それはどうしてか、自分の状況の見極めのなにが間違っていたかを反省してみるのも、いいですね。
 一日1親切に加えて、週1、あるいは月1で、親切デイを設定するのもおすすめです。その日一日は、徹底して親切にするのです。


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自律「独立独歩で心は真正の元気を」周りを元気にするキーワード解説その12

2018-11-16 | ポジティブ心理学
自律「独立独歩で心は真正の元気を」

● 3つの「自」
昔、付属高校の校長をしていたことがあります。掲げるスローガンが、自主、自由、自律の3つの自でした。月一回の校長訓話で、話題がなくなると、あるいは、話の接ぎ穂やまとめに、よく使わせてもらい助かりました。
こんな引用もしたことがあります。
「環境からの独立、自分の頭でものを考えて環境を客観視し、自分を他人と区別して自立していく闘いのプロセスが、思春期の課題」(石田一宏「思春期を生きる力」大月書店)
今回は、その中から自律を、心を元気するという観点から考えてみました。
自律する心は、青年期において育てなくてはならない鍵となるものです。なにより、家族からの自律です。
青年期は、日本では近年は、どんどん長くなり、中学生から大学終わりくらいまでの10年間にも及びます。この間、若者は、自律のための試行錯誤を繰り返しながら生きていくことになります。ここで、どれほどの自律心が養われるかが、その後の人生を決めるようなところがあります。それほど、大事な時期でもあります。

● 自律は天上天下唯我独尊とは違う
さて、青年期の自律はさておくとして、自律心は、一生涯にわたり大切な心がけの一つです。
周りに左右されずに、自分なりの考えを持ち、自分ひとりになっても生きていけるように自分をコントロールできることは、職場、地域、家庭、どこでも、そして、青年期、成人期、老年期のとこでも大切です。
ただ注意しなければいけないのは、自律心旺盛と自己愛過剰との違いです。自己愛は、自分かわいい、そして周りを見下し、他人への共感性が欠如するような性格特性です。それが過剰になると、周りと軋轢を生じます。
これに対して、自律心は、周りへの共感性、配慮、さらには、感謝があっての自分一人でも大丈夫というものです。成熟した社会性なのです。
究極の自律心は、一人で心穏やかに死ねることだと思っていますが、しかし、こればかりは難しそうです。

● 自律心は、心を元気にする
あなたの気持ちが落ち込んだり、ネガティブモードになったりすることの原因のかなりのものが周りにありませんか。
・友人からけなされた
・同僚に負けた
  ・周りから認めてもらえない
 もちろん、周りからの影響には、ポジティブな影響もたくさんあります。
ですから、自律のすすめは、周りから孤立することではありません。あまりに周りに左右されて気持ちを一喜一憂させるような状況はやめたらどうでしょうかということです。
 自律心は、周りよりも自分、遂行目標より課題目標を志向することで、頭も気持ちも自分のコントロールのもとにおけます。これほど心地よいことはありません。これこそが真正の元気です。
やや脇道にそれますが、未来の仕事のイメージをR・ロバートンは、次のように予想しています。
「自分自身の裁量で、自分自身の必要に合わせて、自分自身の目的を達成するために、自分自身の世帯とローカルコミュニティで、個人および個人ペースで働いている」

● 心を元気にする自律心を作るコツ
① 比較しない
別項目で、比較心性を取り上げました。周りとついつい比較して自分のあれこれを評価して一喜一憂する心です。
これが自律心を作りだす大敵なのはおわかりですね。
しかし、周りと比較しないなんて、できそうでできないことです。人間は社
会的動物ですから。それがまた心を元気にするというところもありますから。ほどほどの比較はしかたがありません。
心がけることは、自分は何をしたいのか、自分はどうしたいのかを絶えず考えること、そして、それができているかどうかを絶えずチェックすることだと思います。要するに、これも別項目で述べましたが、課題目標志向でいくことです。

② 周りに頼らない
 アメリカ暮らしを始めていた時のことを思い出しました。自信のあった英語が通じないことがあって、知人の加藤さんにまるごと助けてもらいました。まったく10か月、自律できない生活を送ってしまいました。
 困難に直面したとき、頼れる人が周りにいるのは心強いのですが、安易に頼ってしまうと、せっかくの自律チャンスも失ってしまいます。
 過保護は、自律心には大敵です。
子育てでも、かわいい子には旅をさせます。ライオンは自分の子どもと千尋の谷に突き落とます。
自分を苦境に追い込む経験をたくさん積むことです。

③ 群れない
 付和雷同しない心意気、やたら誰かと一緒は、なしです。
 基本は、一人でなんでもする、できるようにすることです。極端なことを言えば、死させも一人で静かに受け入れられる気概です。

④ 自律のための基盤を作る
 自律のためには、それを周りから邪魔されないための基盤があります。
 一つは、経済的な基盤です。あえて貧しさの中で自律心を養うこともありますが、お金に、というより貧しさに気が取られては自律は無理です。
 もう一つは、家族です。外でも内でも自律できるためには、家族を大切にすることです。家族に気を取られなくともすむようにすることです。

 最後に若者の自律への気概と不安を見事に表現した句を紹介しておきます。
  「両親を議論して論破した 
   次からは誰を頼ればいいの」(若羽佑太)(東洋大学現代学生百人一首)
 
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サービス心「自分も気持ちよくなる戦略」周りを元気にするキーワード解説その11

2018-11-07 | ポジティブ心理学
サービス心「自分も気持ちよくなる戦略」

●サービス心ってどんなもの
 日本の「おおもてなし」が今、海外から注目されているのだそうです。
 たまに行くーー本当はもっと行きたいがお金がないーー、一流ホテルや料亭でのおもてなしには、感心させられますし、実に心地よく過ごせます。
 一方、最近ひどく増えたと思いますが、レストランなどでの外国人のウエータや店員のサービスにはかなり違和感を覚えます。それほど、「おもてなし」に我々日本人が慣れきっているのだと思います。
 こうした無形の(ソフトな)技術も、今や輸出される時代になったようです。
 さて、その「おもてなし」、もっと広く、サービス心。どんなものなのでしょうか。
 まず、基本は、徹底した相手(お客さま)の気持ち優先だと思います。時には、どんな無理難題も親身になって受け止められなければなりません。
 その上で、それを表現できるコミュニケーション力。言葉はもとより顔、からだで表現できるスキルがなければなりません。
 さて、そんなサービス心とスキルをあなたは持っているでしょうか。あるいは、持つ必要があるのでしょうか。
 あります。それも、まったくサービスに無縁の仕事をしている人々にも、自分の心を元気にするだけでなく、周りの人々も元気にするために、スキルのほうはともかくとして、せめてサービス心くらいは持ったほうがよいとのおすすめです。

●自分と周りを元気にするサービス心の活用のコツ
①いつもいつもサービスは疲れる
 サービス業に従事している人々を襲う病の一つに燃え尽き症候群があります。あまりに相手の気持ちにばかり配慮して自分の感情を抑えこんでしまった長年の心労が引き起こすものです。
 サービスは、あくまでサービス。所詮、あってもなくとも本質はかわらないくらいの気持ちがあって良いと思います。できる範囲でできるときにやればよいのです。無理は禁物です。

②気持ちが落ち込んでいるようなときに、あえてサービスしてみる
 気持ちが落ち込んでしまったようなとき、ずるいようですが、自分の気持ちを立て直すために、サービス心を発揮することもありです。これで、サービスを受けた人の喜んでくれれば、それが自分に返ってきてうれしくなります。
 会社で何かあったようなとき、一杯飲んでうさをはらすのもありですが、そんな時こそ、早く帰宅して家族サービスをするのです。

③自分ボランティアのレパートリーを増やす
 サービスの組織化されたものがボランティアです。
ボランティアの多くは、仲間と一緒に一定の手続きに従ってやります。となると結構、面倒です。それはそれでありですが、もう一つの自分なりのボランティアも大小とりまぜていくつか用意しておくと良いかと思います。
無償の善意の実行です。これは仲間不要です。でも、誰かのためになっている感覚は、真正の元気につながります。

① これが自分のサービスというものを一つ用意する
前項と矛盾しますが、何か自分のお得意のサービス、あなたならではのサービスを一つ持っていると言いと思います。おいしいお茶をいれてあげるとか、宴席で喝采を浴びる瞬間芸とかです。
何のサービスをしようかと考える手間隙を省くためです。


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KY「KYは必須、でもKY過剰は要注意」周りを元気にするキーワード解説その10

2018-11-04 | ポジティブ心理学
KY「KYは必須、でもKY過剰は要注意」

●KYは当然
 KY(kuuki wo yomu;空気を読む)。
 誰の造語?なのでしょうか。日本の文化、さらには若者の心をきっちりと読み取った見事な造語だと思います。
 もっとも、山本七平「空気の研究」という名著がありますから、もしかしたら、そこあたりが出所かもしれません。
 周りを意識して振舞うことは、あまりに当然なのですが、あえて、こういう造語が流行するのは、KY大事、それがゆえのKY過剰、逆に、KY無視への警告の意味合いがあるように思います。
 一般に、周りとうまくやれることは心理的に適応しているということの証の一つですから、KYは、集団としてのまとまりを強く求める日本の組織、社会では、大事な社会的スキルの一つとなります。
 ただそれも、程度問題です。KY過剰が続けば心に無理がきます。KY無視は、まわりとの軋轢を生みます。ほどほどのKYをどのように設計するかが、心元気になるためには必要となります。
 なお、安全・安心の世界では、「KY」は「危険予知」の略語として使われています。ちょっぴり似たところもあります。

●KYってどんなもの
 KYのKに相当するものに、集団雰囲気とか社会的風土という言葉が社会心理学にあります。大げさなものとしては、社風、校風、家風など、小規模なものでは仲間内で無意識のうちに共有されているルールやしきたりです。
 ・あからさまに見えない
 ・誰もあからさまにはそうするように教えてくれない
 ・KYのときだけ、周りから変な目で見られる
 まさに、空気のようなもので、そこにいる者にはあまりに当たりまえ過ぎて見えませんが、たとえば、新参者がくると、その言動がなんとなく変、浮いている、ということになります。
 なかなかやっかいものです。
 
●適度のKYで心元気になるコツ
①KYは、大事な社会的スキルであることを自覚する
 KYを馬鹿にしてはチームとしての仕事はできません。そのことをしっかりと自覚することが大事です。
 もちろん、あとでも述べますが、ときには、KYに逆らうことも時にはあってもよいのですが、基本は、KY大事の自覚は必須です。

②その場でできるだけ長く生活する
 とりわけ、新参者には、KYは必須です。しかし、そのほとんどは、みずからの努力で身につけるしかありません。
なにせ空気ですから、「見えません」。
なにせ、その場に独特のKが多いからです。
 それでは、努力のしようがないではないか、と言われそうですが、実はあるのです。
 それは、その場にできるだけ長くいることです。アフター5も含めて、場の中で過ごすのです。そして、ひたすら素直に周りを観察するのです。そして真似をするのです。

③KY過剰にも注意
Kは、実に読みにくいしろものです。それだけに、読むのにかなりの認知的コストがかかります。KYにばかり気を配っていると、仕事のほうにむける注意もままならなくなります。結果として、疲弊してしまいます。
 新参者が新参期にひどく疲れるのは、そのためです。
 さらに、周りに合わせ過ぎると、自分を失います。それも危ないですね。
 時には、一人になって、あるいは、昔の仲間とあったり、休暇を取ったりの息抜き、場のKY離れも必要です。
 さらに、その場に慣れたベテランも、時には、KY無視の言動が必要なこともあります。とりわけ、その場のリーダー的な立場にいるような人も、場の空気を変えなければならないことがあります。場のKがよどんできたり、マンネリ化してきたときです。
 人を動かす(人事異動)ような荒業もありますが、自ら、K無視をあえて演出してみることも場の活性化になります。




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傾聴「聴き上手はつらいけど、でもーー」周りを元気にするキーワード解説その9

2018-10-30 | ポジティブ心理学
傾聴「聴き上手はつらいけど、でもーー」

● カウンセリングは聴く力が大事
カウンセリングはもはや日本の社会ではごく一般的な営みになってきています。心理学の出番がふえることはありがたいのですが、それを必要とする社会情勢はうれしいことではありません。
・ うつ病で悩んでいる人が年々増えて年間100万人越え
・ 全国で起きたいじめの件数が年間12万以上
 こうした心をめぐる厳しい情勢の改善にカウンセリングだけで対処するには限界があるとは思いますが、しかし、カウンセリングには、心を元気にするために実にさまざまな心理技法があります。しかも、あえてカウンセリングを受けなくとも、心の元気作りのために、自分で自分なりに実践できるものがたくさんあります。
 その一つが傾聴です。
 傾聴ボランティアがあちこちで組織されているほど、その効果のほどには」定評があります。

● 傾聴とは
「傾いて聴く」から傾聴。からだを相手の方に傾けるほど熱心に相手の言うことを聴くことを傾聴と言います。英語では、active listeningです。
カウンセリングは、カウンセラーと来談者とがもっぱら言葉を介してやりとりしながら、来談者の悩みの解決をはかります。したがって、カウンセラーの聴き方がきわめて大事になります。そこから傾聴という聴き方の技術が出てきました。
傾聴の主なねらいは、相手を全面的に受け入れて(受容)、その言い分、気持ちを確認し理解すること(共感的理解)です。そして、いずれ相手が自然に自分の悩みや問題を自覚できるように助けることです。それに加えて、あなたも経験があると思いますが、「話してすっきりした」となってもらえることもねらうものです。
もちろん、カウンセラーの側には、クラエイントの悩みや問題についての情報収集という職業的なねらいもありますが。
さて、ここでは、傾聴をカウンセリングの技法として考えるのではなく、もっとルーズに、落ち込んでいる相手を元気づける会話の心理技法のひとつくらいに考えて、その効果的な方策の基本的なところを考えてみます。
 
● 気持ちを受容するーーー相手を元気にする傾聴の技法その1
 まず、相手の気持ちそのまま受け止める(受容)」ことです。
 では、「そのまま受け止める」とはどういうことでしょうか。
 自分のやや恥ずかしい経験からお話させてください。
25歳からこれまで大学でずっと教えてきました。若い頃は、鬼教員と呼ばれるほど学生諸君に厳しく対応してきました。受容とはほど遠いものでした。それが自分の娘が大学生頃になると、だんだん、学生に優しくなってきました。 
 それでもまだ授業などではかなり厳しくしてきました。それが還暦を過ぎた頃から、まさに学生のすべてを、あるがままを受け入れるようになってきました。授業などでの多少の不作法、規則違反にも寛大になりました。はたからみると、甘くなっただけ、ということからもしれません。
 教員側や保護者側からすると、そんなことでは、教育にならないと言われてしまうかもしれません。若い頃は自分ではそう思ってやっきました。しかし、それだけでは、やはり教育は十全なものにはならないと思います。厳しさと受容との使い分け、あるいは、受容あっての厳しさが、円熟した教育だと思います。
 余談が長くなってしまいました。
 こうした気持ちの変化。特に意識してそうしたわけではありませんが、傾聴の前提になる受容の心をわかってもらう手掛かりになるかと思い披露してみました。
この経験から言えることは、ひとつは、相手の良いところ悪いところすべてをそのまま認めること、2つは、相手には自分が勝てない世界があることを認めること、だと思います。2つ目については、少し注釈が必要です。
これも自分の経験からですが、加齢に伴って知力でも体力でも、学生にはかなわないと思わされることに遭遇する機会が増えます。自分の場合は50歳代に入った頃からでしょうか。
最初は見えも対抗心もありますから、負けまいとしてがんばります。自然に競争心から学生にも厳しくなります。しかし、年には勝てません。自分の衰えを受容する(せざるをない)ことになります。この自分のすべてを受容すること(できること)が、相手を受容できるようになるためにはまずは必要です。
自分の場合は、かなり高齢になってからそれができましたが、青年期も後期になると、それなりの自己受容ができます。それがないと、なかなか相手を受容するといっても、ちょっと無理があるかもしれません。でも、気持ちだけでも、その努力をしてみてください。
 では、受容の気持ちがあったとして、それを相手にどのようにすれば見せられるかです。
 まずは、相手の言い分、気持ちをたとえそれがどんなに理不尽であっても、奇妙奇天烈でも、その場にあわない支離滅裂なものであっても、それを批判したり、やめさせたりしないことです。かりそめにも、「忘れてしまいなさい」とか「泣かないで」などとは言わないのです。言い分、気持ちを受け止めようとする姿勢を見せることです。
 「間違っていれば直す」「うるさければ騒ぐな」「泣いていればたまらせる」となりがちです。これが大方の対応です。そこを我慢する?ことが、相手の受容につながります。
「間違えたらー>まちがえたねー」
「うるさければー>大きな音だねー」
「泣いていればー>涙がでるんだ」
指示や批判はもとよりへたな?解釈はしないことです。
さらに、聴き上手という言葉があるのはご存知ですね。相手が話しやすいようにすることです。まずは、あなたが話さないこと。
そして、相手が話すのを待つ、話したらあいづちを打つ。
これくらいなら、誰でもできます。人と話すのが苦手、という人がいますが、話さなくともよいのです。聴くだけでよいのですから。それで、相手が元気になってくれるのです。

●相手の考えを理解するーーー相手を元気にする傾聴の技法その2
あなたも、これまでも、しばしば、自分のことをわかってもらえないつらさを味わったことがあるはずです。
自分のことを隅から隅まで知っていているはずの家族でさえも、時には、驚くほど聴く耳持たずを実感させられたことがあったはずです。中学生くらいからそんな実感を抱くことが」がはなはだ増えてきたはずです。
これは、青年期の発達段階で誰もが遭遇し、そしてそれなりに克服のための努力を求められる課題の一つです。
こんなときに頼りになるのが、聴き上手、そしてあなたを理解してくれる友達です。その友達の一人にあなたがなってあげるのです。
 では、どうしたら、相手を理解できる聞き手になれるのでしょうか。
まずは、相手の話の内容を確認することです。
「あなたの言いたことは、こういうことですね」と相手の言ったことを反復して確認するのです。
 たとえば、「なんだか、最近、上司の顔を見るとむしゃくしゃして困る」と相手が漏らしたとします。さてあなたは、どう反応しますか。まず、だめなほうから。でも、実にしばしばこうした言葉返しをしてしまいがちです。
・「自分にもそんなことがあったなー」
傾聴では、相手への安易な同情—共感とは違うーーはしないほう無難です。
・「できるだけ、上司の顔をみないようにすれば」
傾聴では、指示や忠告は禁物だからです。
・「どうしてむしゃくしゃするんですか?」
  傾聴では、質問や追求も避けたほうがよい。
・「そんなこと忘れて、遊びにいかない?」
  傾聴では、話題をそらすことはいけません。
・「それで、どうしたの?」
  傾聴では、話をせくようなことはだめです。
・「長くなりそうですね」
 傾聴では、とことん話を聴く姿勢がたいじです。
 
では、どうしたらよいのでしょうか。実に簡単にできることがあるのです。
さきほどの相手の訴えには、こう答えれば良いのです。
  「上司の顔を見ると、むしゃくしゃするのかー(確認)。でも、なぜ、自分がむしゃくしゃするかはわからないんだ(共感)」
だだ、これだけで良いのです。あとは、相手がさらに話すのを待ちます。
 確認とは、このように相手の話の内容を確かめるだけなのです。これなら、誰にでもできそうですね。
 確認のための具体的な方策のいくつか。
① 相手の話が長くなると、確認する内容が増えてしまいますので、随所で、細かく確認をいれるようにします。
② おうむ返しでもよいのですが、先ほど「正解例」のように、自分なりの表現に変えて返してやると、相手も理解してもらっている感触が得られます。

確認には、要約も必要です。
相手の話が長くなってきたときには、一つ一つの細かい内容だけの確認よりも全体としての相手の言い分を要約して確認をとる必要があります。これは、かなり高度な頭の働きが必要ですが、これがうまくいくと、相手自身が「あーそうだったんだー」「自分のもやもやはそれだったんだー」「わかってもらえたー」となります。
ここまでできるようになれば、傾聴の達人ということになります。

●聴かされる方は、しかし、辛い
最後に余談。
昔、あるカウンセラーと長期間同宿したことがあります。そして、彼から夜ごと、ものすごいうなされ声に脅かされることになりました。1週間くらいしておさまりましたが。どうかしたのですか、と問うと、カウンセリングによって生じたストレスによるのだということでした。
 相手(クライエント)のわけのわからない?話を傾聴するのも楽ではないようです。
ポジティブ・コミュニケーションでは、相手も喜び、その喜びの笑顔が自分の喜びになって、お互いが幸せ気分に浸れるのですが、傾聴は、その点で大変な非対称性があります。
カウンセリングの場面では、それを使命とする仕事ですからしかたがないところがありますが、普段のコミュニケーションでは、いつもいつも傾聴役は避けたいところです。適度の役割交代ができるのが理想です。
そのためには、コミュニケーションの場、雰囲気を読むことが大切です。
会話の天才・若きガールでは、「ねーねー聞いて、聞いて」で話し手になるきちを宣言してしまう人がいますね。そんなときは、「今日は聴き役」になってあげる。その代わり,おごりよ」なんて雰囲気は最高ですね。
会話力が貧弱な男には、お酒でも飲まないとなかなかできない芸当ですが、学んでもよい会話の心理技法のひとつだと思います。
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協調「皆と仲良くは理想ではあるが、しかし、―――」周りを元気にするキーワード解説8

2018-10-28 | ポジティブ心理学
協調「皆と仲良くは理想ではあるが、しかし、―――」

●皆と仲良く
 人間は社会的動物ですから、周りと仲良くすることには長けています。だからこそ、仲間と一緒に協調して何かをするのですが、一方では、どういうわけか、仲間と喧嘩したり、仲間を裏切ったりもします。裏切り者を見わけるのも得意らしいのです。
不思議ですね。
人間、表裏一体、あるいはアダムとイブとで完全ということでしょうか。
となると、協調だけを取り上げてしまうのは、片手落ちになりますが、心の元気という点では、どうしてもこちらの話になります。協調の裏、攻撃や裏切りや孤立といったことにも配慮しながら話をすすめていきたいと思います。

● 日本社会は協調社会?
毛利元就の3本の矢の教えはご存知だと思います。3人の子どもに、協調してことにあたることの大事さを諭した逸話ですね。
日本の社会では、協調することの大事さが事あるごとに強調されてきました。村社会、あるいは、終身雇用制のもとでは、いつも周りに同じ人々がいるわけですから、そういう人々と協調しないとなにかと都合が悪いことが起こってしまうからです。
ところが、高度成長期あたりからでしょうか、日本全土、都市化現象で、協調化社会が崩壊しつつあるようです。お隣の人への関心が希薄になるほうを好むようになってきました。一人ひとりが孤立して好き勝手に生きるほうがよいと考える人々が大勢を占めるようになってきました。
なんと結婚観さえ劇的に変わってしまいました。総理府の最近の調査では、結婚しなくてもよいと答えた成人が70%にものぼっています。びっくり、というより日本、どうなってしまうのか心配です。
昔、NHKで「無縁社会」というシリーズが放映されて話題になりました。これまたびっくり仰天の無縁の現実が紹介されています。
不況や高齢者人口の増加、少子化、そして自殺者の増加傾向、不機嫌職場の増加など、あまりうれしくない状況があれこれ発生してきました。
しかし、希望的な見通しですが、もしかすると協調社会への揺り戻しがあるかもしれません。そうあってほしいものです。2010年5月10日のasahi.comにこんな記事が掲載されていましたので紹介しておきます。
「首都圏で「シェアハウス」が20~30代の社会人に人気だ。一人ひとりは個室に暮らすが、キッチンやリビングなどは共用。といって、一昔前の安下宿とは大違いで、ダーツ場やお姫様気分の味わえるバスルームがあったり。プライバシーを守りつつ、共同生活の楽しさも味わえる。「深くも浅くもない人間関係」を求める世代の感覚に合っているようだ。」
いずれにしても、ここでは、あくまで、個人の心の元気に焦点を当てますので、あまり大上段に振りかぶっての話はしませんが、こうした背景も承知はしておく必要があるように思い、ちょっぴり寄り道をしてみました。

● 周りを元気するための協調のコツ
① 無理はしない
社会的動物だからこそかもしれませんが、皆と一緒は、裏切られることへの警戒心からか、表向き協調、裏ではあれこれ、という面があることは否定しえません。
その「あれこれ」に負けてしまうこともあります。あるいは、それでも協調を装うという無理も必要なことがあります。そうなると、協調の場は、ストレッサーの発生源になってしまいます。
もしそういうことがあれば、バランスをとる必要があります。
時には、一人に、時には、いつもとは違った人々と一緒、といった機会も必要です。

② 周りに関心をもつ 
KY(空気が読めない)という言葉がはやりました。本当のところはわかりませんが、ここでは、協調圧力の強い日本社会であるがゆえに、協調できない人が目立つにようになったことへの警鐘ととっておきます。
自分だけが可愛い、大事という自己愛の強すぎる人が増えているとの指摘もあります。
あからさまな協調、自分を抑えた無理な協調も困りますし、健全ではありませんが、かといって、これも困りますし、集団の雰囲気を壊します。
せめて、not―KYでいきたいものです。

③  助ける
 協調を強調すると、どうしても周りから同調への圧力がかかります。受身での協調ばかりしていると疲れます。それよりも、どおせなら自分から積極的に協調のための行動を起こすほうがストレスも感じないですみます。
その基本は、周りを助けるという気持ちと行動だと思います。困ってそうな人がいたら即座に気楽に手を貸してあげることです。

④ 人との協調よりも仕事の使命と協調する
 人と協調すると考えると、裏もでてきます。協調することが自己目的化してしまうなんてことも起こってしまうかもしれません。
 でも、よくよく考えると、人と協調するのは、何か目的があるからです。たとえば、
 ・チームを勝利に導く
 ・一緒に企画を完成させる
 ・家族一丸となって、苦境を脱する
 そこで、事の使命と協調するのだ、と考えてみてはいかがでしょうか。
 そうすれば、人との協調ができなくとも、あまり気にしなくとも済みます。人との協調は、あくまで手段の一つと考えるのです。そうれば、気楽になれます。その気楽さ余裕が、かえって人との協調をより良質のものにするということもあると思います。
 
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競争「競争だけではなく協創も」周りを元気にするキーワード解説その7

2018-10-22 | ポジティブ心理学

競争「競争だけではなく協創も」

●男は競争が好き?
 「男は競争好き、女はおしゃべり好き」
 こんなセリフをどこかで聞いたことがあります。
競争は、好き嫌いの問題ではなく、人が限られた資源の中で生き抜くためには避けて通ることのできない営みだからです。男か女かは関係なく人はみな否応なしに競争に巻き込まれます。それが、人類を進化させてきたのです。
伊藤忠商事社長(当時)の岡藤正広氏曰く。
「動物は環境に順応するだけだったが、人類は競争することで環境を切り開いてきた、ーーーー競争がないと、生きていても楽しくないやろ。」
 ところで、競争に共通しているのは、相手よりも早くできるか、相手よりできがよいかです。前者が時間競争、後者は力競争です。たとえば、
 時間競争は、スピード競技、発明・発見競争など。
 力競争は、重量挙げ、受験競争などです。
さて、こうしたことを踏まえたうえで、心を元気にする習慣づくりという観点から競争について考えてみます。

●競争で勝つこと
 やや余談になりますが、競争ってどんなものかについて、さらに、一つのエピソードを紹介しておきます。
 競争というと、ただちに頭に浮かぶのは、スポーツですね。でも、競争は、社会のいたるところで行われています。
 そうした競争、いずれも、相手に勝つことを目的にしていることは言うまでもありません。ただ、問題は勝ち方です。
 いきなりですが、タイガーウッズが、競り合いの場で、相手が見事なバーディを決め自分より有利になったにもかかわらず、その相手のプレーに対してガッツポーズをしたという話があります。
 なぜでしょうか。
 スポーツマンなら彼の気持ちがわかるかもしれません。
競争では、相手がミスをしたり、力を出せなかったりで自滅してしまって、勝てることがしばしばです。しかし、ウッズ選手はさすがですね。相手が最高のプレーをした。それにもかかわらず自分がそれに勝てるとすれば、それは自分に力があることのこの上ない証明になる、というわけです。
一流の選手は、やはり違いますね。イチローも、こんなことを言っています。
「ライバルとは、自分が打ち負かしたい人間ではない。それは、自分のモ  チベーションをあげてくれる存在であるべきだ。」
トップアスリート2人に共通しているのは、競争を、相手に勝つためではなく、自分をより高めるための場としているところです。
すごいですね。だからこそのトップ、一流なのですね。 
このように、競争には、勝ち負け志向だけでなく、達成志向という面もあることは知っておくとよいと思います。たぶん、達成志向の競争が、人類の進歩を牽引してきたのだと思います。
ところが、自分が楽しんでいる素人テニスの試合では、相手が(自分も!)実によくミスをします。ですから、ミス期待でひたすらねばります。それだけで結構、ゲームに勝ててしまいます。うれしくなってしまいます。だからいつまでももう一段上にいけないのですね。反省です。
もう一つ余談。不謹慎にも今朝のニュースで思わず爆笑してしまいました。 
シニアゴルフ大会で、仲間に睡眠導入剤を飲ませて自分が優勝しようとした70歳のゴルファーが逮捕されました。きっと、厳しい競争社会での勝者だったのではないかと推察します。
 ついでに、「ニーチェの言葉」(Discover)より引用しておきます。
 「勝つのなら、僅差ではなく、圧倒的な差をつけて勝つのがよい。―――相手を辱めるようなきわどい勝利や、微妙な勝ち方、遺恨を生むような勝ち方は良くない。」
 もう一つついでに、
「一人一人が真摯に競争に向き合うときにこそ、真に人間性が培われ、豊かな 幸福を実感できる社会に近づける」(齊藤誠)

●勝てば気持ち元気
 勝ち方にはいろいろあっても、ともかく勝てば元気になれるのが人間です。
 それが次の競争に駆り立てることになります。かくして、競争中毒まっしぐらとなります。
 日本全体がこうなった時期があります。自分が研究者生活に始めた頃の高度成長期(1960年代)でした。あらゆる資源が拡大する時期でしたから、誰もが努力さえすれば競争の勝者になれました。敗者も復活が比較的容易でした。
 ですから、社会全体、元気が溢れていました。
 自殺者数も、この時期、劇的に減少しています。不思議というか、単純というか。
 最近はどうでしょうか。限定された資源の中での競争を強いられています。ゼロサム競争です。勝者がいれば必ず敗者もいる競争です。
さらに、ひとたび敗者になるとどうにも這い上がれない状況になってしまいました。
 朝日新聞(2010年8月28日付け)の「between」欄に「競争は好きですか?」のアンケート結果(4588人)が掲載されていました。
 好きが43%、
 嫌いが57%
ほぼ半分にわかれました。
 好き派の理由は、
「努力が報われる」
「自分の実力を知りたい」
「全体の向上が期待できる」
がトップ3でだんとつでした。
 嫌い派の理由は、
「心おだやかに生きたい」
「人と比べることに意味はない」
の2つがとび抜けていました。これが極端になると、「競争から降りてしまう」ということになります。
 あなたはどうでしょうか。
 いずれにしても、現実は競争社会です。厳しい競争を勝ち抜かねばなりません。

● 競争で心を元気にするコツ
① 競争中毒からの解放
 競争に勝つことは心を元気にすることは間違いないのですが、いつもいつも勝つということはできません。必ず、負けることがあります。負ければ、心は落ち込み、最悪、心が壊れます。ですから、大事なことは、負けたときの心の対処のスキルを身についておくことです。
 まずは、普段から競争中毒からの解放を習慣づけておくことです。そうすれば、負けてもダメージがすくなくてすみます。
 人生に競争はつきもの。そこから降りるわけにはいきません。しかし、競争中毒になっては困ります。こんな症状です。
 ・いつも勝ち負けが気になる
 ・勝ち負けの視点からしか世の中、仲間を見ることが出来ない
 ・勝ったときと負けたとときの気持ちの振幅が大きい
 ・四六時中、勝つための努力をしないと気がすまない
 ・勝つための努力をしたものはそれ相応の尊敬と処遇を受けて当然の思い込んでいる
 こういう症状があれば、危ないです。
 ではどうするか。簡単なことです。一時的に競争から降りる習慣をつけておけばよいのです。
 「一時的」の意味は、通常の休暇をきちんととることが基本ですが、それ以外にも、勝ち負けとは関係のない生活、たとえば、家庭生活、趣味や勉強(研修)などを生活の大事な一部としてきちんと組み込んでおくことです。
 そして、気持ちの上ででも結構ですが、勝った功績を時には人に譲るのです。
勝つことにとらわれないためです。しかも、そうすれば、あなたの周りも元気になれます。
さらに大事なことは、負けたときの周囲からの支援が得られようにしておくことです。いわば、競争に保険をつけるようなものですね。

② 競争とは無縁のサンクチュアリー(聖域)を用意しておく
 競争中毒からの解放のためには、さらに、徹底して競争する領域を用意しておく、というより、競争をそこに限定するのです。
 アメリカでは、仕事で切った張ったで儲けた莫大な財産を慈善事業に寄付することが普通に行われています。
 競争で勝つところと、競争とはおよそ縁のないサンクチュアリー(聖域)とを行ったりきたりしています。
 これは、生き方としてはなかなか賢いと思います。
 我々貧乏人でも、お金はなくとも、その生き方は真似することができます。
 それは、仕事の場と趣味の場、職場と家庭といった形でもよいし、仕事でも、競争するときところと競争とは無縁の時、所を分けてもよしです。

③競争のルールを守る
 スポーツの競争がそうですが、競争には、必ず、ルールがあります。
 自由競争という言葉は、厳密に考えると形容矛盾です。ルールの下での競争が、競争に内在する野放図な振る舞いを制御します。
これは、しかし、競争する人にとっては、ありがたいことです。これがあるから、節度をもって、ある意味、安心して競争にのぞめるのです。
ルール破りは即勝ちにつながりますから、その誘惑は時には強烈なものがあります。しかし、それは心の元気にはまったくつながりません。かえって、強いストレス、場合によっては、PTSDにさえなります。
ルールを守っての相手との節度ある闘争心による気持ちよい勝ち方こそ、心のさわやかな元気につながります。
小林秀雄の1節を引用しておきます。
「選手たちは、定められた秩序や方法を、制約とは少しも感じていない。規律があるのが楽しいのだ。まず規約がなければ、自由な努力などすべてむなしいというむずかしい問題を、楽々と解いている。詐術も虚偽も粉飾も、這入りこむ余地はない。」
④負けることもあってよい
「勝つ事ばかりを知って、負くる事を知らざれば、害その身に至る」(徳川家康)そうです。また、「負けるが勝ち」という格言もあります。
どんな害があるでしょうか。
全戦全勝で最後までいけるなんて、現実的ではありませんね。そうなると、最大の害は、勝つことを支えた知識、方略が習慣化してしまい、状況が変わってしまっても、相変わらず前と同じようにやってしまい、手痛い、場合によっては破局的な敗(負け)にぶつかってしまうことではないでしょうか。
負けて見えてくるものはたくさんあります。そこからたくさんのことが学べます。その学びこそ、次の勝ちを磐石にします。
さらに、勝ちには、勝たせてもらっているという面もあります。「勝っておごらず」ですね。勝たせてくれたもの、人への感謝も念も、かかせません。

⑤一番より一流をめざす
競争は、相手に勝つことが目標になります。しかし、競争の勝ち負けは時の運、相手によって決まります。それはそれ、もっと上の目標をめざすこともあってよいと思います。競争の勝ち負けはそこへ到達するための過程の一つに過ぎないのです。


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寛容「寛容になれれば心穏やか」周りを元気にするキーワード解説6

2018-10-20 | ポジティブ心理学

寛容「寛容になれれば心穏やか」

●寛容になれる
 この一連の連載を書いているうちに、自分の心が次第にかわってきたことに気がつかされました。
 その一つが、何事にも寛容になれるようになってきたことです。
 以前なら、お店の店員さんのちょっとした応対に腹を立ててしまうようなことがしばしばありましたが、最近では、「店員さんも大変なんだ」という相手への寛容な気持ちになれます。 
 こういう内容の原稿を書くことが気持ちの変化をもたらしたようです。
 もしかして、この連載をお読みいただいている方々も、そんな気持ちになっていただけたらうれしい限りです。

●寛容度ゼロ運動
 寛容をめぐるエピソード2つ。
 かつて、そして今でもアメリカでゼロ・トレランス運動があります。トレランス(tolerance)は寛容の意味です。
学校現場での子どもたちの無秩序で勝手放題の行動に立ち向かうための学校側からの容赦のない反撃です。
 そういえば、逆に、「寛容と忍耐の政治」なんてスローガンを標榜した政治家(第58代首相・池田勇人による)もいましたね。
 教育現場での寛容度ゼロ、政治の世界での寛容度100%。なんだか奇妙な対比ですね。
 それはさておくとして、寛容が、こういう現場であらためて取り上げられるところに、その大事さがうかがえます。

● 寛容であることは気持ちがいい
寛容になるとどういうことが起きるのでしょうか。
周囲に対する共感性が高まります。
最近よく使われる「相手目線」、心理学で言う「視点取得」です。相手の立場から事態をみつめることができます。結果として、相手を肯定的に受け入れることができます。
・周囲に対する見方、振る舞いが変わります。周りが善意に満ちてみえます
・おおらかでゆったりした振る舞いをするようになります。
・結果として、相手もまた同じような見方、振る舞いをしてきます。
・場全体がポジティブ感情に満たされます。
こうした場として今ただちに頭に浮かぶのは、お祭り。
昔、徳島大学に赴任したその年。阿波踊りに参加した時に聞いたのですが、踊り期間中は、喧嘩などの類が極端に減るのだろそうです。お祭りという場が、人々を寛容にするのだろうと思います。

● 寛容になるためのコツ
① 許しの心が必要
何か気に入らないことがあっても、それにまともに立ち向かう気持ちがあっては、寛容とは逆の方向にいくことになります。
許しの心というと大げさになりますが、あるがままに人と場のすべてを受け入れる、といったような気持ちです。
 「自分自身の健康と幸福のために、 少なくとも敵を赦し、忘れてしまおう」
(カーネギー)。

② 忍耐も必要
不快や不条理に耐えられないと、寛容にはなれません。
ややしんどい心の作業になりますが、これも、習慣にしてしまえば、なんとかなります。
育児や介護の経験が、寛容と忍耐を身につける格好の現場ではないかと思います。実は、自分もここ25年くらいの介護の経験をしていますが、それが驚くほど自分を変えました。寛容と忍耐が確実に身に付きました。
 そうした中で心の習慣となっているのは、即応しないようにすることがあります。
 気に入らないとき、不快なときに、一拍おく心がけです。
 攻撃、不快といった感情は、その発生源に対してすぐに対応するように心はできています。そうしないと、生き残れないからです。
 しかし、今私たちの生活している場にそうした厳しさもはやそれほどはありません。だから、その感度を低めるのです。「どうということない」くらいの感じですね。
いずれにしても、寛容の心を身につけるのは、他のポジティブな特性を身につけるよりは、はるかにきついと思います。たぶん、ポジティブな特性の集積として自然に出てくるように思います。年輪を重ねないと無理かもしれません。

●寛容であることのマイナス面
 寛容は、周囲の「悪」を野放しにしてしまうところがあります。ですから、何事に対しても寛容というわけにはいきません。ここ一番は、というところでは、ゼロ・トレランスが必要です。
 余談になりますが、今の大学に移った1年目、教室での学生の私語には悩まされました。毎時間、怒声をあげるような状態が続きました。3年目になり、がらっと自分の考え方をあらためて、まさに、寛容jと忍耐でのぞむようにしました。
 相変わらず私語は続き、教室はあまり好ましい学習環境ではありませんが、しかし、こちらのほうの気持ちは実に穏やかで余裕のあるものなりました。まさに、寛容とひとのためならず、です。それでも、ちよっぴり、彼らも寛容と忍耐を発揮してくれることを期待しているところです。
 




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ポジティブマインド」昔の本の宣伝

2018-10-12 | ポジティブ心理学
ポジティブマインド―スポーツと健康、積極的な生き方の心理学 (ワードマップ)
クリエーター情報なし
新曜社





内容(「BOOK」データベースより)
人間の本来的な強さに着目して心身の健康の維持と増進を目指す、スポーツ心理学、健康心理学、ポジティブ心理学の基本知識と最新の成果を、40のキーワードで解説。

著者略歴 (「BOOK著者紹介情報」より)
海保/博之
1942年千葉県生まれ。東京教育大学教育学部大学院博士課程中退。博士(教育学)。現在、東京成徳大学応用心理学部健康・スポーツ心理学科教授。主な専門領域は、応用認知心理学

中込/四郎
1951年山梨県生まれ。東京教育大学大学院修士課程体育研究科修了。博士(体育科学)。現在、筑波大学大学院人間総合科学研究科教授。主な専門領域は、スポーツカウンセリング、スポーツ心理学

石崎/一記
1958年埼玉県生まれ。筑波大学大学院博士課程心理学研究科中退。教育学修士(心理学)。現在、東京成徳大学応用心理学部大学院心理学研究科教授。主な専門領域は、発達心理学、環境教育学

外山/美樹
1973年宮崎県生まれ。筑波大学大学院博士課程心理学研究科中退。博士(心理学)。現在、筑波大学大学院人間総合科学研究科准教授。主な専門領域は、教育心理学(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)

登録情報
単行本(ソフトカバー): 232ページ
出版社: 新曜社 (2010/4/5)
言語: 日本語
ISBN-10: 4788511959
ISBN-13: 978-4788511958
発売日: 2010/4/5
梱包サイズ: 19 x 13 x 1.8 cm
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かわいい「かわいいものは元気をくれる」周りを元気にするキーワードその4

2018-10-07 | ポジティブ心理学
かわいい「かわいいものは元気をくれる」

● かわいいの心理学
 原稿を書く時は、発想を固めるためにネット検索するのが習慣です。
 しかし、今回の「かわいい」についての心理学的な研究や知見はまさかないだろうなーと思いつつ検索してみました。そしたら、ありました。
広島大学の入戸野宏氏が立派な論文をネット上にアップしているではないですか。
心理学はゴミための中から宝石をみつけるようなところがある、とかつてある大先生が言っていたのを思い出してしまいました。
それはさておき、その論文の中で、氏は「かわいい」のイメージ調査を行い、「頼りなく、弱く、小さく、緩んで、遅く、軽い」
という特徴を見出しています。
 さらに、その論文中に紹介されていた前田實子(武庫川女子大)によると、かわいいとされる対象の特性として、
「小さい、丸さ、軽さ、白さ、透明さ、やわらかさ」
があるとされています。
 広告宣伝の世界には、困った時の3Bというのがあるのでそうです。
 Baby(乳幼児)
Beast(動物)
Beauty(美人)
 確かに、この3つ、「かわいい」イメージと特性を備えていますね。これは広告の世界だけでなく、自分の身の回りにいると、心元気になります。

● 心を元気にする「かわいい」の活用のコツ
① 若い世代、とりわけ女性に学ぶ
 携帯やカバンのストラップは、いまや男女を問わず、ぶら下げていますが、とりわけ、ガールのそれには、かわいいものが多いですね。
 ストラップに限りませんが、女性にとっては、「かわいい」は自分の容姿も含めてかなり重要な概念となっていると思います。
 ・かわいいものを買う
 ・かわいいものを身につける
 ・かわいいものを周りにおいておく
 いずれも、女性にかないません。
 ノンセクシュアルの傾向が強い昨今、若い男性世代は、こだわりなくーー恥ずかしげもなく、とつい言いたくなりますがーーーかわいさ志向になってきていますから、日本社会至る所かわいさだらけとなるかもしれません。心を元気にするという点では、大いに結構な傾向ではないかと思います。

② 「かわいい」を自分で作り出す
かつて放映されていたNHKの番組「東京かわいい」をご覧になった方は、
お気づきかと思いますが、「かわいい」ビジネスが結構、さかんらしいのです。しかも、アジアやヨロッパもマーケットに広がりを見えているらしいのです。
 そこで紹介されているかわいいグッズ。びっくりするようなものが続々です。
 なにか新しい創作の領域が生まれているかのようです。しかも、創作している方々が実に元気に活動しているのです。
 一層、あなたも、何かかわいいものを創造してみたらどうでしょうか。創造というと大げさですね。部屋をかわいくするところあたりから始めてみたらどうでしょうか。観賞するだけよりも、もっともっと心が元気になれるはずです。

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