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歌「歌うと気持ちが高揚する」

2018-04-21 | ポジティブ心理学
歌「歌うと気持ちが高揚する」

●歌うと心もからだも元気
自分は、カラオケは、2,3度、酒席で無理やりさせられたくらいの経験しかありませんが、世間では、カラオケは、もはや子どもでも楽しむ娯楽文化の一つのようですね。豪華なつくりのカラオケのお店があちこちにありますから、カラオケ人口は相当な数になっているかもしれません。
ちなみに、カラオケの発明者・井上大佑氏は、2004年にイグノーベル賞(ユーモア一杯の発明発見に与えられる賞)を受賞しています。
カラオケの話はこれくらいにしますが、歌うことは、気持ちが良いし、気持ちを元気にしてくれます。
名前を思い出せないのですが、ある歌謡ショーでこんなことを言っている歌手がいました。
「(小説だと」何百ページもかけて伝えようとする感動を、歌はわずか数分で伝えるのです)
さらに、謡(うたい)を習っている人から、「複式呼吸で声を出すので内臓が鍛えられる」という話も聞いたことがあります。

自分では今はほとんど歌うことはありませんが、若い頃は歌集本を買って大声をあげていたことがあります。そういえば、「歌声喫茶」なんてのもありました。
歌は心もからだも元気にする文化なり、を今更ながら得心しました。ここはその話です。

●歌と心
 歌には、歌詞と曲(メロディ)とがあります。それらが気持ち密接に関係しています。
 歌詞には、気持ちが陰に陽に込められています。歌詞の意味がわかれば、どんな気持ちが込められているかはかなりはっきりとわかります。
 曲にも、気持ちが反映されていることは実感できます。ただ、こちらのほうは、曲単独ではそれほどはっきりとはわからないことがあります。
歌詞と曲とがぴったり、あるいは逆に、そぐわない、ということがありますから、歌詞と曲とは微妙にコラボレーションして気持ちに影響を与えているのだと思います。
したがって、ある歌が好き、ということは、その歌に込められた気持ちにも共感することになります。
気持ち元気になりたければ、ポジティブな感情がこもった歌がよいことになりそうですが、このあたり、なかなか面倒な話があるようです。音楽心理学に詳しい松本じゅん子氏によると、「同質の原理」というのがあって、感情と一致する音楽のほうが、好まれるらしいのです。論文の要旨からさらに詳しく引用しておきます。
「悲しい音楽は,悲しみが弱い時には効果を及ぼさないが,非常に悲しい気分の時に聴くと悲しみを和らげる効果があり,状況によっては気分に有効に働くことが推察された。」

●歌って気持ち元気になるコツ
①聞くより歌う
スポーツと同じで、歌も聞くだけでも気持ちが元気になれことがあります。でも、できれば、歌いたいものです。スポーツと同じで、やるほうが格段に楽しいからです。
何かを自分からすることは、気持ちを前向きにします。たとえ、悲しい歌でも、ともかく歌うことです。歌っているうちに元気になってきます。
なぜかというと、歌うためには、歌詞と曲を思い出す必要があります。そのために注意を集中して頭をフル回転させなくてはなりません。それが心地よいのです。
さらに、歌える歌には、何度も歌った経験がありますから、親密感が湧きます。これも心地よさにつながります。
②歌をストックしておく
 カラオケの話を冒頭にしましたが、そのカラオケも、今や自宅で楽しるのだそうです。また,IT技術のおかげで、手軽に安価に好きな音楽を手元にストックすることができるようにもなりました。ありがたいことです。
そんな環境を活用して、歌うことを楽しむことです。そして、なじみの歌のレパートリーを増やして記憶しておくのです。
気持ちを元気にするには、無論、ポジティブな内容のものが良いことになりますが、歌うことの元気づけ効果もありますから、あまり内容にこだわることはないと思います。

③仲間と一緒に
 カラオケがすごいのは、仲間と一緒に歌って楽しめる環境を作りだしたことです。昔、いや、今でもあるかもしれませんが、歌声喫茶の現代版とも言える環境を作り出してくれました。
歌うのは気恥かしいところがあります。ですから、ついつい一人歌いになりますし、それはそれで心を元気にする効果があります。放歌高吟なんてこともあります。
でも、時には、仲間と一緒に歌う楽しさも満喫されることもおすすめです。
仲間との一体感を作り出すために歌は極めて有効な手段です。校歌、社歌斉唱ですね。そういえば、軍歌もありました。
歌の内容そのものよりも、仲間と一緒に同じ歌を歌うことで、歌に込められた感情を仲間と共有する心地よさもあります。



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挨拶「周りを元気に明るくする簡単言葉」ほンわか「あ」一日10回運動

2018-04-11 | ポジティブ心理学

挨拶「周りを元気に明るくする簡単言葉」

● あいさつ実験
今日こそ、散歩をしながら、行き交う人々に挨拶しようと、出かける前に決心します。近隣には、自分とおなじくらいの高齢の方々がたくさん散歩しているし、あちこちに最近はられるようになった防犯ポスターの一つ「挨拶こそ 地域の絆づくりの第一歩」を実行せねばと思うからです。
ところが、これができないのです。つい、目をそらし、頭をたれて、通り過ぎてしまいます。
相手もその気持ちのほどはわかりませんが、先方から挨拶してくる人もまずいません。
でも、時折、思い切って挨拶すると、相手からも挨拶が返ってきます。これもおもしろいですね。しかも、うれしいですね。
まれですが、挨拶しても無視されることもあります。これは気持ちがちょっぴり傷つきますね。それがいやで、あるいは怖くて、率先挨拶をしたくないということもあります。
一方、わが大学のキャンパスでは、実によく学生から挨拶をされます。うるさいく
いです。
散歩している人も学生も、「挨拶することはよいこと、必要なこと」は知っているはずです。一方はそれができにくい、もう一方は、それがいとも簡単にできてしまうのです。この認識と振る舞いのギャップの違いはどこからくるのでしょうか。
まずは、挨拶する人どうしの関係がありますね。
雑踏の中で誰かれとなく挨拶することは絶対にありません。
わが大学で先生に学生が挨拶するのは、面識こそないもののーーー実は、大学では、学生は先生を知っていて、先生は学生を知らない、という非対称性がありますーーー同じ組織に所属しているものどうしという前提があります。
でも、前にいた大学では、これほど挨拶されたことはありません。これは、たぶん、組織の大きさが一つは関係していると思います。
組織に関連して、もう一つ、挨拶の普及には、それなりの雰囲気づくりがあると思います。
わが大学の副学長は、「ではお隣同士挨拶してください」から会議をはじめます。
それくらい、挨拶を大事にしているのです。これがわが大学の挨拶文化を作り出すのに大きく貢献しているはずです。
そして、いったん、こういう文化ができてしまえば、あとから入学してくる学生、教員は、なんの抵抗もなく、これを受け入れます。
ところで、昔、生まれてはじめて富士山に登ったときのことを思い出しました。
苦労して登っていくと降りてくる人が挨拶をしてくれるのです。ちょっとびっくりしました。その後も何度か山登りをしましたが、同じように挨拶されました。
これはなんなのでしょう。たんなる山登りのマナーなのでしょうか。だとしても、どういう経緯でこういうマナーができたのでしょうか。

● 挨拶はなんのために
 挨拶は地球上のどこでも交わされる親しみのための儀式です。
儀式ですから、まず、するべき時と場所では必ずしなければなりません。そして、挨拶の仕方(マナー)もそれぞれの文化による違いはありますが、必ず決まっています。
外国訪問した際の要人どうしの挨拶がその典型ですね。聞いたところによると、外国訪問の際、まずは、要人へのレクチャーは挨拶マナーだそうです。
 こうしたいわば「公式的」な挨拶は、双方がして当たり前、しかも、その場のマナーに従ってして当たり前となります。できなかったら、恥知らずとなります。時には、国際問題にもなりかねません。
 ここで問題にしたい挨拶は、いわば「非公式の」挨拶です。これには、明確な決まりがない、しかし、強い「暗黙の」決まりがあるだけで前に紹介したような面倒が起ることになります。
ところで、こうした挨拶は何のためにやるのでしょうか。
感情表現は、自分の気持ちを伝えるシグナルなり、という考えがあります。それを敷衍すると、挨拶、それに伴う表情(笑顔)は、あなたの親しみの気持ちを相手に伝えるシグナルと言えます。
なんのために親しみを見せるかというと、
はじめての場では、
「攻撃しません、皆様の仲間です、あるいは、仲間にいれてください」
というメッセージを伝えるためですし、
親しい場では、
「これから、自分もその場にいれてください」
というメッセージを伝えるためです。
だとすると、親しい人の場合は違和感なくお互いに挨拶できますし、しなければ不自然になります。そして、相手が見知らぬ人だと、挨拶すると、予想外のことなのでびっくりされたり、なんでなれなれしくしてくるの、という警戒心を抱かせてしまうことになります。それが、無視、反発となります。
となると、見知らぬ人への挨拶が気持ちのよい挨拶返しをもたらすのは、予想や警戒心とは無縁な状況の場合だと思います。登山道の1本道でのすれ違いの挨拶交換がその例かもしれません。
近隣の散歩道でのすれ違いでの挨拶はどうでしょうか。
警戒する必要のない人、たとえば、犬をつれた人や高齢者には、自然に挨拶をしている自分に今気がつきました。
挨拶は、相互的なものです。
お互いが同じような状況認識ができれば、挨拶をめぐっての緊張関係や無視、反発は発生しないのですが、状況認識がずれると、挨拶したほうからすると無視がしゃくにさわる、挨拶されたほうは、びっくりしたり、警戒心を持ってしまった自分に罪悪感をちょっぴり抱いてしまうようなことになります。
この微妙な心の動き、たかが挨拶、されど挨拶ですね。

 
● 挨拶で相手を元気にする
やや長い余談から入ってしまいました。仲間を元気する挨拶の話に入ります。
見知らぬ人からのいきなりの挨拶には身構えてしまいますが、仲間ならおおかたの挨拶には誰しもポジティブに反応するはずです。それはひるがえってあなたを元気にします。
自分のポジティブな気持ちが相手をポジティブな気持ちにして、それがまた自分をよりポジティブにしてくれる、こうしたコミュニケーションをポジティブ・コミュニケーションと言います。
挨拶は、ポジティブ・コミュニケーションの入口で大事な役割を果たしていることになります。
入口ですから、まずは入ることが大事、そして、できるだけすんなりと入りたいものですね。そのためには、どうしたらよいのでしょうか。
 
● 相手も自分も元気にするための効果的な挨拶とは
ここでも、たかが挨拶、されど挨拶です。
結構、身につけるまでは、面倒な配慮と努力とが必要です。大事と思われるものを5つ挙げてみます。
①挨拶の頻度をやや多めに
ある小さい牛丼のお店に入ったときのことです。
ドアを開けると「いらっしゃいませ」席に着くと「いらっしゃいませ」、丼を持ってくると「お待ちどうさま」、レジでは「ありがとうございました、またのお越しをお待ちしてます」。
これを一組のお客に言うのですから、お客が5組もくると、しかも、店員さんが全員で言うわけですから、その凄さ、まさに挨拶騒音でした。
いくら挨拶の頻度を多めにといっても、ここまでやるのは行き過ぎです。
ただ、一般にはやや挨拶が少ないのではないでしょうか。あなたの身の回りではいかがですか。そして、全体が、やや不機嫌な雰囲気がありませんか。それは、よくないですね、挨拶の頻度を少し多めにしてみることをすすめます。
② 挨拶返しがなくとも、ひたすら挨拶
インテーネットで素敵な話を見つけましたので、紹介させてもらいます。
よくすれ違う人に挨拶をしたら、無視された。しゃくなので、すれ違うたびに大声で挨拶することを繰り返した。何度かそうしたことが続いた。
あるとき、その人が待っていた。手紙とお菓子を黙って手渡してくれた。手紙には、「自分は、言語障害のため、あなたの挨拶に答えることができなかった。申し訳ない」と書かれてあった。
 挨拶の無視は気分が悪い、だから自分からは挨拶しない、いうのも痛いほどその気持ちは、わかります。でも、こういうこともあります。嫌味にならない程度に率先挨拶の方針でいきたいものです。
 挨拶しないー>気持ちが伝わらないー>不気味―>挨拶しない――――
というネガティブ・コミュニケーションに入り込んでしまったら、お互いに不幸ですね。
③ 心をこめる
ポジティブな気持ちがあれば、その表現は自然に表情に現れます。
いつもより大きな声、直立した姿勢、相手の顔に向けた安定した視線、そして、笑顔となって表出されます。
 したがって、心のこもっていない挨拶は、ただちに相手に見破られてしまいます。
挨拶にも儀礼的なものがありますから、いつもいつも「心をこめて」である必要はないのですが、やはり、こうした感情表現にも配慮したほうがよいと思います。
④ タイミングを見計らう
 散歩していて一番厄介なのが、1本道で先方から同じように散歩をしている人が近づいてくるときです。
視線配りがなかなか面倒なのです。
じろじろ見るわけにもいかないし、かといって、見ないわけにもいかないし。ましてや、さて、挨拶はどうしようと考えたりすると、逃げ帰りたいような気持ちになってしまいます。そんな経験、ありませんか。
 原則は、相手との距離120~360センチ、そして、視線があった瞬間。これが挨拶するタイミングだと思います。
 120~360センチ。これは、見知らぬ相手との距離の取り方として適当とされているパーソナル・スペース論に基づくものです。
 見知らぬ人がこの空間に入ってきたときは、瞬間的ですが、お互いに仲間になるのです。ですから、挨拶をしよう、しなければ、となるのです
⑤ 多様な挨拶のレパートリーを
 挨拶は、声に出してするのが原則ですが、たとえば、エレベータに乗り込むときに見知らぬ先客がいる。こんなときに、いつものように大声で笑顔の挨拶というのはおかしいですね。
目礼、会釈くらいが適当です。これなら、一緒に乗っていて無言でもそれほど気まずい思いはしないはずです。 
 TPO(time.place,occasion)に応じた挨拶の仕方もありますから、言葉の使い方も含めて挨拶のレパートリーを増やすことも必要です。
⑥ 挨拶の次も大事
挨拶は、ポジティブ・コミュニケーションの入口にすぎません。だから大事なのですが、しかし、入口にとどまったまま、というわけには普通はいきません。
「おはようございます」、相手も「おはようございます」。
これで双方だんまりでは、行きずりならともかく、知り合いどうしでは、まずい状況になります。
さらに中へとはいっていく、それもできれば、ポジティブ・コミュニケーションの方向へもっていくための手立ても必要です。
定番は時候の挨拶です。
あまりに定番になっているため、かつて失敗しまったことがあります。外は雨なのに、何気なしに「今日は天気がいいので」と定番挨拶をしてしまいました(笑)。
これはご愛嬌ですが、いきなり用件とはいきませんので、入口の挨拶と用件までの間をつなぐ、話題のレパートリーも豊かにしておきたいものです。
 ・誰もが知っている、関心のある時事ネタ
 ・共通の友人の楽しい話題
 ・自分の失敗談
 などなど





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運の心理学

2018-04-10 | ポジティブ心理学
運の心理学

●人生70年、幸運にめぐまれた
 74歳現役の終わりを迎えた今、昔を振り返れば、よくぞここまでの感懐に浸ることがしばしばです。
 災害、犯罪に出くわさなかった幸運が第一ですが、日々の生活、仕事でも、あのときもしあの幸運に恵まれなかったら、と思うとぞっとすることがあります。
その一方では、あの努力あっての今ということもまたあります。
実際は、努力と幸運とがコラボレーション(共振)して、ここまで来たのだと思います。努力が幸運を引き寄せた、というところもありますし、不運を努力でカバーしたようなこともあったように思います。

● 運と努力と気持ちのコントロール
 心理学で、原因帰属理論というのがあります。
 自分に何か事が起こった時、それを引き起こした原因として何を想定しがちかということに関する理論です。科学的な因果の話ではなく、ことが起こったときの考え方のくせを問題にするものです。
 たとえば、あなたが事業に失敗したとします。あなたは、その原因として何を想定しがちですか。
 ・運ですか
・努力不足ですか
・能力不足ですか
・事業内容ですか
 もし運が悪かったと考えれば気楽ですね。
 これが、もし自分には能力がなかったと考えてしまうようだと、立ち直るのが大変ですね。
 努力不足が原因と考えるなら、次のがんばりにつながります。
 事業内容が原因と考えるのは、知的でまっとうです。次の挑戦への有効な方策へとつながるからです。

●努力によって幸運を引き寄せる
 幸運も不運も偶然に左右されます。自分ではどうにもなりません。でも、その運を選ぶ、あるいは、その運を引き寄せるのはあなた自身の努力によるところがあります。
 宝くじを考えてみてください。くじを買うのはあなたです。そして、1万円より100万円買ったほうが、当たる確率は高まります。(宝くじのおすすめではありません。念のため)
努力に幸運をコラボレーションさせるのです。もう少し正確に言うなら、努力して幸運の確率が高まるような状況を作り出すということですね。成功した人は、これができたのでと思います。
さらに、運を意味あるものにするということもあります。
 長い人生、幸運も不運も半々、それを努力によって幸運に遭遇する確率を高めるくらいのことしかできないのだと思います。
そう考えると、幸運、不運に一喜一憂せずに、まずは、幸運も不運もしっかりと受け止めて、それを生きる上での意味のある事柄としてポジティブに考えてみることをおすすめします。
運まかせの人生といより、運と友達になる、あるいは、「人事を尽くして天命を待つ」の心境のすすめです。
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ほめ言葉「ほめ上手は誰からも好かれる」「ほ」ンわかあ一日10回運動

2018-04-09 | ポジティブ心理学
ほめ言葉「ほめ上手は誰からも好かれる」

●あめとむち
 人を手っ取り早く動かすには、あめ(賞)とむち(罰)を使います。
信賞必罰という言葉があるくらい、賞罰は、人を動かす手段としては、非常に有効です。  
あなたの毎日を考えてみてください。いかに、賞罰の仕掛けがあちこちに、しかも巧みに用意されているかを発見してびっくりするはずです。
たとえば、
・ 一月働いたら月給がもらえる
・ 業績を上げたら昇進
・ 失敗したら叱られた
いくらでも挙げることができるはずです。何が賞で何が罰か、おわかりですね。そしてまた、それがどのように次のやる気の程度に影響してくるかも、おわかりですね。
私たちは人間ですから、動物とは違って、賞罰に言葉も使うことができます。
ほめ言葉と叱責言葉が使われます。これが、あまりに有効なので、つい動物にも使ってしまうくらいです。
 さて、そのほめ言葉。どうしてそれほど有効なのでしょうか。どう使えばよいのでしょうか。
 その前に、あまりに有名なのでご存知かと思いますが、山本五十六連合艦隊司令長官1節を紹介しておきます。
 「やってみせ 言って聞かせて させてみて ほめてやらねば 人は動かじ」
 さらに、
「せじ食わぬ馬鹿はおらん」
なんてものあるそうです。

● 言葉の働きは多彩
さらに、本題に入る前に、もう一つ。言葉の4つの働きを確認しておきます。
言葉には大きく、認識の道具としての役割と、コミュニケーションの道具としての役割
があることを確認しておきます。
認識の道具としての言葉にも、自分の外の世界を知るためのものと、自分の心や振る舞い
を知るためのものとがあります。
 外の世界を知るための道具としての言葉とは、たとえば、初めて行った外国旅行。第一日目に、その日、目にした事柄を日記に書くことを考えてみてください。
たいていのことは言葉で表現できるはずです。
それがその世界を知ることに他ならないのですが、しかし、よくよく考えると、言葉にならない世界も見聞したはずです。ほとんどの場合は、言葉にならない世界は無視されたまま(認識されないまま)にされてしまっていることにも気が付くはずです。
言葉が認識の道具として使われるというのは、こういうことです。言葉がないと見える世界も見えなくなってしまうこともあることは知っておいていいことです。 
このことは、自分の心や振る舞いを知るための道具としての言葉でも同じです。
 心や振る舞いの複雑かつ微妙な動きのすべてをあなたは言葉で表現できるでしょうか。
たとえば、青年期まっただ中くらいの年頃になると、表現できない心や行動の世界が急速に拡大します。そのもやもや、不愉快さが青年期特有の心や振る舞いの混乱をもたらします。
もうひとつ、コミュニケーションの道具としての言葉の役割については、項をあらためて考えてみます。

● ほめ言葉が威力を発揮するのはなぜ
 コミュニケーションを、何をねらってコミュニケーションするのか、という観点から分けてみると、次の3つになります。
①カウンセリング場面でのそれのように、気持ちに対して働きかけるもの、
②説明場面でのそれのように、頭の中の知識に対して働きかけるもの、
③指示場面でのそれのように、相手の振る舞いに対して働きかけるもの
 ほめ言葉が威力を発揮するのは、言うまでもなく、この中で、気持ちと振る舞いに対して働きかけるコミュニケーションの場合です。
 どうしてこうした場合に、ほめ言葉は威力を発揮するのでしょうか。
これに適切に答えるのは、なかなか難しいのですが、こんな説明ではどうでしょうか。
たとえば、営業の成果を上司に報告したとします。
上司から「すばらしい」「よくやった」「さすが」などなどほめ言葉があなたに投げかけられとき、そのときその場にあるもの、あるいは心の動き、状態を考えみてください。
上司がいます。
上司の笑顔があります。
営業の成果があります。
ほめられてうれしいあなたの気持ちもあります。
周囲の仲間の賞賛の笑顔もあります。
ほめ言葉がこうした多彩な場と結びついているはずです。こうした結びつきをこれまでたくさん経験してきているはずです。これが、ほめ言葉の学習になります。
ほめ言葉の意味がわかるのは、そして、ほめ言葉が、うれしい気持ち、心の元気と結びついて威力を発揮するのは、こうした学習の賜物なのです。
 ほめ言葉の威力が発揮されるのは、当然、過去にこうした学習をどれだけしているかにかかってきます。
不幸にして、こうした学習をする機会のなかった人、少なかった人には、ほめ言葉の威力はあまりないことになります。
ほめられ体験なしで育った人はほめられてもその威力はあまり感じないことになってしまいます。
なお、乳幼児期の親からのほめられ体験の効果は、これ以外にも、主体性や思いやりなど社会適応力の高い子に育つことも最近の筑波大学教授・安梅勅江氏の大規模な調査でわかっています。

● ほめ言葉のさまざま
 今、手元に、本間正人ら著の「すぐに使える! ほめ言葉ハンドブック」(PHP)という本があります。その末尾には、ほめ言葉の一覧が次のような3つのカテゴリー別に6ページにわたって360個ほど挙げられています。
・見た目、外見をほめる言葉 例「愛想がいいね」「挨拶がハキハキしているね」
・内面、性格をほめる言葉 例「アクティブだね」「アグレッシブだね」
・能力、成果をほめる言葉 例「アイディアが豊富だね」「相手の立場にたてる人だね
その豊富さ、多彩さには驚かされます。これほどの語彙を身につけないと、ほめ上手になれないのかと自信を失ってしまうほどです。
 でも、心配はいりません。ほとんどの語彙は、すでにあなたの頭の中にあるものばかりだからです。ただ、それがタイミングよく使えないだけだからです。
 なお、蛇足になりますが、一つだけ付け加えておきたいことがあります。 
それは、ほめ言葉には、ポジティブな評価を伝える役割と同時にポジティブ感情を伝染させる役割もあるということです。
  「――がすばらしい」「―――は良いことだ」「―――は美しい」「――が上手」「よくがんばった」「うまい」などなどのほめ言葉を分析してみてください。
 一生懸命にやっている、あるいはやり終えたことに対するポジティブな評価がそこにありますね。それに加えて、その結果として、ほめた人のポジティブな気持ちがほめれた人にも伝わって(伝染して)共に、良好な関係が作り出せます。
 
● 効果的なほめ言葉の使い方
① ほめるタイミングが大事
一番大事なことは、ほめ言葉をどんな場でどんなタイミングで発するかです。
これは、自分の過去のほめられ体験を思い出しながら、さらなる体験を積み重ねていくしかありません。でもこの経験の積み重ねは、それほど難しいことではありません。
 なぜなら、ほめ言葉の効果は、その言葉を発したとたん、相手が反応してきますから、効果のほどを実感できますし、伝染して自分もうれしい気持ちになりますから、学習も気持ちよくできるからです。
 それでも、いくつか、ほめる場とタイミングについておすすめをしておきます。
 まず、場ですが、皆のいるところでほめることです。これは、ほめられた人の自尊心を一層高めることになりますし、周りの人への模範を示すことになります。
 なお、叱るときも、人々がいるところでやれば、そんなことはいけないのだということを周りにも同時に知らせる効果はありますが、叱られている人に自尊心へのダメージが大きいので慎重にしたいものです。
 ほめるタイミングは、その時その場で、が原則です。とりわけ、新人、若い人など学びの途中の人々には、この原則は極めて大事です。なぜなら、ほめられたその場で経験したことが強化されるからです。そうした一つ一つの積み重ねで成長していくからです。
 もっとも、この原則は、叱責のタイミングについても言えます。

②ほめ言葉を言葉単独で無雑作に使わない
言葉ですから、いくらでも使うことができますが、場とタイミング、とりわけ相手や自分の気持ちを無視してしまうと、空虚なものになってしまいます。相手の心をまったく動かすことのできないほめ言葉ほどむなしいものはありません。
小さい子どもにさえ、嘘を見ぬく力があります。無理に笑顔をつくり、心のこもらないほめ言葉を発してもたちどころに見破られてしみます。
 ちなみに、gooニュース(2013年2月14日)に、異性からほめられて素直に喜べない言葉の調査結果(社会人608人対象)が紹介されていましたので、参考までに。
1位 いい人だね 27%
2位 個性的だね 20%
3位 今日はキレイ(かっこいい)だね 18%
4位 健康的だね 12%
5位 いいパパ・ママになれそう 9%

③いつもいつもほめ言葉はだめ
 子育ての場で言われているのが、「7つほめて、3つ叱る」です。
3つ叱るからこそ7つのほめ言葉が対比的に効果を持つことになります。
 ほめ言葉には、前に述べたように、評価が含まれています。
いつもほめ言葉ばかりだと、その言葉の信ぴょう性が疑われてしまうということもあります。「本当にほめてくれているの?」となってしまっては、効果も半減してしまいます。
「3つ叱る」中に、まっとうな評価をした上でのほめ言葉なのだ、という暗黙のメッセージがあります。
 さらに、「7つほめて、3つ叱る」にこめられている大事なことがあります。
 それは、叱られ耐性、つまり叱られても大丈夫という心の強さにかかわることです。
 最近の若者の特徴の一つとして、「叱るとすぐにめげてしまう」ということが挙げられます。
ほめて育てることの良さはもちろん言うまでもないのですが、同時に、3つくらいの真剣な叱責によって育つ心の仕掛けが貧弱になってしまったようです。
 このことは、またほめすぎの危険性をも暗示しています。
 ほめられると舞い上がってしまいます。心をきちんと働かせて事態を認識するよりも、舞い上がった気持ちのほうに気をとられてしまいます。こいうことが続くと、どうでしょうか。
厳しさが欠けた甘い人間になってしまいます。
 話のバランスをとるために、老婆心から追加しておきました。

④ほめ言葉よりもほめる心が大事
これは、対人関係で言うなら、相手の言動や特性のポジティブな面のほうにバイアスをかけてみるということです。
・勉強ができなくとも人柄が良い
・口下手だが、言う内容は凄い
あるいは、ちょっと難しいところもありますが、現実のもろもろを一見するとネガティブではあっても、それをあえてポジティブにみてみるということでもあります。
・あと5分しかないではなく、まだ5分ある
・これしかないではなく、これがまだあった

⑤ほめ言葉のシャワーを浴びせよう/浴びよう
 最後に、今日の朝日新聞の夕刊(2010年3月13日づけ)で、小学校教諭・菊池省三先生のこんな試みが紹介されていました。
 1人の子どもを教室の前にたたせて、級友がその子を次々とほめるのだそうです。あまり仲のよくない友達もほめることで多面的な人間観を持たせることもできるし、クラスの絆も深まるようです。
 会社などの朝礼でも活用すると効果がありそうですね。
 ついでにもう一つ。ほめ上手になるための検定試験、称して「ほめ達」も紹介しておきます。短所を長所に言い換える、失敗をプラスに考えるなどができるかどうかが試されるようです。
 関連して?、ほめられサロンというサイトhttp://homeraresalon.com/ を紹介しておきます。
アクセスした人を徹底的にほめてくれます。ただし、こちらのほうは、まったくあなたは関係のないほめ言葉ばかりです。それでも、ほめ言葉の語彙を増やすには少しは役立ちますし、不思議にそれでも心がちょっぴり元気になります。
 さらにさらに、林寧彦氏のすすめ。
 気持ちが落ち込んだ時、心の中で、ともかくみるもの聞くものすべてをほめてしまうのだそうです。だんだん自分が元気になってくるそうです。
 
ポジティブ心理術トレーニング@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@

どちらかと言うと、あなたが敬遠したくなる、あるいは嫌いな人を一人、思い浮かべください。そして、「でも、こういう好いところはある」という点を3つ列挙してみてください。




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感謝「ありがとうさえ言えれば大丈夫」ほンわ「か」あ1日10回運動

2018-04-08 | ポジティブ心理学
感謝「ありがとうさえ言えれば大丈夫」

● 内観療法
 非行少年の更生施設などで活用されている心理療法の一つに内観療法というものがあります。
 過去を振り返って、「何をしてもらったか」、それに対して「どんなお返しをしたか」を内観させるものです。
 かわいがられた経験の少ない非行少年でも、あらためてこういう振り返りをする機会を得ると、さまざまな感謝体験が回想されるようです。それが非行少年たちを変えるきっかけになるようです。
 実は、自分もあまりかわいがられた経験がないと思っていました。
 しかし、内観というより回想をしてみました。
 ありました。ありました。実にたくさん、口では言わねど、自分のためにしてもらっていたこと、そして感謝すべきことがふつふつと思い出されてきました。
・ からだが弱いから、自分だけ牛乳をとってもらい、さらに養命酒まで飲ませてくれた。
・ 通信簿で良い点をとると、天ぷらかカレーを作ってくれた。
・ 大学受験できる家庭の経済状況ではなかったにもかかわらず、何も言わずに受験勉強させてくれた
などなど。

● 感謝マインドが生まれる
 普通に感謝マインドが生まれるためには、まずは、今の自分が幸せとの自覚が必要ですね。
たとえば、「今こうしておいしい食事できる幸せ」「よき伴侶が得られた幸せ」などなど。そして、その今現在の幸せが、過去のどこから、何からくるのかを考えることになります。
その際に、自分の努力や才能によるとすることもありえます。
あそこでのあのがんばりがあったればこそというわけです。その場合は、自信、あるいは、自分は有能である、という感覚の強化になります。これはこれで結構なのですが、感謝とはほど遠い方向になります。
若いときは、これでよいのだと思いますが、これが極端になると、いわゆる自己チュー、つまり自分中心にしか物事が考えられない人なってしまいますので、要注意です。
感謝の気持ちが沸いてくるためには、今現在の幸せは、自分のまわりにいた人々、あるいは組織(家族、学校など)のおかげ、という認識が必要です。
・小学校の担任の先生が、貧乏で払えなかった給食費をこっそり立て替えてくれた。
・母親が内職をして学費を出してくれた
・ 高校の先生方は、勉強嫌いの自分を勉強好きにしてくれた
こうした認識は、それが本当であったかどうかはあまり問題ではありません。そのように自分が思い込めればそれで十分です。場合によっては、相手がまったくそんな意識がなかったとか、極端な場合、まったく反対のことをしていたなんてことがあってもよいのです。
今現在の幸福感とそれをもたらしてくれた過去の原因の認識。
これが自分の心の中でつながったとき、はじめて感謝マインドが生まれます。
なお、冒頭の内観療法では、この逆をやっていることになりますね。まずは感謝の対象を見つけさせるのですから。でもそれを見つけたら、結果として、今現在を幸せ感で満たすことができるということだと思います。

●感謝マインドを作れない人
ところで、どうしても、感謝マインドが作れないという不幸な人がいることが知られています。ガバードという研究者によると、「自己愛性人格障害の人」です。
両極端があります。
「周囲を気にかけない自己愛的な人」
・他の人々の反応に気づくことがない。
・傲慢で攻撃的である。
・自己に夢中である。
・注目の中心にいたい
・送信者であるが、受信者ではない
・明らかに他の人々によって傷つけられたと感じることに鈍感である。
「過剰に周囲を気にかけすぎる自己愛的な人」
・他の人びとの反応に敏感である。
・抑制的で、内気で、あるいは自己消去的でさえある。
・自己よりも、他の人々に注意を向ける。
・注目の的になることを避ける。
・侮辱や批判の証拠が無いかどうか、注意深く、他の人々に耳を傾ける。
・容易に傷つけられたという盛情を持つ。差恥や屈辱を感じやすい。

●感謝を表現するコツ
①感謝状を書く
いま 心理学の授業の冒頭の時間を使って、ポジティブ・マインドづくりの実習をしています。その最初が「感謝マインドづくり」です。
ねらい2つあります。
一つは、ここまで述べてきたように、過去を振り返っての感謝の表明です。いわゆる感謝状書きですね。人でも組織(学校や地域など)に対して、「あなたが自分に??してくれた陰で、今こうして幸せです」ということを文章に書くことです。
自分でもやってみました。
ひとつは、受講学生に対して、「よくぞ、本学に入学してくれた。ありがとう」。
もう一つは、定番ですが「家族への長年の労苦に対する感謝状」です。
やってみて気が付きました。
学生への気持ちが穏やかなものになりました。妻への思いも深いものになりました。
感謝状効果、馬鹿になりません。

②感謝言葉を口癖にする
感謝マインドづくりのもう一つは、「ありがとう」「お陰さまで、助かりました」を口癖にする習慣づくりです。
過去を振り返ることで感謝マインドを作り出せたら、それ毎日の生活の場で活かすのです。
生活の場では、心の中ではそう思っていても(感謝していても)、ついそれを言葉に出せないということが結構ありますね。
口癖になっていないということに加えて、もう一つ、やっかいなことに、感謝すると、そのお返しをしないという「追い目意識」が生まれます。これがいや、面倒ということで、つい感謝言葉を発しないということもあります。
これは、いずれは、自分が感謝されるようなことをしよう、ということで済ませばよいのです。あまり気にする必要はないと思います。あなたの感謝言葉だけで十分に相手はうれしいのです。お返しなんて考えてもいないかもしれません。
というわけで、気楽に感謝言葉を出せるようにしたいものです。
・朝、お弁当をつめてくれた母親に「いつもありがとう」が自然に出るようにするのです。
・エレベータでドアを開けて待ってくれた人に、「ありがとう」を言えるようすることです。
なお、こういう時って、どちらかと言うとネガティブな表現である「すみません」のほうをよく使ってしまいがちですが、ポジティブ表現の「ありがとう」の方が格段にいいですね。
いずれにしても、感謝マインドが少しでも芽生えたら、口に出せるように習慣にしてしまうのです。そうすれば、感謝された人にも感謝マインドが伝染します。そして、自分のしたことが相手に感謝されたことがはっきりとわかることで、自信になります。
さらに、相手も、自分のした行為が人の役に立ったという有能感に浸ることができます。それがやりがいにつながります。そのきっかけを与えてくれたあなたへの感謝にもつながります。
ポジティブ・スパイラルがあなたの周りで巻き起こることになります。
最後に、天童荒太「悼む人」(文藝春秋)の奇妙な感謝をめぐる本を紹介しておきます。
新聞記事から見つけた縁もゆかりもない死者のゆかりの地を訪ね、「その人は、誰を愛したか。誰に愛されたか。どんなことで人に感謝されたことがあったか」を聞きまわり、それをもとに死者を悼むのです。それが次第に周囲に感謝の波紋を投げかけていくのです。
たまたま目に触れて読んだ本ですが、感謝物語にこんな世界もあり、ということで紹介してみました。
ついでに名言を3つ。
「働く意味は、他人から‘ありがとう’を集めることにあると思います」(渡邊美樹)
「自分を幸せにしてくれる人たちに感謝しよう。彼らは魂を花開かせてくれる素敵な庭師である。」(プルースト)
 「十のサービスを受けたら十一を返す。その余分の一のプラスがなけ
れば、社会は繁栄していかない。」(松下幸之助)



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ほめ言葉「ほめ上手は誰からも好かれる」ほンわかあ一日10回運動

2018-04-04 | ポジティブ心理学
ほめ言葉「ほめ上手は誰からも好かれる」

●あめとむち
 人を手っ取り早く動かすには、あめ(賞)とむち(罰)を使います。
信賞必罰という言葉があるくらい、賞罰は、人を動かす手段としては、非常に有効です。  
あなたの毎日を考えてみてください。いかに、賞罰の仕掛けがあちこちに、しかも巧みに用意されているかを発見してびっくりするはずです。
たとえば、
・ 一月働いたら月給がもらえる
・ 業績を上げたら昇進
・ 失敗したら叱られた
いくらでも挙げることができるはずです。何が賞で何が罰か、おわかりですね。そしてまた、それがどのように次のやる気の程度に影響してくるかも、おわかりですね。
私たちは人間ですから、動物とは違って、賞罰に言葉も使うことができます。
ほめ言葉と叱責言葉が使われます。これが、あまりに有効なので、つい動物にも使ってしまうくらいです。
 さて、そのほめ言葉。どうしてそれほど有効なのでしょうか。どう使えばよいのでしょうか。
 その前に、あまりに有名なのでご存知かと思いますが、山本五十六連合艦隊司令長官1節を紹介しておきます。
 「やってみせ 言って聞かせて させてみて ほめてやらねば 人は動かじ」
 さらに、
「せじ食わぬ馬鹿はおらん」
なんてものあるそうです。

● 言葉の働きは多彩
さらに、本題に入る前に、もう一つ。言葉の4つの働きを確認しておきます。
言葉には大きく、認識の道具としての役割と、コミュニケーションの道具としての役割
があることを確認しておきます。
認識の道具としての言葉にも、自分の外の世界を知るためのものと、自分の心や振る舞い
を知るためのものとがあります。
 外の世界を知るための道具としての言葉とは、たとえば、初めて行った外国旅行。第一日目に、その日、目にした事柄を日記に書くことを考えてみてください。
たいていのことは言葉で表現できるはずです。
それがその世界を知ることに他ならないのですが、しかし、よくよく考えると、言葉にならない世界も見聞したはずです。ほとんどの場合は、言葉にならない世界は無視されたまま(認識されないまま)にされてしまっていることにも気が付くはずです。
言葉が認識の道具として使われるというのは、こういうことです。言葉がないと見える世界も見えなくなってしまうこともあることは知っておいていいことです。 
このことは、自分の心や振る舞いを知るための道具としての言葉でも同じです。
 心や振る舞いの複雑かつ微妙な動きのすべてをあなたは言葉で表現できるでしょうか。
たとえば、青年期まっただ中くらいの年頃になると、表現できない心や行動の世界が急速に拡大します。そのもやもや、不愉快さが青年期特有の心や振る舞いの混乱をもたらします。
もうひとつ、コミュニケーションの道具としての言葉の役割については、項をあらためて考えてみます。

● ほめ言葉が威力を発揮するのはなぜ
 コミュニケーションを、何をねらってコミュニケーションするのか、という観点から分けてみると、次の3つになります。
①カウンセリング場面でのそれのように、気持ちに対して働きかけるもの、
②説明場面でのそれのように、頭の中の知識に対して働きかけるもの、
③指示場面でのそれのように、相手の振る舞いに対して働きかけるもの
 ほめ言葉が威力を発揮するのは、言うまでもなく、この中で、気持ちと振る舞いに対して働きかけるコミュニケーションの場合です。
 どうしてこうした場合に、ほめ言葉は威力を発揮するのでしょうか。
これに適切に答えるのは、なかなか難しいのですが、こんな説明ではどうでしょうか。
たとえば、営業の成果を上司に報告したとします。
上司から「すばらしい」「よくやった」「さすが」などなどほめ言葉があなたに投げかけられとき、そのときその場にあるもの、あるいは心の動き、状態を考えみてください。
上司がいます。
上司の笑顔があります。
営業の成果があります。
ほめられてうれしいあなたの気持ちもあります。
周囲の仲間の賞賛の笑顔もあります。
ほめ言葉がこうした多彩な場と結びついているはずです。こうした結びつきをこれまでたくさん経験してきているはずです。これが、ほめ言葉の学習になります。
ほめ言葉の意味がわかるのは、そして、ほめ言葉が、うれしい気持ち、心の元気と結びついて威力を発揮するのは、こうした学習の賜物なのです。
 ほめ言葉の威力が発揮されるのは、当然、過去にこうした学習をどれだけしているかにかかってきます。
不幸にして、こうした学習をする機会のなかった人、少なかった人には、ほめ言葉の威力はあまりないことになります。
ほめられ体験なしで育った人はほめられてもその威力はあまり感じないことになってしまいます。
なお、乳幼児期の親からのほめられ体験の効果は、これ以外にも、主体性や思いやりなど社会適応力の高い子に育つことも最近の筑波大学教授・安梅勅江氏の大規模な調査でわかっています。

● ほめ言葉のさまざま
 今、手元に、本間正人ら著の「すぐに使える! ほめ言葉ハンドブック」(PHP)という本があります。その末尾には、ほめ言葉の一覧が次のような3つのカテゴリー別に6ページにわたって360個ほど挙げられています。
・見た目、外見をほめる言葉 例「愛想がいいね」「挨拶がハキハキしているね」
・内面、性格をほめる言葉 例「アクティブだね」「アグレッシブだね」
・能力、成果をほめる言葉 例「アイディアが豊富だね」「相手の立場にたてる人だね
その豊富さ、多彩さには驚かされます。これほどの語彙を身につけないと、ほめ上手になれないのかと自信を失ってしまうほどです。
 でも、心配はいりません。ほとんどの語彙は、すでにあなたの頭の中にあるものばかりだからです。ただ、それがタイミングよく使えないだけだからです。
 なお、蛇足になりますが、一つだけ付け加えておきたいことがあります。 
それは、ほめ言葉には、ポジティブな評価を伝える役割と同時にポジティブ感情を伝染させる役割もあるということです。
  「――がすばらしい」「―――は良いことだ」「―――は美しい」「――が上手」「よくがんばった」「うまい」などなどのほめ言葉を分析してみてください。
 一生懸命にやっている、あるいはやり終えたことに対するポジティブな評価がそこにありますね。それに加えて、その結果として、ほめた人のポジティブな気持ちがほめれた人にも伝わって(伝染して)共に、良好な関係が作り出せます。
 
● 効果的なほめ言葉の使い方
① ほめるタイミングが大事
一番大事なことは、ほめ言葉をどんな場でどんなタイミングで発するかです。
これは、自分の過去のほめられ体験を思い出しながら、さらなる体験を積み重ねていくしかありません。でもこの経験の積み重ねは、それほど難しいことではありません。
 なぜなら、ほめ言葉の効果は、その言葉を発したとたん、相手が反応してきますから、効果のほどを実感できますし、伝染して自分もうれしい気持ちになりますから、学習も気持ちよくできるからです。
 それでも、いくつか、ほめる場とタイミングについておすすめをしておきます。
 まず、場ですが、皆のいるところでほめることです。これは、ほめられた人の自尊心を一層高めることになりますし、周りの人への模範を示すことになります。
 なお、叱るときも、人々がいるところでやれば、そんなことはいけないのだということを周りにも同時に知らせる効果はありますが、叱られている人に自尊心へのダメージが大きいので慎重にしたいものです。
 ほめるタイミングは、その時その場で、が原則です。とりわけ、新人、若い人など学びの途中の人々には、この原則は極めて大事です。なぜなら、ほめられたその場で経験したことが強化されるからです。そうした一つ一つの積み重ねで成長していくからです。
 もっとも、この原則は、叱責のタイミングについても言えます。

②ほめ言葉を言葉単独で無雑作に使わない
言葉ですから、いくらでも使うことができますが、場とタイミング、とりわけ相手や自分の気持ちを無視してしまうと、空虚なものになってしまいます。相手の心をまったく動かすことのできないほめ言葉ほどむなしいものはありません。
小さい子どもにさえ、嘘を見ぬく力があります。無理に笑顔をつくり、心のこもらないほめ言葉を発してもたちどころに見破られてしみます。
 ちなみに、gooニュース(2013年2月14日)に、異性からほめられて素直に喜べない言葉の調査結果(社会人608人対象)が紹介されていましたので、参考までに。
1位 いい人だね 27%
2位 個性的だね 20%
3位 今日はキレイ(かっこいい)だね 18%
4位 健康的だね 12%
5位 いいパパ・ママになれそう 9%

③いつもいつもほめ言葉はだめ
 子育ての場で言われているのが、「7つほめて、3つ叱る」です。
3つ叱るからこそ7つのほめ言葉が対比的に効果を持つことになります。
 ほめ言葉には、前に述べたように、評価が含まれています。
いつもほめ言葉ばかりだと、その言葉の信ぴょう性が疑われてしまうということもあります。「本当にほめてくれているの?」となってしまっては、効果も半減してしまいます。
「3つ叱る」中に、まっとうな評価をした上でのほめ言葉なのだ、という暗黙のメッセージがあります。
 さらに、「7つほめて、3つ叱る」にこめられている大事なことがあります。
 それは、叱られ耐性、つまり叱られても大丈夫という心の強さにかかわることです。
 最近の若者の特徴の一つとして、「叱るとすぐにめげてしまう」ということが挙げられます。
ほめて育てることの良さはもちろん言うまでもないのですが、同時に、3つくらいの真剣な叱責によって育つ心の仕掛けが貧弱になってしまったようです。
 このことは、またほめすぎの危険性をも暗示しています。
 ほめられると舞い上がってしまいます。心をきちんと働かせて事態を認識するよりも、舞い上がった気持ちのほうに気をとられてしまいます。こいうことが続くと、どうでしょうか。
厳しさが欠けた甘い人間になってしまいます。
 話のバランスをとるために、老婆心から追加しておきました。

④ほめ言葉よりもほめる心が大事
これは、対人関係で言うなら、相手の言動や特性のポジティブな面のほうにバイアスをかけてみるということです。
・勉強ができなくとも人柄が良い
・口下手だが、言う内容は凄い
あるいは、ちょっと難しいところもありますが、現実のもろもろを一見するとネガティブではあっても、それをあえてポジティブにみてみるということでもあります。
・あと5分しかないではなく、まだ5分ある
・これしかないではなく、これがまだあった

⑤ほめ言葉のシャワーを浴びせよう/浴びよう
 最後に、今日の朝日新聞の夕刊(2010年3月13日づけ)で、小学校教諭・菊池省三先生のこんな試みが紹介されていました。
 1人の子どもを教室の前にたたせて、級友がその子を次々とほめるのだそうです。あまり仲のよくない友達もほめることで多面的な人間観を持たせることもできるし、クラスの絆も深まるようです。
 会社などの朝礼でも活用すると効果がありそうですね。
 ついでにもう一つ。ほめ上手になるための検定試験、称して「ほめ達」も紹介しておきます。短所を長所に言い換える、失敗をプラスに考えるなどができるかどうかが試されるようです。
 関連して?、ほめられサロンというサイトhttp://homeraresalon.com/ を紹介しておきます。
アクセスした人を徹底的にほめてくれます。ただし、こちらのほうは、まったくあなたは関係のないほめ言葉ばかりです。それでも、ほめ言葉の語彙を増やすには少しは役立ちますし、不思議にそれでも心がちょっぴり元気になります。
 さらにさらに、林寧彦氏のすすめ。
 気持ちが落ち込んだ時、心の中で、ともかくみるもの聞くものすべてをほめてしまうのだそうです。だんだん自分が元気になってくるそうです。
 
ポジティブ心理術トレーニング@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@

どちらかと言うと、あなたが敬遠したくなる、あるいは嫌いな人を一人、思い浮かべください。そして、「でも、こういう好いところはある」という点を3つ列挙してみてください。




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対人関係「周りも自分も元気にする」

2018-04-02 | ポジティブ心理学
対人関係「周りを元気にする


●対人関係は生きるためのインフラ
人間は社会的動物ですから、対人関係なしにというわけにはいきません。生活に電気ガス水道が必須なのと同じです。
対人関係には、感情の共有、情報の共有、資源の共有の3つの側面があります。そしていずれにも、ポジティブな面とネガティブな面とがあります。
感情の共有のポジティブな面は、たとえば、職場の雰囲気が明るく活気に満ちている、ネガティブな面は、職場がストレスに満ちているということになります。
情報の共有のポジティブな面は、たとえば、会社のミッションに従って全員が働いている、ネガティブな面は、情報を各自が独占しているような状態です。
資源の共有のポジティブな面は、お互いが助け合いながら仕事をしている、ネガティブな面は、業績を自分だけのものにするということになります。
余談になりますが、「無縁死」「孤族」「引きこもり」など、対人関係を遮断してしまった人々が増加しているようですが、資源の共有の社会的システムが劣化してきているのかもしれません。
 
●対人関係で心を元気にするコツ
①ポジティブ・コミュニケーションを心がける
 これについては、別項目を用意してありますので、そちらを参照してください。要するには、「ほんわかあ」です。
ほめる

わらう
かんしゃする
あいさつする

②知性化する
 対人関係の難しさは、もろに感情が入りこんでしまうことです。挨拶一つにしても、それが能面挨拶か笑顔挨拶かで全然、効果が違ってしまいます。
 しかし、対人関係には、知的な側面もあります。情報を伝えたり、共有したり、一緒に考えたりも、対人関係のもう一つのしかも大事な側面です。
 会議の場で激しい議論をしたとします。当然、反論されれば頭に来ます。相手に攻撃心を抱きます。あとあとまでネガティブ感情にとらわれてしまいます。
それにこだわってしまえば、対人関係はどんどんネガティブなほうへと展開してしまいます。
 こんな時でも、できるだけ知的に考えてみる、つまり知性化の習慣をつけるのです。
たとえば、「彼の反論のどこがおかしいのか」「自分の論理に破綻はないか」「あの証拠はどうやって入手したのか」などなどを自分に問いかける習慣をつけるのです。
そして、普段から、こうした知的な対人関係の側面が表面化するように心がけるのです。これによって、感情的な側面に頑健な対人関係が築けるはずです。

③対人関係を濃密にしない
 社会的動物ですから、人間はひとりぼっちを恐がります。そのためか、どうしても、対人関係に濃密さを求めてしまうよ、のっぴきならないものにしてしまいます。
 個人的な対人関係、たとえば、恋愛、家族をみてください。実にさまざまな対人関係の明るい面と暗い面とが混在しているのがわかります。
 こうした濃密な対人関係は、公的な場では、抑制的なほうが無難です。具体的には、次のようなことを心がけると良いと思います。
・特定の人にとらわれない
・特定の感情にとらわれない
・ほどほどの接触頻度を保つ
・さまざまな浅い対人関係を作っておく

④「与え、与えられる(give & take)」関係も大事
 旅行にいったら、お土産を買って帰る習慣、日本独特なのかどうかは知りませんが、対人関係を良好に保つには実にすばらしい習慣だと思います。たかがお土産、されどお土産です。
 対人関係には、感情の共有、情報の共有に加えて、資源の共有という面があります。資源に余裕のある人が、余裕のない人に分け与えるのです。それが対人関係を良好なものにします。
 資源といっても、お土産のように目に見えるものばかりではありません。助け、助けられる、といった可視化できない対人関係の資源もあります。
 勝間和代氏は、「不幸になる生き方」(集英社新書)の中で、お互いの感謝や尊敬、評価を仮想通貨ウッフィーで決済する社会、称して「ギフト(贈与)経済」が生まれつつあることを紹介しています。
 関連して、92歳の詩人デビュー・柴田トヨ氏の詩でしめくくりとします。
 「貯金」
  
私ね 人から やさしさを貰ったら 心に貯金しておくの
さびしくなった時は それを引き出して 元気になる

あなたも 今から積んでおきなさい
年金より いいわよ
「くじめないで」(飛鳥新社より)
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励まし

2018-03-21 | ポジティブ心理学
励まし
「励ましは、一番簡単な仲間の元気づくりなのだが」

● 「がんばってね」
 死の床に付している人のお見舞いの別れ言葉に「がんばって」はないだろう、といわれくらいに「がんばってね」は相手を励ます言葉としてよく使われます。
 自分でも、実に良く使うことにあらためて気づかされます。
まさに、「人は言葉に励まされ、言葉で鍛えられる動物です」(永崎一則)ね。
 なお、アメリカでは、逆に、
「take it easy(無理しないでね)」
「take care of yourself)お大事に)」
が別れ言葉の定番だそうです。
ガンバリズム、日本文化の面目躍如たるところです。
これは、単に言葉の問題のようですが、底には、このように文化が反映されています。

● 励ます行為の2つのタイプ
 人を励ますとはどんな心理なのでしょうか。
 似た行為に、別のところで取り上げた「ほめ言葉」があります。これは、相手のやりとげた結果に対するポジティブな評価、心理学の用語を使うなら、正の強化になります。
 励ます行為にも、正の強化という面もあります。これまでやってきたことは良いことです、だから、そのまま続けると良いですよ、という励ましですね。
 勉強している子どもを、「がんばってるね」と励ますような場合です。これについては、ほめ言葉と同じ話になりますので、ここでは取り上げません。
 励ます行為にはもう一つ、もろに、元気づけの効果をねらうこともあります。
 前述した、死の床に臥している人に「がんばってね」というような場合です。
 正の強化としての励ましに対して、こちらのほうは、今現在の状態を脱して未来に向けてのなんらかの行為を促すものとなります。
 励ます行為で難しいのは、こちらのほうです。死の先はないですからね。

● ただ励ませば良いというわけではない
 落ち込んでいる人に、「元気出して」と励ますことは簡単です。
 しかし、励まされたほうからすれば、「どうやって元気を出せばいいの?」と言いたくなる場面が多々あるから、気をつける必要があります。
 どんな場合でしょうか。
 当面、現状から脱却する方策がない、あるいは、見つからない場合です。
・ 失敗して回復するすべがないとき
・ 気持ちがひどく落ち込んでしまっているとき
・ 先のことにまで思いがいく余裕がないとき
 などです。

● 効果的な励まし方
まずは、励ます場面には、ほめて励ます場面と、現状からの脱却を促す励ましのどっちなのかを峻別できる眼力をつけることです。
圧倒的に「がんばってね」というときは、前者です。こちらのほうは、なにも気にせずに素直に口に出して良いと思います。

現状からの脱却を促す励ましを効果的にものにするには、少し気を使う必要があります。
まずは、タイミングです。
現状が最悪な状態のときの励ましは残酷です。こういう状態では、むしろ、最悪な状態を受け止めてやる気持ちのほうを優先するべきです。悲しみ、苦しみ、辛さを共感する気持ちですね。
そして、気持ちが上向いてみずから現状をなんとかしなければという気持ちになってきたあたりを見計らって、励ますことになります。
ここで、「がんばってね」はそれなりに有効だと思いますが、言葉に気持ちをこめる配慮があれば、言うことなしですね。
何か自分で助けてあげられることがないかを相手に聞くのも良いですね。

最後は、余計なおせっかいと言われない程度に、具体的な方策を示唆してやれればいうことなしです。

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進歩感「気持ちを元気にするキーワード」

2018-03-12 | ポジティブ心理学
進歩感「気持ちを元気にするキーワード」

●結果主義とプロセス主義
卒業論文や修士、博士論文だけは、公開で審査されます。そんな場で、できの悪い論文を指導教員が弁護することがよくあります。その定番セリフが、「出来は悪いが、よくがんばった」というものです。
 
結果が大事かそれともプロセスが大事かという話です。
教育には、確かに、学ぶプロセスで身につくものがごまんとあります。ですから、たとえ結果が悪くとも元がとれます。
 
ここで取り上げる進歩感は、まさに、外からの評価とは無関係に、あなた自身のプロセス主義をささえる心の習慣の一つです。

●進歩感ってどんなもの
進歩感とは、「だんだんうまくなっているなー」「日々、あたらしいことができてきているなー」といった類の感覚です。「感」ですから、客観的にみて進歩しているか否かはそれほど問題ではありません。そう自分で感じることができればいいのです。
進歩を実感することは、次の進歩につながりますから気持ち元気になります。

●進歩感で心を元気にするコツ
①進歩感を自覚する
進歩しているという実感は、「新しいことに」挑戦しているときに持つことができます。ここが大事なところです。進歩感は挑戦心とセットになっているのです。 
仕事のどこかで、あるいは生活のどこかで、挑戦に値するものを見つけることからはじめてみることをすすめます。

②現在進行形で考える
一日を振りかえって、今日はだめだった、今日はできた、という区切りでの反省も大事ですが、それが習慣になってしまうと、壁にぶつかったりすると、進歩のための気持ちの持続が途切れてしまう恐れがあります。
そこで、進歩感につなげるためには、今日は明日のためのプロセスである、という考え方をするのです。まだ終わっていない、まだ進行中なのだ、進歩しつつある通過点なのだという自覚ですね。

③進歩感の「みえる化」をする
さらに、それを外から支える仕組みの導入も必要です。
そのためには、進歩を可視化することです。記録することです。そして、それを見えるように、グラフなどにして眺めるのです。
 記録をするという行為によって、管理しようとしている心を意識化し、自己コントロールの実を挙げることができます。さらに、可視化によって、その成果を確認できます。人は、見えるものに影響を受けます。

④おおまかな下位目標を意識する
進歩感をもつには、目標を細分化するのではなく、目標を大まかに立ててしまうのです。ここで、「おおまか」の意味には2つあります。
一つは、下位目標が細かくすれば10あるところを半分にすることです。
もう一つは、達成基準もおおまかにすることです。
一喜一憂せずに、「おおまかに」自己評価するのです。マイペースで気持ちるんるんでやるのです。そうすれば、結果が自然についてくるはずです。

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仕事日記をつけよう」中国版完成

2018-03-11 | ポジティブ心理学
仕事日記をつけよう
クリエーター情報なし
WAVE出版






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比較「昔にくらべれば、鈴木君にくらべれば、まだまし」

2018-03-07 | ポジティブ心理学
比較「昔にくらべれば、鈴木君にくらべれば、まだまし」

● なぜ比較をしたがるのか
私たちは比較が本当に好きです。無意識のうちに比較をしながら生きています。ちょっと考えただけでも、ついつい比較してしまっている自分に気づかされます。
こうした比較をする、あるいはしてしまうのは、なぜなのでしょうか。
 一つは、事をよりよく知ることができるからです。
 唐突ですが、学校での一人の子どもの学力をどのように評価するかを引き合いに出してみます。相対評価、絶対評価、個人内評価の3つがあります。
 相対評価とは、その人が所属する集団の中で、その人がどれくらいの順位になるかで評価するものです。偏差値がその代表です。集団を比較の基準にするものです。
 絶対評価とは、学ぶべき内容がどこまでできているかという(絶対的)規準で評価するものです。日本の教育界では、今は、もっぱらこちらのほうが使われます。内容を比較の基準にするものです。
 個人内評価とは、一人の人が過去よりどれくらい進歩したかで評価するものです。時間を比較の基準にするものです。
 それぞれ、一人の子どもの学力を知るために、比較の基準、仕方を変えたものです。それによって、子ども学力がよりよく見えてきます。
 比較の目的のもう一つは、気持ちをコントロールすることができるからです。ここでは、こうした比較心性について考えてみたいと思います。

●「――よりまし」の比較
 物事を楽観的に考えるコツの一つが、まずい事が起こったときに、「――より今はまし」と考えることです。やってみます。
・まずい料理ができてしまった。でも、ないよりまし
・病気になった。でも、前の病気よりまし
・給料が少ない。でも、失業するよりまし
・貧乏だが、あの人よりはまし
きりがないのでこのあたりでやめておきますが、あなたも、ぜひ、あれこれ思考実験をしてみてください。
 この「―-よりまし」比較が楽観につながるのは、おわかりですね。
 今よりもネガティブな状況や劣った(と思う)人を比較の基準に設定して、それを比べれば、今の自分のほうがまだまし、と考えるわけです。
その基準には実にさまざまなものが採用されます。
もっともよく使われる基準は、過去ですね。昔とくらべれば、という比較です。時間比較と呼んでおきます。
ここでは、皮肉なことに、過去に不幸せであるほうが、現在が幸福に思えるということなります。そういえば、「貧乏は、買ってでもせよ」なんて格言がありますね。
比較によく使われる基準のもう一つが、周りとの比較です。横並び比較と呼んでおきます。教育評価で言う、相対評価です。
これについても、自分の世代は幸福でした。25歳で就職するまで、本当に貧乏でしたが、仲間が総じて貧乏でしたら、あまり気になりませんでした。貧乏も相対的なものなのです。今の若い世代の方々、この点でも結構、つらいところがあるようにも思います。
関連して、「井の中の蛙効果」というのを紹介しておきます(外山美樹による)。
同じ人でも、能力レベルの高い集団にいるより低いレベルの集団にいるほうが、自尊心が高まるという効果です。「鶏口(けいこう)となるも、牛後となるなかれ」です。

● 楽観的になるための比較のコツ
① 基準を多様化しておく
 先ほどは、よく使う基準として、過去と周りの2つを取り上げました。それぞれ、その中身は多彩です。
 「過去基準」も、個人的なものも歴史的、社会的なものもあります。
 「周り基準」も、仲間も物も国もあります。
 今現在は、多かれ少なかれ過去と周りからの影響を受けているからです。
そうした基準を多様化しておくことで、「これがだめなら、あれがある式の比較ができます。そして、現在の、一見すると不幸な状況でも楽観的になれます。
ただ、過去基準の場合、「より下」の回想をすることになります。これは、心が痛むネガティブな回想を使うことになりますので、もしかすると、気持ちの葛藤状態に陥ってしまうかもしれませんので、なかなか難しいところがあります。
そこで一つの工夫は、できるだけ、遠い過去、あるいは、気持ちの上でもう整理ができている過去を使うことです。感情成分がそぎ落とされて事実だけになりますので、回想に伴うネガティブな感情に負けないのではないかと思います。
② 比較の基準として、人生観、あるいは使命感を使う
あるいは、目標基準、教育評価でいうなら、絶対評価といっても良いかと思いますが、これと、今現在の状況とを比較してみるのです。いわば、未来の達成すべき内容を比較の基準にするのです。
大きくは人生観、こうありたい自分と現在の自分とを比較する、あるいは、自分はこういうことで社会に役立ちたいとする自分と現在の自分とを比較するのです。
ちょっとやそっとの失敗、成功でぐらぐらせずに、どっしりと構えて、気持ちを前向きにできるはずです。真正な心の元気は、こういうところから出てきます。
最後に引用です。
SMAPの持ち歌に「世界は一つだけの花」という歌があります。
「そうさ 僕らは 世界に一つだけの花
 一人一人違う種を持つ
 その花を咲かせることだけに
 一生懸命になればいい」(槙原敬之作詞、作曲)
この歌詞は、「only one」をめざすことの大切さを訴えるものですが、それは、私たちの比較心性への警告でもあります。


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楽しみ「楽しみがあるから生きられる」

2018-03-06 | ポジティブ心理学
楽しみ「楽しみがあるから生きられる」

●楽しみと楽しむ
 「楽しみ」と「楽しむ」は、名詞と動詞の違いですが、楽しみは未来、楽しむは現在を志向しているという違いがあります。
 「明日は、彼女とデート。楽しみだ」は未来。
 「彼女とデートを楽しむ」は現在。
 楽しみのこの未来志向がポジティブマインド作りに活用できることになります。
 もう一つ、関連して「楽しみ」の特徴があります。
 それは、現実のなかにあるものとなんらかのつながりがあるイメージの世界でのエピソードだということです。回りくどい言い方をしました。例を挙げてみます。
 ・目の前にいる自分の娘の結婚を楽しみにしている自分。
 ・勉強でのがんばりが合格という形で実現するのを楽しみにしている自分。
 ここで大事なことが2つあります。
 一つは、楽しみは未来志向、したがってイメージの世界の話ではありますが、現実から出発していることです。夢物語、空想とは違います。
 もう一つは、ポジティブ志向です。同じ現実でも、まったく反対のイメージを描くことも簡単にできます。
 ・目の前の娘が結婚できなくてさびしい思いをしている自分
 ・勉強しても不合格になる自分
 ですから、楽しみ志向になるような心の習慣が必要なのです。

●楽しみを楽しむコツ
①楽しみのレパートリーを増やす
 楽しみは、所詮、将来の心の世界、イメージの世界の話です。なんでも楽しみと考えてしまえばいいのです。
 遊びは言うまでもなく、つらい仕事でも勉強でも、なんの変哲のない日常生活でも、先を考えればいくらでもそれに関連した楽しみをイメージすることができます。
 しかも、そのイメージは自分が創造したものでいいのですから、楽なものです。できるだけ豊富な楽しみのレパートリーを心の中にもって生きていくのがコツです。
②楽しみの時系列化を
 楽しみは、未来を志向しています。未来は無限です。明日の楽しみを考えるのもよいし、1月後、1年後、10年後、―――の楽しみを考えることもできます。
 楽しみのリスト作りなんてのもありかもしれません。
 さらに、子育ての楽しみのように、今の楽しみが次の楽しみへとつながるような楽しみの時系列が持てたら最高ですね。
 そして、こんな気持ちになれれば最高です。
「起こる前には、「すばらしいことがおこるぞ」とわくわくし、
 起きている間は、「味わいつくそう」と考え
 終わったあとは、何度もそれを思い出していい気分を味わうのです。」
 (フレデリクソン著「ポジティブな人だけがうまくいく 3;1の法則」日本実業出版社)

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笑うーー 「一日3回の爆笑で心もからだも元気」

2018-03-01 | ポジティブ心理学
笑うーー

「一日3回の爆笑で心もからだも元気」

● 笑いってどんなもの
 笑うから元気なのか、元気だから笑うのか。いずれであるかはともかくとしてーー実は、これは、感情心理学の大問題の一つなのですがーー、笑いと心身の健康(元気)とは関係があることは間違いありません。
 ただ、「笑い」には実にさまざまなものがあります。苦笑、嘲笑、冷笑、せせら笑いなどのようにネガティブな感情の表出としての「笑い」から、笑顔、爆笑、微笑のようにポジティブな感情に伴う「笑い」まであります。
まさに、人間その笑う存在です。
ここでは、言うまでもなく、後者のような笑いを取り上げることになります。

 さて、その笑いってどんなものなでしょうか。
 笑いに限りませんが、気持ちの喜怒哀楽は、顔の表情として表出します。笑いもその一つ、しかも、人に固有の表出です。
怒りなどのネガティブ感情に伴う表出は、犬猫でもあるのになぜでしょうか。(もっとも、動物愛好家なら、犬猫も笑うというかもしれせんが。)

 それは、笑いの2つ目の特徴になります。つまり、笑いは、社会生活の中で、かなり大事なメッセージを伝えているのです。
・私はあなたのことを全面的に受け入れます
・私は今ポジティブです
・あなたは私の予想を外れた行為をしています
 社会的動物である人にとっては、このように、笑いは、欠かすことのできないコミュニケーションの道具なのです。
 笑いをあえて、3部の「仲間を元気にする習慣づくり」に入れたのも、このためです。

● どういう時に笑うのか
まずは、お互いがポジティブな感情を共有しているときに、笑います。
やや余談になりますが、大学で40年余り講義をしてきましたが、どう考えてみても、講義中に学生が笑ってくれたという思い出が一度もありません。
何度も冗談やダジャレのようなことも言ってみたこともありましたが、学生のほうは、ぽかーんとしていました。そんなことが続くため、いつからかもう、学生を笑わせるような努力をしなくなってしまったようです。
笑わせようとして努力したのに笑ってくれないときほど、ばつの悪いことはありませんから。

 それに対して、落語や漫才の寄席中継。
笑いの渦ですね。なんでそんなことがおかしいの、というところでも笑いが起こります。
 つまり、講義室とは違って、寄席では演ずる人も観客も、笑って楽しむという目的を共有しているのですね。笑わにゃー損々、というわけです。
ですから、笑いの閾値が低いのです。
 大学の講義以外にセミナーや講演などでも、笑いをとるのは、日本ではかなり難しいです。聴衆のほうが、まじめすぎるのです。お勉強するのに、笑いなんて不謹慎とさえ考えているふしがあります。

 でも、ポジティブな感情を共有しているだけでは笑いはおこりません。
 笑いを起こすのは、相手の言動が、こちらの解釈のための図式(スキーマ)とずれている必要があります。予測とのずれですね。
 最近のお笑いタレントは、奇妙な動作で笑いを取るのが流行のようです。
「奇妙」に見えるのは、そんな動作は「普通は」しないからです。この「普通は」を支えるのは、あなたの頭の中にある知識のまとまり、すなわちスキーマなのです。
 スキーマからのずれがはなはだしくなると、笑いから驚きに変わってしまいますので、ずれ具合が笑いをとるコツになります。
そのあたりのうまい下手が、お笑いタレントのタレントということになります。
織田正吉氏は、こんな例をあげています。
「犬もあるけば猫も歩く」
言うまでもなく、「犬も歩けば、棒に当たる」のスキーマがずらされたことによる笑いです。
 
●笑いの効用
 「相手を全面的に受け入れる」
「自分がいま、ポジティブであることを伝える」
「あなたは私の予想を外れた言動をしています」
といったメッセージを相手に言わずもがなに伝えることは、笑いの一つの効用です。
 この「言わずもがな」が大事ですね。何も言わなくとも、笑いは、これだけのことをわかってもらえるメッセージなのです。
 使わない手はありません。
これ以外に、笑いは、相手の気持ちを元気にする効用もあります。
笑いだけではありませんが、笑いには、感染効果があります。ある人の笑いが回りの笑いを誘うのです。この効果は場の雰囲気を変えます。周囲を元気にしてくれます。

もうひとつ、横道にそれますが、最後に全然違った笑いの効用を紹介しておきます。
それは、笑いの病気の防止と治療効果です。
笑う人のほうが病気にかからない、病気になっても回復が早いということを示すデータが報告されているのです。筑波大学の名誉教授で遺伝学の研究をしている村上和雄先生によると、笑いは、病気の発症や治療にかかわる遺伝子のオンオフに関係しているらしいのです。
笑いは、このように、心身の元気作りに関係が深いのです。
 
● 効果的に笑う、笑わせる
さて、では、効果的に笑ったり、笑わせたりするのは、どんなことに心がけたらよいの
でしょうか。
 いずれの場合でも、気持ちがポジティブでないとどうにもなりませんね。無理な作り笑いになってしまいますから。
 その上でまず、自分から効果的に笑うほうから。

 先ほど、講義や講演では、学生諸君や聴衆がまじめで笑ってくれないという話をしました。まじめなのは良いのですが、でも、相手が笑わせようとしているときには、場の雰囲気がありますから大声で笑う必要はありませんが、せめて顔の緊張をほぐして微笑くらいはするように心がけることです。
確かに、お笑いタレントと違って、笑いのきっかけになるずれは、もっぱら知識のすれですので、きちんと話を聞いていないと笑うタイミングがとれません。それだけに、笑うということは、あなたの話をきちんと聞いている、話が私に伝わっているというメッセージを送り返すことになります。

もう一つは、かなり強引な笑いになりますが、ともかく笑う、もっと言うと爆笑することです。さらに言うなら、気持ちに関係なく笑ってしまうことです。
冒頭で、「笑うから元気なのか、元気だから笑うのか」は、感情心理学の大問題と言いました。それは、
笑う(身体の末梢反応)――>元気(ポジティブ感情)
という因果を想定するのか、あるいはこの逆なのかということなのですが、ジェームズ・ランゲ説として古くからあったのが、「笑うから元気」という因果関係なのです。

それが最近、少し装いを新たに再登場してきたのです。ちょっとだけ説明します。
笑うーー>「自分は、なぜ笑うのだろう、と推論する」ーー>おもしろいからだ
「身体反応」と「感情」との間に、身体反応を推論する過程が入って、その解釈に従って感情が発生する、というのです。「笑っているから、自分はおもしろいと思っているのだ」というわけです。
人は何にでも理屈をつけたがる存在であることを考慮した仮説です。
 決着はついていませんが、でも、ともかく笑ってみる。そうすれば、元気になるのですから、試してみる価値はありますね。

次は相手を効果的に笑わせるコツです。
 お笑いタレントの真似をして、「ぼけたり」「突っ込んでみたり」「ダジャレを言ったり」「からかってみたり」は、場面によってはあってもよいかもしれませんが、普段は、そんなハイテンションは不要です。
 相手を効果的に笑わせるには、結局はここでも、あなたが笑えば良いのです。
あまりにも簡単なことですが、これがすべてです。(笑)

 


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スポーツ「心身一如はスポーツから」

2018-02-27 | ポジティブ心理学

スポーツ「心身一如はスポーツから」

●スポーツと芸能
新聞、TVニュースでは、必ず、スポーツと芸能があります。それも、かなりのスペースと時間が割かれています。
もちろん、スキャンダル、ゴシップねたも多いですが、多くは、元気づけ内容になっています。ファンならずとも、何かと元気になります。
今回は、スポーツを心の元気づくりに活用する話です。
ところで、あなたは、どんなスポーツをしていますか、あるいはしたことがありますか?
自分のスポーツ歴は、子どもの頃は、草野球、中学校では卓球、高校では体操部でインディアンクラブ(2本の短い棒を振り回す技能を競う孤独な種目)でした。大学時代は、アルバイトと通学に時間を取られて、まったくスポーツとは無縁でした。徳島大学に就職してからは、これまでずっとテニスです。
 スポーツ嫌い、運動嫌いも、それほど数は多くはないと思いますが、世の中にはいます。そういう方は、また別のところで、心の元気づくりをしていただくことにして、ここでは、なんらかのスポーツをする方を想定した話になります。
ただ、もし子どもがいるような方には、ぜひ、自分の子どもには、何かスポーツをさせるようお願いしておきます。スポーツができることは、心身の健康、元気づけにはとても効果的からです。

● スポーツはどうして心を元気にしてくれるのか
 心身一如の項でも、からだと心の元気との関係についてかなり詳しく述べました。
 要約すると、次の2点になります。
・ 心(意志)を心でコントロールすることはできますが、かなり難しいところがある
・ 心と心の間にからだを仲介させるとコントロールがより楽にかつ効果的にできる

これが基本ですが、もう少し、スポーツが心の元気をもたらす理由を考えてみると、次のようなことがあります。
① 自己コントロール感 意志の力で心と体がコントロールできたという感覚
 例 相手の動きとは逆の場所にボールを打とうとして打てた
② 有能感 自分で自分がコントロールできた自分はたいしたものという感覚
例 ミスではなく、攻撃でポイントを奪えた自分はすごい
③ 進歩感 前よりはうまくできるようになったという感覚
例 前は、力んでしまって、攻撃がミスに直結だったが、そういうことがなくなった
④ 優越感 相手に勝つことができたという感覚
例 負けてばかりのペアーに勝てた
⑤一体感 仲間と一緒に目標を達成したという感覚
 例 優勝までできたのは仲間と監督のおかげ

●スポーツを心の元気づくりに活かすコツ
①なにか一つ見つけて上達しておく
 スポーツはレパートリーが豊富です。早く自分にあったスポーツを見つけることです。なんといっても、時間のたっぷりある学生時代に見つけで、一定のレベルにまで上達しておくことです。
自分は、中学時代にたっぷりとやった卓球が、今でも楽しむことができます。からだで覚えたものは、一生覚えているものです。

②仲間と一緒に楽しむ
 スポーツは一人でやれるもの、楽しめるものもありますが、できれば、仲間と一緒のほうが、なにかとプラスです。スポーツを一緒にした仲間は、仕事仲間とはまた一味ちがって、親密さも格別です。
とりわけ、高齢者は、ともすると孤立しがちですので、地域でのスポーツ仲間を作ることが大事になります。行政の支援も結構ありますので、公民館あたりに出かけてみるとよいと思います。

③スケジュール化する
自分は、週末にテニスをします。「いつも時間にいつもの場所でいつものように」がスポーツをするための余計なコストを低減してくれます。おかげで長続きします。1週間の楽しみ目標にもなります。

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内省[心を真から強くするもの」

2018-02-27 | ポジティブ心理学

内省[心を真から強くするもの」


●内省ってどんなもの
 私たち人間は、自分をもう一段高いところから眺めることができます。つまり、自分の心を自分でながめてみる(モニターしてみる)こともできます。今、かなり注意が散漫だなーとか、この問題は自分では解けそうにないなー、といったことです。
 いずれも、メタ認知という機能のおかげです。
 内省は、このメタ認知機能を意識的に働かせることで、自分の心をより深く知り(モニターし)、さらに、心と行動を適切にコントロールすることができるようになります。
 親や教師の口癖の「「反省しなさい」は、この内省の一つです。反省だと、何か不都合なことをしてしまって、これからはそれをしません、ということになって、あまりポジティブな意味合いがありませんが、内省には、もっと広く、積極的な面も含みます。
 たとえば、反省だと過去を振り返るだけですが、内省では、さらに、今現在の心、さらに将来の心についても思いをはせることまで含みます。
 「少し眠くなってきたら、コーヒーでも」は今現在の内省
 「あそこは道がせまくて危ないのでスピードを落として運転しよう」は将来の内省になります。
 さらに、内省する領域にも、いろいろあります。
 なぜ、こんなに気持ちが落ち込んでしまったのだろうか(感情領域)。
 なぜ、今日は頭が働かないのだろうか(認知領域)。
 また内省の使い方もいろいろです。
気持ちの知性化のための内省があります。なぜ、あの時、あんなことが起こってしまったのだろうかと考えることで、気持ちを冷静に観察することができます。
あるいは、頭の働きの深化ということもあります。なぜ、適切な判断ができなかったのか、こんなすばらしいアイディアが浮かんだのはなぜなのかを考えることで、頭の使い方がよりパワフルになります。
さらに、周りとの共感性を高めるにも内省は有効です。いつもフレンドリーな彼女の気持ちに思いをはせる、上司の攻撃的な言動を引き出してしまう自分の行為はどうしてやってしまうのか、といったことで、相手の気持ちをより深く理解できるようになります。

●内省ができない人、できる人
性格的に内省とはまったくといっていいほど無縁の人がいます。その典型はタイプA性格の人です。
 「競争心が強く、達成意欲が強く、集中力があり、時間に追われて、人の気持ちに無関心、失敗を恐れない」
 いわゆる猛烈人間です。さすがに、近年の日本のビジネスマンの推奨モデル
からははずされましたが、性格ですので、潜在的には、一定の割合で生き残って?いるはずです。
 でも、こうした内省欠如は、なにかとリスクがあります。
自分が抱えるリスクは、こけたときの対応が極端になってしまうことです。タイプAでは心臓疾患が高くなりことが知られていますし、一般に、燃え尽き症候群にさらされます。
さらに、周りの人々にとっては、その傍若無人ぶりに振り回されることになります。
 内省欠如の反対が、うつ病性格の人です。
 悪いことが起こると、何でも自分の力のなさのせいにして過剰に自分をせめてしまう人です。いわば、自分が落ち込むような内省ばかりしている人です。
 いずれも、極端すぎます。やや病的です。
 適度の内省ができる人間、状況に応じて内省できる人間が、適応的で成熟した人間と言えます。

●心の元気にする内省のコツ
①内省を習慣にする
 内省できる人とできない人とがいることは確かですが、内省は、すぐれて意識的な行為ですから、やろうと心がければ誰でもそれなりにできます。
 最初は、
・日記をつける
・鏡を見る
・寝る前に一日を振り返る
といったことを意識的に毎日やり、それを習慣化することです。
 その際、大事なことは、ただ、物事を思い浮かべるだけではなく、その時の自分の心に思いをはせるようにすることです。
友人とあった。楽しかった。ここまでは、誰でもできます。しかし、これは、単なる回想です。これをさらに、どうしてあんなに楽しかったのだろうと思いをめぐらすのが内省です。

②今現在の内省も活用する
 内省は反省ではないと述べましたが、内省で意外に見逃されているのが、今現在の自分の心を内省することです。たとえば、
 原稿を書いている。書けない。あれ、どうしたのかな。そうかー、材料不足かー、それなら、少し関連する本を読んでみるか。
 あるいは、車の運転をしている。なんだか眠くなってきたなー。そういえば、もう2時間も運転している。集中力が途切れてきたし、すこし休憩したほうがよいかなー。
 これを私は、心の実況中継と呼んでいます。今現在の自分の心の適切なコントロールに有効です。
 
③幸せイメージを使う
 内省は、どうしてもネガティブな方向に向いがちです。それはそれで、精緻で深い心の分析ができますので、大事なのですが、過去の習慣もありついつい、そればかりになりがちです。
 そこで使うのが「未来の内省」です。
 これからの自分関連するポジティブイメージを思い浮かべて、それに自分を入れ込んでみるのです。
 たとえば、今勉強している資格試験に合格した、それを知った自分をイメージし、さらに、それを友達に伝えて時の友達の顔をイメージしてみるのです。

④内省を妨げるものとのつきあいを限定する
 ゆっくり内省できる環境も大切です。
 あまりに、周辺に、内省を妨げるものが多すぎます。満員電車での通勤なんて、内省にはもってこいの時間と場所です。でも、今、iPAD。スマホでのゲームなど時間つぶし、退屈しのぎの道具が幅をきかせています。家ではこれにTV、インターネットが加わります。これが貴重な内省の時間を奪います。
 したがって、黙っていては、どんどん内省のための時間も状況も奪われてしまいます。①で述べたように、習慣を作るのが第一、第二に心がけることは、時間つぶしの道具を持たない、持つなら持っていくところや使う時間を限定することです。
 内省ほど豊かで気持ちよい時間つぶしはありません。

⑤心理テストも受けてみる
 心理テストといっても、おおげさなものではありません。一つ一つの質問に「はいーいいえ」や5段階で答えると、たとえば、あなたの性格がわかる、といった類の検査です。
 たとえば、タイプAの程度を計る質問(一部)です。
・ 忙しいですか
・ 熱中しやすいほうですか
・ 緊張しやすいですか
・ きちょうめんですか
 自分を深く知るための手掛かりにするくらいの気持ちでやってみるのをすすめます。
 

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