うべプラネタリアン

プラネタリウム解説の活動を通じ、いろいろ感じたことをさまざまに語りたく....

たなばた....(125)

2007年07月08日 17時44分46秒 | うべプラネタリアン
梅雨時のど真ん中に、星祭りの「七夕」がある。
星の見えないシーズンに「星祭り」が座っているというのは変だが、
たなばたには「?」と思うことが多い。
第一、「七夕」と書いて「たなばた」と読むことからして、変だよね。
“七”は “たな”とは読まないし、“夕”を “ばた”と読むわけではないだろう。
どうしてこんな当て字ができたんだろう。
星好きなら、こんな奇妙な質問くらいしようじゃないか。
正しくは「たなばた」は「棚織」だ。
旧暦の7月7日は今の8月。稲の花が咲き、受粉の季節。
豊年を祈り、盆の行事準備のため、巫女(棚機女(たなばたつめ))は社にこもり、
機を織った。これが「たなばた」。
一方、本来の“七夕”は“しちせき”と読み、五節句の一つだ。
五節句とは、1月7日人日の節句、3月3日桃の節句、5月5日端午の節句、
7月7日七夕の節句、9月9日重陽(ちょうよう)の節句(別名菊の節句)。
(奇数月のその月の数の日が節句、1月1日は元旦だから7日にズラした)
7月7日は七夕=棚機と重なり、七夕をたなばたと読んだ。
これに星祭りがからむのだが、たなばた伝説は、室町時代からというからすごく古い。
おりひめぼし(こと座ベガ)も、ひこぼし(わし座アルタイル)も、今の暦の7月初めより、
旧暦の1ヶ月遅れ8月上旬の方が、高くのぼり、見やすくなる。天の川も同様。
星祭りは、梅雨の明けた季節でこそ楽しめる。
昔に、梅雨のど真ん中で「ほしまつり」が行われたはずはない。
古くの生活習慣は、月を中心に作った太陰暦と重ねて、初めてよくわかるというわけだ。

画像は、私の好きなアルビレオ。
肉眼では一つの星だが、望遠鏡を向けると二つに分かれて見える。二重星という。
アルビレオは全天一美しいと言われる大人気の二重星。
ほらね、色の対比が絶!でしょ。
この二重星は、はくちょう座のくちばしの位置にある。
そう聞けば、はっと気づいてほしい。はくちょうのくちばしの位置は、おりひめ星とひこ星の間だ。
だから、7月7日に、天帝から許された二人のデートの現場なのだよ。
二人のツーショットの写真だね、まさしく。