![]() | わたしのマトカ幻冬舎このアイテムの詳細を見る |
先日見た、荻上直子監督「かもめ食堂」に出ていた、すごく個性的な女優さん・エラが張っていて、荒川静香さんに顔立ちが似た・片桐はいりさんの書いた本です。
映画の撮影が終わっても、片桐さんだけフィンランドに残り、その滞在の様子が描かれています。
片桐さんが最初に覚えたフィンランド語が、サーンコ・タシタ・リタラ、でした。
生活するのには、市場に行って食料品を買わなければいけません。苺は(ヒューバ)って呼ぶらしいんだけど、日本のように綺麗に揃ってパックされてなくて、山積みされて、大きさも色もまちまちで売られているそうです。それをバケツで買うんです。不ぞろいだけど、野生の味がして旨いと書いてあります。サヤエンドウもトマトもニンジンも野菜はみんなバケツで買う・サーンコ・タシタ・リタラ!と!!
穀物の塊の味がするパンが美味しいそうです。映画に出てきたシナモンロールはフィンランドのオフクロの味です。サルミアッキも食べてみたくなります。
食だけではありません。「もしも男に生まれていたら風俗ライターになっていたのかもしれない。帽子をかぶって歌舞伎町などを歩くと、すぐ、お兄さんと声がかかる。たいていいちばんディープな場所をあるいていて、危険を回避する能力を少なからず持ち合わせていて、女にしておくには惜しい才能である。」68ページ・という片桐さんです。
ライブハウス「地獄」に入って、踊ろうとする片桐さん。話しかけられてなかなか踊れません。普段無口なフィンランド人の変身振りが見事です。
なーーーんたって、フィンランドモードになった片桐さんが楽しい。アジア各国の雲助ドライバーとことごとく戦ってきた、はいりさん。
日本に帰ってきて、スーパーのレジで気が付きます。「日本人たちせっかちなんだなーー!今まで感じたことのない愛おしさを女神のような気持ちで見れる。」146ページ。
都会に住むストレスに余裕という武器を持つのが、いかに大切か判ってくる本です。
マトカとはフィンランド語で旅のことだそうです。