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『日本人のための軍事学』第9章(その2):戦争を覚悟しないと、北朝鮮の非核化はできない!北朝鮮が核を持ったまま残ると、日本の核保有や核シェアリングの話が出てくる!

2021-01-15 13:17:31 | Weblog
※橋爪大三郎(1948-)・折木良一(1950-、自衛隊第3代統合幕僚長)『日本人のための軍事学』2018年、角川新書

第3部 東アジアの行方  第9章 米朝会談(2018年)後の東アジア(その2)(217-279頁)
(37)北朝鮮を非核化することの人類益はとても大きい!
Q 「韓国の危機意識がなさすぎる。・・・・首都を釜山(プサン)に移して、ソウルは戦争終結まで空っぽにしておけばよい。」(橋爪243頁)
Q-2 「北朝鮮を非核化することの人類益はとても大きい。」「《ナチス・ドイツに宥和政策をとって失敗したミュンヘン会談》の教訓から学べることだ。」(橋爪、243頁)
Q-3 「南ア」や「リビア」の「核放棄」は、「開発の初期の段階だった。」しかし「北朝鮮はすでに、弾道ミサイルに搭載できる核兵器まで開発したのではないかと言われており、南アやリビアとはレベルが異なる」。(折木、245-246頁)

(38)戦争を本気で覚悟しないと、北朝鮮の非核化はできない!
R 「北朝鮮は一貫して金一族を中心に、金一族のための施策を行ってきた。」(折木、250頁)
R-2 「戦争を本気で覚悟しないと、北朝鮮の非核化はできない。」「オバマの『戦略的忍耐』(何もしない)は間違いだった」。(橋爪、251-252頁)
R-3 「オバマとトランプの違いは、トランプが軍事オプションを明確にし、戦争を覚悟し、準備もし・・・・いつ斬首作戦や先制攻撃があってもおかしくないと思わせた。」これが北朝鮮に伝わり、2018年6月の米朝首脳会談が行われた。(橋爪、252頁)

(39)「拉致問題」、「戦後処理の賠償問題」、「核・ミサイル開発問題」を「一括して」全体の問題として協議する!
S 「拉致被害者が全員返ってくるまでは経済支援(※戦後処理の賠償問題)しない」というのは、裏を返すと「拉致被害者が返ってきたら、経済支援しない理由がない」ということだ。(橋爪、268頁)
S-2 「拉致問題、それから戦後処理の賠償問題、そして現在の核・ミサイル開発問題」を「一括して全体の問題として協議したほうがいい」。(折木、269頁)
S-3 「トランプ大統領が米韓合同軍事演習の中止を発表したのと同じで、カードを早く切りすぎてはいけない」。(折木、269頁)

(40)北朝鮮が核を持ったまま残ると、日本の核保有や核シェアリングといった話が出てくる!
T 北朝鮮と韓国が「平和的に統一されると、統合された軍事的強国になる可能性がある」。(折木、271頁)
T-2 「北朝鮮が核を持ったまま残ることになれば、韓国での核武装論も再燃するだろう。日本でも国内的に[核武装の]議論が巻き起こる可能性があると思う」。(折木、271頁)
T-3 「アメリカが北朝鮮に妥協して、限定された核の保有を認めた場合、日本と韓国に対するアメリカの拡大抑止(核の傘)の信頼性が下がる。」(折木、272頁)
T-3-2 また「日本の核保有や核シェアリング[Cf. 米国の核持ち込みを認める]といった話が出てくる」。安全保障環境が複雑になる。東アジア情勢の混沌・混乱が長期化する。(折木、272頁)

(41)北朝鮮は戦略的に合理的に行動している!
U 北朝鮮は独裁国家だが、戦略的にとても合理的に行動している。(橋爪、273頁)
U-2 戦前の日本はひどいもので、アメリカと対峙した近衛文麿がよい例だ。もともと日本の国益は中国にないのに軍を引く決断ができなかった。」(日本の「生命線」は「朝鮮半島や満州」だと言い、「対ソ戦」を準備していた。)
「結局、近衛は対米開戦の基本方針を決めたうえ、首相の座を投げ出し、その尻拭いを東条英機がすることになった」。(橋爪、274頁)
U-3 「日本は、残念ながら非常に戦略性が弱い。」(橋爪、275頁)

(42)金正恩が「天皇」の役割を果たす?軍事オプションから経済オプションへの移行!
V 日本はアメリカとの戦争に敗れたあと、親米政権となり、経済再建と民主化を成し遂げた。これが可能となったのは「天皇」がいたからだ。「天皇がアメリカの占領を受け入れ、対米協調を基本路線とし、日本国民のあいだにその路線の正しさを、体感として伝えた」。(橋爪、279頁)
V-2 「その昭和天皇に当たる役割を、もし金正恩が果たすことができれば、軍事オプションから経済オプションへ移行できるだろう」。(橋爪、279頁)
V-3 「これが私の考える、東アジアと日本にとっての、いちばんハッピーなシナリオだ」。(橋爪、279頁)

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