宇宙そのものであるモナド

生命または精神ともよびうるモナドは宇宙そのものである

A. バックウォルド『傑作選2』第11部:選挙に勝つ条件は「プロの選挙屋」、「汚い選挙運動」、「選挙運動費」、味方になる「新聞」、「テレビの時間」、「金持ちの女房」、何よりも「資金」量だ!

2021-01-22 16:01:46 | Weblog
※アート・バックウォルド(Art Buchwald)(1925-2007)『そして誰も笑わなくなった バックウォルド傑作選2』文芸春秋、1980年

(4)負け惜しみ(64-66頁)
アメリカ合衆国の選挙では、「アメリカの伝統は、敗者が潔さを示して敗北宣言をおこなうことを要求する。」
《感想4》このコラムは、ジョンソン大統領のプエブロ号事件(1968年、北朝鮮による米国の情報収集艦《プエブロ》の拿捕)の頃だ。今回2020年、アメリカ大統領選挙で敗北したトランプ現職大統領の態度は、アメリカの民主主義の「伝統」に反する。

(4)-2 ある「敗北宣言」の解釈!
「わたしに信頼を寄せてくれた人々に心から感謝します。」→次は「プロの選挙屋」を雇うつもりだ!
「選挙運動統率者は賞讃しても賞讃しすぎることはありません。」→あいつはわたしが当選したら「連邦判事に取り立てる」と約束させやがった!
「妻のベティの献身と愛情と理解に感謝しています。」→女房のやつは最初から「わたしに勝ち目はない」と言っていた!
「対立候補には彼が正々堂々と戦ったとお祝いの言葉を述べます。」→これは「政治史上最も汚い選挙運動」の一つだ!
「この偉大な国では、だれもが勝者にはなれません。」→100万ドルの「選挙運動費」の赤字をどう埋めるかが問題だ!
「わたしをフェアに扱ってくれた新聞にも感謝の意を表明します。」→あんな偏見でこりかたまった、大噓つきの連中は見たことがない!
「わたしには対立候補ほどテレビの時間を買う資金がなかったことは事実です。」→選挙のときには、いくらぶすでも「金持ちの女房」を持っているやつが強い!
「しかしわたしは敗北を資金不足のせいにはしたくありません。」→それ以外になにがある?
《感想4-2》以上より、選挙に勝つ条件は明らかだ。①「プロの選挙屋」を雇う、②有効なら「汚い選挙運動」でよい、③十分な「選挙運動費」、④味方になる「新聞」、⑤より多くの「テレビの時間」、⑥「金持ちの女房」、要するに⑦何よりも「資金」量だ。

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浮世博史『もう一つ上の日本史、近代~現代篇』百田氏の見落とし:(17)百田氏は「天津条約」(1885年)における伊藤博文の意図を見落としている!伊藤は「国内世論の沸騰」に対処する必要があった!

2021-01-22 12:03:38 | Weblog
※浮世博史(ウキヨヒロシ)「もう一つ上の日本史、『日本国紀』読書ノート、近代~現代篇」(2020年)「世界に打って出る日本」の章(67-148頁)  
(17)「甲申政変」(1884年)日本は朝鮮政府と「漢城条約」(1885年)、清と「天津条約」(1885年)を結ぶ! (79-80頁)
Q 「甲申政変」(1884年、日本政府が金玉均を支援して起こしたクーデター)のあと、日本は朝鮮政府と「漢城条約」(1885年)(朝鮮政府が謝罪と賠償を行う)を結ぶ。(浮世78頁)
Q-2  続いて「甲申政変で、日本と清との間で軍事的緊張が高まった」ため、「1885年、両国が朝鮮から兵を引き揚げることを約束する天津(テンシン)条約」が結ばれた。(百田『日本国紀』307頁)
Q-3  「天津条約で重要なのは『将来朝鮮に出兵する場合は相互通知を必要と定める。派兵後は速やかに撤退し、駐留しない』という条項だった」。(百田307頁)

(17)-2 百田氏の見落とし:「天津条約」(1885年)における伊藤の最も重要な意図は「国内世論の沸騰」に対処することだった!
Q-4 だが百田氏には見落とした点がある。天津条約で「伊藤にとって重要なのは、これらではなかった」。(浮世79頁)
Q-5 「撤兵も出兵相互通知も巧みに思惑通りに進められたが、(※明治政府が)国内に向けて『甲申政変』の不正確な情報提供をしていた(※日本が金玉均を支援しておこった事件だという事実を隠した)ために、『清国を討つべし』『清側の謝罪を要求せよ』と、すっかり国内世論が沸騰してしまい、このままでは引き下がれない状況に置かれてしまっていた」。(浮世79-80頁)
Q-5-2 伊藤博文は「甲申政変で混乱する首都で多くの残留日本人が殺害された。」「これに関連した軍の指揮官を処罰せよ」と要求。これに対し李鴻章は「そもそもクーデターに日本が関与していたことも仄(ホノ)めかして伊藤が引き下がるのを待った」。(浮世80頁)
Q-5-3 伊藤は引き下がらず、結局、李鴻章が折れ、「内部で再調査し、事態が判明すれば責任者を処罰する」という「約束」をした。(浮世80頁)
Q-5-4 清が折れた背景としては、①清が「まだフランスとべトナムをめぐって戦争中であった」こと、②「これを機会にフランスが日本と接近する可能性があることを、イギリスが李鴻章に示唆した」ことがあげられる。(浮世80頁)

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