夕方暗くなってからだった。玄関口から『ゆら早生みかん持ってきたで』の声がした。お隣のミカン農家の声だった。
外に出ると、みかんの入ったコンテナを台車に載せて運んできてくれていた。
自分:「忙しいのに、わざわざ持って来てくれて」
ミカン農家:『選ってへんので腐りが入っているかもわからんで』
自分:「そんなん かまへん・かまへん。ミカン採り、7人も雇っていると、いろいろ大変やろなあ」
ミカン農家:『雇い賃払ったら何してるコッチャわからん。でも、ミカン採ってしまわなアカンし・・・』
自分:「体だけは無理したらアカンで」
無理せな しゃーないのがわかっていながら、そんな声掛けしかできなかった。
ミカン農家:『おおきに』
そんな大変さが詰まっている「ゆら早生みかん」
・・・段々畑のミカンの収穫・・・
機械化がすすんでもミカン採りは手作業。段々畑だと上がったり下りたりするだけでも体力がいる。
木が大きいと、テボ(収穫カゴ)を首にかけて木に登り、両手を離して不安定な状態のまま、片手で小枝を手繰り寄せ、もう片手でミカンを収穫するという「片手採り」も必要になる。木から落ちたり、下の段まで転げ落ちたり、ケガや骨折したりした人もいる。
収穫したミカンが入ったコンテナをモノラック(運搬車)のレールのあるところまで運ぶのも、傾斜があるし枝が張り出ていたりもするし、しかもコンテナ1杯が約20kgもあるので何杯も運ぶのは体力仕事。
モノラックに4~6個のコンテナを積み込めば、エンジンをかけ軽トラなどが置いてある場所までスタートさせる。人は乗れないので、坂道を降りる。モノラックは終点で自動的に止まる仕組みになっている。モノラックでの運搬を何回も繰り返し、収穫したコンテナを全て車へ積み込んでやっと収穫が完了する。
倉庫では家庭選別が待っている・・・
昼は収穫、夜は家人だけで選別作業がよくあるパターン。選別し、翌日JA共撰に出荷して、やっと収穫~出荷が完了する。
今、ミカン農家は寝る間も惜しんで頑張っている。