野菜畑は、いつも管理機で耕している。
植付のシーズンが近づいたので管理機で耕そうと畑を見回ると、以前に畝作りの溝になっていた箇所だけ、通り道となって踏みしめられたり、雨水が溜まって乾燥した影響からか土壌がカチカチに固くなっていた。野菜を育てるには溝の箇所は放置しても支障がないが、「固いままでは雨水が滲みこんでくれないし、掘り返しておかなくちゃ」と思った。
この「余計な思いつき」が、想像以上に労力のかかる作業をする羽目になってしまった。
固くて管理機やスコップでは歯が立たなかった。ツルハシを使うしかなかった。全てを掘るには何日もかかるし、とてもじゃないがツルハシを振り回し続ける体力と気力はないし・・・
ふと、倉庫に掘り起こしに使えそうな農具があったのを思い出した。親父が「みかん作り」で使っていた農具だが、どんな作業に使っていたかは知らない。多分、土壌を柔らかくしたり土中に酸素を入れたりする時に使ったに違いないと思った。
何はともあれ、これを使えば土が掘り起こしやすいと直感した。やってみた。掘り起こせた。でも、半端ないほど足にも手にも力が必要だった。また掘り起こした土の塊を砕くのも一苦労だった。でも、ツルハシを振り回すよりはましだと思った。
1日目は2時間ぐらいの作業で切り上げた。毎日、2時間ぐらいの作業だと10日ぐらいはかかりそうに思えた。気力が萎えかけてきた。ただ、両足首・両手首に各1.2kgの重しをつけた筋力体操を続けているお蔭からか、意外にも手足が悲鳴を上げることはなかった。
2日目も同様の作業量だった。ただ、作業中に「体を鍛え直すいい機会」だと思うようになった。3日目の昨日は、雑念が湧くことなく淡々と作業を終えられた。
怠惰な性分なのに、この歳になって、こんなにも「単調」で「しんどい作業」を根気よく頑張れている自分に「びっくりぽん」するばかりだった・・・・・・
この農具に親父の百姓魂が宿っているとしか思えなかった・・・・?
そんな頑張り過ぎを心配してか、骨休みするようにと今日は雨まで降らせてくれた・・・?
昔ながらの「お百姓さん」になったような気分に酔いしれているのかも・・・?