夕方になると腹が減ってきた。備え付けの冷蔵庫にはチーズとサラミ、棚に半分乾いたベーグルがあった。ベーグルにバターをぬって、ラバットの缶ビールを開けた。
なんと豪勢なディナーだろうか! まったく、いつになったらちゃんとした食事ができるんだろうか。ただし僕のいうちゃんとした食事というのは、エジプト豆のスープとか、ムーグーガイパンとか、フォアグラ入りのローストチキンとか、そういうやつだ。したがって、ちゃんとした食事なんていつになってもありつけそうにない。
チェルノブイリの放射能がたっぷり入っていると思われるスイスのチーズは、なかなか素敵な味だった。胡椒を山ほどかけたのだが、二切れ食べてあとは残した。冷たいベーグルをアイスビールで流しこむ。
駅前まで歩いていって、本屋でものぞきたい気分になってきた。あるいはレンタルビデオショップにいって、ハリソン・フォードのサスペンスものを借りてくるのもいいかもしれない。
いやいや、そんなもの、本当にみたいのかい、相棒? なんとなく人恋しくなってきただけのことだ。この寒さのなか、とぼとぼ十分も歩きたくはないだろう。おまけに深夜だから、どこかの車オタクのかっ飛ばすターボ付きシルビアに引っ掛けられるかもしれない。まったく、あいつらときたら尻に火がついたように走り回るからな。
1996年、2月の日記より 原文のまま
追:この頃はジェイ・マキナニーなどのアメリカ文学にかなり影響を受けていたようです。ラバットというのは当時流行ったアメリカのビール。今は見かけなくなりました。
若い頃かろうじて書いていた自分のものと
えらい違うぞ
そうか、日記はこうのように書くのか
あ゛~、絶対こんな風に書けないぞ(@@)ぐるぐる
その時もなつかしかったのですが、チーズのところで更になつかしくなりました。
婆さん♪
日記とはいえ、これは小説のネタになるようにと書いていた文ですね。ぐるぐる無用ですぞ|(-_-)|
あるてぃさん
ああ、お恥ずかしい...。
この頃は完全に西洋化してましたねえ。
rugerさん
ねね、懐かしいですね。
今じゃあすっかり忘れてますけど、食物連鎖で考えると今もどんどん蓄積されてますよね♪
マサル
ラバット美味かったよね。あれ、何でアイスビールっていう商品名だったのだらふ。
ちょっと、ブログ活動を休んでおりました。
その間に、沢山アップされてて、読むのが大変だ~。
ハヤトさんの日記、カッコイイですね。
9年前には、ベーグルとか流行ってはいませんでしたね。
時代を先取ってますね。
日記ですが、私は続いた試しなし。
相手がいないと、文章が書けない人種らしいです、私。
ず~っと日記が続けられる人って素晴らしい。
それだけで、尊敬のまなざし。キラキラ。
この日記、婆さまへのレスにもあるように、カッコいい書き方の練習をしていたのですね。こういうのって小説の一部に使えるから。
そういえばあの頃って、ベーグルは特殊なパンだったなあ。駅前のパン屋で売ってたんだっけ。
>相手がいないと、文章が書けない人種らしいです、私。
僕も同じっす。これまで書いたものは、みんな公表するために書いてましたん。してみるとブログっていいよね。実際続いてるし(^_^)