くらぶアミーゴblog

エッセイを綴るぞっ!

憧れはグラハム・カー 国分寺編

2006-02-07 10:56:48 | 連載もの 憧れはグラハム・カー

「この曲が好き」と、ユミは言った。
「波が打ち寄せてくるみたい」
 僕たちはシャーデーのLPを聴いていた。そいつは友人の家からかっぱらってきたもので、だいぶ歪んでいた。ターンテーブルの上で回っていると、レコード針が上がったり下がったりした。それに合わせて、シャーデーの音程も上下した。
 かっぱらった時から歪んでいたのである。そのためか、友人も「返せ」と文句を言ってこなかった。
「そろそろ、学校に行くかな」
「一緒に行くわ」
「授業終わるまで待っててくれるの?」
「パン教(一般教養)だったら、教室に潜り込んじゃう」
「わははは! あれ、絶対バレないんだよな」
「あとは喫茶店で待ってるね」

 こうして僕は、誰も彼もがそうするように、それをきちんとなぞらえるように、キャンパスライフを怠惰なものにしていったのである。
 86年頃の話しだ。


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