くらぶアミーゴblog

エッセイを綴るぞっ!

あなたのテーマ曲

2005-02-16 17:12:58 | エッセイ
camp.night200


 その曲を聴くと、当時の情景をまざまざと想い出すことが出来る。そんな想い出の曲というのが、いくつかあります。流行歌であったり、ジャズであったり、ジャンルも様々です。
「スメタナのモルダウを聴くと、何故か俺は幼い頃の記憶が甦るんだ...」という人も、きっとどこかにいることでしょう。
 そして情景とは別に、ある特定の人物のことが鮮明に想い出される、という曲もありますね。
 例えば僕は演歌の『北酒場』を聴くと、高校時代の友人Sの恥ずかしそうな表情が、真っ先に浮かんできます。彼はうんとシャイな男なのに、仲間にそれを無理矢理歌わされたことがあったのです。切羽詰まった彼は、思いがけず甲高い大声で「♪きたぁの~」とやったわけです。みんな大爆笑。だからその仲間はみんな『北酒場』を聴けば、Sを想い出して暖かく笑うことが出来る。つまりこれはSのテーマ曲なのですね。
 一緒に聴いていた昔の恋人を想い出す、という曲もあります。こちらは爆笑ものとは違って、まったく思いがけないところでその曲を耳にして、人知れず“スイッチ”が入って切なくなってしまう、というロマンチックな状況も起こりうるわけです。付き合った恋人の数だけ、それぞれにテーマ曲があったりして。こうやって考えると、音楽というのは単純な娯楽では終わらないものだなあと感心しきりです。
 さて、ここで疑問が一つ浮かんでくる。友人や家族や恋人に、それぞれ固有のテーマ曲があるのだから、自分にも当然あるはずです。それは一体どんな曲なのだろう、ということです。残念ながら僕はまだ、誰にもそれを訊いてみたことがない。これは非常に気になる疑問ですね。

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