米大統領トランプが、就任後4ヶ月目の今、中東を訪問中です。
内政で大混乱を起こしているトランプですが、はたして初の外遊で内政の失点を回復できるかどうかですね。
初回に内政で大量点を取られたのを、外遊によって「同点」までとは言わなくても「挽回可能な得点差」にまでもっていけるかどうか、でしょうか。
そのためには、いつもの「外に敵をつくる」という原則にしたがい、イランや北朝鮮を標的にするのでしょうか。
前大統領オバマの方針によって、イランとの良好な関係をもてそうな兆しを見せましたが、その反面アメリカと、サウジアラビア・イスラエルとの関係を悪化させました。
新しい大統領トランプは、オバマの方針にことごとく反抗して、これを白紙に戻し、問題の多いサウジアラビアを訪問して「反イラン」を明確に表明しました。この結果、アメリカとサウジアラビア・イスラエルとの関係が好転する兆しを見せています。
「揺れ動くアメリカの中東対策」ですね。
娘婿であるユダヤ教徒の影響も大きいらしく、イスラエルを訪問したときにもトランプは現職米大統領としては初の「歎きの壁」で祈りを捧げました。
純粋に宗教的な儀礼ならばいいのでしょうが、反イラン・反オバマ色を出したことに憂慮する人がいることでしょう。
はたして
- オバマの手法が中東和平に貢献したのか
- トランプの手法が中東和平に貢献するか
「力によって和平が達成できる」と信じるアメリカは
銃(力)で和平(射殺)が達成できると考え「銃の普及を推進」した結果「銃犯罪が激増」し、さらにこれに備えるために「銃携帯が常態化」するので一層「銃犯罪が増える」、という負の連鎖が生じているのです。
もともとのアメリカの治安の悪さを「銃の携帯」で少しでも良くしようとするのですが、これが治安をより悪くしています。これを緩和しようと宗教を利用するのですが、これまた多様な意見があり、宗教が銃社会を促進する場合もあり、大混乱を見せています。
これと同じことを中東で繰り返そうとするのでしょうか。
銃とは直接関係がなさそうですが
暴力で暴力を押さえつけようとする点で、中国やフィリピンの今の首脳が似たことをやっています。
トランプ ≒ 習近平 ≒ ドゥテルテ
世界の報道機関が
その資本関係で揺れ動き、明らかにどこどこの肩を持つことをせずに暗に匂わせるだけの現在、確かなのは「読者の判断力」であり、それを補完するのがメディア情報です。
私は、決して「メディア情報がそのまま読者の判断となる」のではないと考えています。あくまでも「読者の判断力」が優先され、それを助けるのがメディア情報なんです。
しかし世間を見ていると多くの人が、ニュース情報をそのまま「正しいと信じて」鵜呑みにし、これをまき散らすことが「自分の判断だ」と考えているようです。
現実は「自分の判断」ではなく「ニュース情報」に踊らされているだけなのかも知れません。特にメディアの「批判的な情報」の場合、そのまま踊らされることも多いようです。確かにメディアの「批判的な情報」の本質を見きわめることは相当難しいようですが・・・。
私は、中国・韓国をみていると一層その印象を強めます。
日本人が日本をより正確に把握するために、中国・韓国を知る必要がありそうですね。
日本人が日本を知っているだけでは、ちょうど「多くの中国人が中国を知るだけで、多くの韓国人が韓国を知るだけで、世界が理解できると錯覚している」のと同じで、視野が狭くなりだめなんでしょうね。
一方、日本を知らないまま外国を詳しく知ると、足元を見ないまま遠くばかりを見るので、これまた大きな弊害を生みそうです。
尤も「一色に染まるだけ」の中国・韓国には言論の自由がないので、そこの報道にはほとんど見るべき所がありませんが、アメリカの報道にも注意が必要です。
大切なのは
外から見るとほとんど言論の自由がないと思われる中国・韓国ですが、本人たちは「洗脳されている」ことに気が付かず、「本心から正しい言動に走っている」と思っていることです。
これが「自分だけが善である」という「うぬぼれ」を生み、儒教特有の序列意識へと発展することでしょう。
そういう視点を得た人は、日本の報道やアメリカの報道があふれる現在でも、きっと健全な懐疑心もって接することができそうです。
この件で、報道はどうなっているでしょうか。
トランプ大統領 サウジ国王と会談 軍事やテロ対策で連携
:NHK 2017年5月21日 6時18分
閉鎖的でいろいろ問題があるサウジアラビアですが
サウジアラビアがイランと敵対している
という理由で、トランプはサウジアラビアを支援し
12兆円もの武器などの販売に合意したようです。本来ならばアメリカが一番嫌うはずの身分制度を維持している国(サウジアラビアのタブー)ですが、対イランのこともあり、トランプは熱心にサウジアラビアを擁護(反イラン)しました。
- 問題が多すぎる中国を容認しながら、北朝鮮に敵対する
- 問題が多すぎるサウジアラビアを容認しながら、イランに敵対する
似てますね。いずれその「容認」には破綻の時がやってくるでしょうが。
オバマが
イランへの軟化を示したため、アメリカとサウジアラビア・イスラエルとの関係があやしくなっていました。
しかし今回のトランプが中東訪問で
オバマの正反対を歩み、反イランを明確に打ち出し、アメリカとサウジアラビア・イスラエルの関係を好転させたようです。
トランプはオバマが築いてきた中東和平を根本から揺るがしましたが
この合意でトランプが署名したからと言っても単なる「口約束」に過ぎず、後日米議会の承認が必要でしょうし、また肝心のトランプが今年2017年一杯もつかどうか分らないのですから、じつに不安定なものですね。
トランプ氏、中東和平「合意に自信」 イスラエル首相と会談
:日経 2017/5/23
トランプは、娘婿がアメリカ生まれのユダヤ教徒であるからか
べったりイスラエル寄りで、「イランが絶対に核を持てないようにする。私が保証する」としたトランプ。これまた他のこと同様にアドバルーンに過ぎず、あてにならないのでしょうか。
イスラエルが再びアメリカの支援をえて無謀な言動に走らないよう祈るだけです。
トランプが
核兵器をもつことに憂慮する人が多いのに、そのトランプが「イランに核兵器を持たせないと保証する」とはいったいどういうことでしょうか。
アメリカが再びイスラエル・サウジアラビアを支援することが
- 中東に和平をもたらすことになるのか
- 中東に再び対立が生まれ和平から遠く離れていくのか
誰にも分りません。私は後者のほうではないかとは思いますが、2000年という長い時間をかけて形成されてきた宗教関係でしょうから、これまた長い時間をかけて宗教対立を解消していかねばならないのでしょう。
さてさて、皆様はどう思われますか。