「不法移民保護都市」をめぐる米国人の葛藤
不法移民保護都市とは
不法移民におおらかな米都市のことで、南側のメキシコとの国境近くにあることが多いようです。
ここでは
観光客を装って、あるいは国境を越えて不法に、アメリカへ入国した日本人を含む外国人が、そのまま滞在して不法労働していることが綴られています。
雇用側は事情を分っているからこそ、弱みをついて低賃金で雇っているのでしょう。そういう不法滞在者、とくに中米出身者が増えすぎ、雇用を奪っているとアメリカ人が認識し始めた頃にトランプが登場し、この不満をもつ人たちなどを味方につけ、大統領に当選したというわけです。
グローバル化と称して
- 低賃金の外国での工場設立が加速された結果、高賃金のアメリカ製造業が衰えました。
- 同時に、低価格を実現しようとして米国内でも低賃金で働く不法移民の問題を放置したままだったので、これが限界に達して、大きな社会問題となっています。
この不満を吸収したのがトランプでしたが
長い年月をかけて実現したこの奇妙な「グローバル化」を、トランプが短期間で改善しアメリカ人の雇用に結びつけることができるのかどうか。
経済的な外科手術ですから、並みの腕ではうまくいかないでしょう。
▲高賃金のアメリカ人労働者に依存すると:
たとえアメリカ人に仕事が渡ったとしても製品価格が高騰するため、海外企業との価格面での競争に勝てるかどうか。
▲輸入関税を高くすると:
アメリカへの輸入量が現状維持のまま推移し関税料金が計算通りに増える思うのは、それこそ机上の空論であり、必ず輸入量が減るでしょう。
輸入量が減ると、アメリカ人労働者の仕事は確保されるものの、国内の需要を満たす為に製造を増やそうとしますから、競争力を高めるために労働賃金が低下するでしょう。賃金を下げないで生産量を増やせたら立派ですが。製造を増やそうとしないと益々アメリカの製造業が衰退します。
▲不法入国者・不法労働者を徹底的に逮捕・強制送還すると:
アメリカの企業そのものが、高賃金のため高価格製品を作ることになり、今まで続いていた企業さえ市場から撤退するようになるでしょう。
また高品質のアメリカ製の部品を隣国へ輸出し、低賃金で製品化して再輸入することもできなくなれば、製品価格の高騰は避けられません。
要するに
いくらアメリカでの製品価格が上がろうとも『アメリカ市場のうまみが永遠にある』と仮定して保護主義に向かおうとしているのでしょうが、はたして短期でそうなるのでしょうか。
長期の視点で総合的な国家経済の運営が求められるのです。
米国の周辺にある諸国との関係で言えば
いままで安いトウモロコシがアメリカへ入ってきたのが、1993年頃のNAFTAで関税が撤廃され、アメリカ産の安いトウモロコシが大量にそういった国へ輸入されたことが原因でこれらの国で失業者が増加し、これらの人たちが国境を越えてアメリカで不法移民として低賃金労働に従事せざるをえなくなったのでした。
これは、直接的には不法移民の責任でもありますが、同時にNAFTAを締結しながら「不法移民の不法労働を取り締まらなかった」アメリカにも責任があるでしょう。
泳がせておいて、問題になったら取り締まるというのでは、まるで中国共産党そっくりですね。
トランプ大統領が誕生して初めて
EUでの移民・難民問題に加えて、アメリカでも不法移民問題が深刻である、と世界的に知られるようになったのであり、結果的にこれはトランプの功績なんでしょうか。
去年(2016年)に行なわれたイギリスの国民投票の前にある政党が「間違ったイギリスのEUへの支出金額」を公表したためイギリスが離脱に傾いたことが投票後に判明しましたが、これもフェイク・ニュースでしたね。だましたほうが悪かったのか、だまされたほうが悪かったのか・・・・・・。
人権保護を唱えながら人権無視の企業を放置してきたアメリカ政府の「恒例の二枚舌」にもご注目を。
これはちょうど、小池東京都知事が誕生して初めて
築地・豊洲問題が知られるようになったのが小池の功績だったかも知れない、というのに似ていますね。
トランプが
こうした不法移民を保護しようとしている全米300近くの不法移民保護都市への補助金を減らす大統領令に署名したけれども、さっそく連邦地方裁判所によって差し止められたとのこと。移民法も裁判所によって差し止められていますね。
最高裁判所の判事に新しい人が任命されたようですが、この件が最高裁にまで上告された時にどうなることか、例によって不透明なままです。
さてさて、皆様はどう思われますか。