「亡命」の
「亡」は「なくす」の意味で、「命」とは名籍のことらしいので、「亡命」とは母国での戸籍を捨て去って異国へ移ることでしょう。
しかし「命(いのち)」を「亡(くす)」わけではないのに「亡命」というのも、不思議といえば不思議です。
いま世界を賑わしている「亡命者」は次のような人たちでしょうか。
アサンジ
オーストラリア生まれですが、今イギリスのエクアドル大使館へ逃げ込んでおり政治亡命を受理されたままのようです。大使館外へ出ると逮捕するとイギリス警察は言っております。
ウィキリークスの創始者で、秘密情報を暴露することで喝采を受けたものです。
しかし中国などの独裁国家では逆にこの暴露で得た情報をもとに、ろくに調べもしないで拘束者を出しております。
直接ウィキリークスに関連しないかも知れませんが「内部告発者の暴露」には危険がともないます。だからこそ、これを助けようとする団体も生まれるのです。
例えば、中国の公務員からの天安門事件の記念日に関しての電子メールを公表したことで、中国人ジャーナリスト師涛(中国語版)は、2005年に懲役10年の刑を判決されている。:Wikipedia
スノーデン
アメリカ生まれ。エクアドルへの亡命を考えているようですが、今はロシアに滞在中で、何回か滞在許可を更新しているとのこと。
米NSAの手口を書類で暴露し、これまた喝采を得たようですが、やり過ぎとの意見をもった人も少なからずいたようで、暴露を私的に利用している、という批判もあります。
かつての亡命者なら、いくらでも例をあげることができます。
黄長燁(ファン・ジャンヨプ 1923-2010)
北朝鮮・金正日(キムジョンイル 1941-2011)の側近学者で、チュチェ思想(主体思想)の提唱者でしたが、北朝鮮を見限って1997年韓国へ亡命。本人は韓国で北朝鮮の真実をバラせば支持されるはずと考えていたようですが、バラされてはマズイと考えた金正日が韓国大統領をだまして太陽政策をとらせ、その代わりに黄長燁を干すことを要求し、まんまと成功しました。黄長燁は亡命の3年後に死去し、その1年度後に金正日も死去しました。
その後継者として金正恩が若くして受け継ぎ、兄の金正男を国外で殺害するなど、北朝鮮が亡国の一歩手前にさしかかっているのは、すでに皆様ご存じの通りです。
マルコス大統領(1917-1989)
中国やソ連の支援を受けた反政府組織と戦い、アメリカの属国としてのフィリピン国存続に貢献しましたが、ついに民衆から嫌われ1986年ごろアメリカのハワイへ亡命しました。亡命から3年ほど後に同地で死去。
一応納得できるアキノ大統領時代を経て、今では不可解なドゥテルテ(祖母が華人か)が大統領職につき、超法規的に麻薬殺人を自慢したり中国に接近したりしますが、「南シナ海で石油掘削をすると戦争だ」と中国共産党に脅されており、中国共産党の正体が見え始めたことに気づくかどうか、ドゥテルテもいよいよ正念場ですね。
李承晩大統領(1875-1965)
韓国の初代大統領(1948-1960)で、これまた、あまりにもひどすぎました。朝鮮戦争(1950-1953)での失態もあり、1960にはアメリカのハワイへ亡命し、5年後には死去しています。
このころからすでに韓国の大統領は、最初は熱狂的に迎えられるものの、暗殺されたり、大統領職を離れたあかつきには本人逮捕・死刑・恩赦、あるいは周辺で逮捕者が続出するなど、哀れな晩年をむかえるのが恒例になっています。
全斗煥は死刑・盧泰愚大統領は懲役判決を受けましたがいずれも特赦、盧武鉉は自殺、朴槿恵も大統領職を罷免され汚職容疑で逮捕される始末。
リトビネンコ(1962-2006)
プーチンと同じで元ソ連KGB職員。2000年にはイギリスへ亡命。徹底的にプーチンを批判してきたので、2006年イギリスの寿司屋で一緒に会食したらしい人物に薬物を飲まされたようで22日後に死去。
ソルジェニーツィン(1918-2008)
ソ連に生まれ、1974年にソ連を追放され、西独→スイス→アメリカと亡命を繰り返し、ソ連が崩壊してロシアになってから1994年に帰国しています。エリツィンとの確執・プーチンを絶賛するなど、問題も多かったようです。
このように
政権にからんで亡命は繰り返されているようです。それだけ「政治の裏で金がからみ、名誉が失墜すれば、何でもする」ということですね。つまり国家の財産を美しい「愛国」の言葉でごまかして食いつぶせるのでした。
愛国無罪の風潮は、中国・韓国・ロシアで常識になっているようで、恐ろしいことです。トランプになってからは、アメリカにさえ見られるようですね。
とはいえ、いつでも選挙で落とせる「はず」の民主国家でメディアの腐敗した宣伝によって「落とせる」権利が阻害されているとするなら、これは情けない。投票率が低いのがこのことです。
尤も、投票率が高くても、洗脳された状態での投票だけで、異論が許されない韓国などには別の問題が発生しますが、投票率が低すぎるのもまた「落とせる貴重な権利」を放棄しているとも言えます。
さてさて、皆様はどう思われますか。