日中関係 混合診療 代替医療 11月23日

自民党の武部幹事長が、小泉総理と胡錦涛国家主席との会談を受けて、小泉総理が今後の靖国参拝を明言しなかったことについて、中国に恩を売ったことになると発言した。この人は、とことん品のない政治家だ。これでは駄目だ。うまくいくものもいかなくなる。

小泉総理は靖国参拝をして、「心ならずも戦場に赴き亡くなられた方への哀悼の誠をささげ、不戦を誓う行為」だと、胡錦涛主席に言った。戦争の犠牲者に思いを寄せるとするならば、中国の犠牲者にも当然、心をはせなければならないはずだ。総理の強がりで、外交を私物化してもらっては困る。第二次大戦という悲劇の代償は、関わった国のすべてが互いに相手国を思いやることによってのみ、つぐない解消されるものだと、私は思う。

和をもって尊しとなし、心のいかり(念)を絶ちおもてのいかり(瞋)を捨てることが、あらためて問われている時代なのではないかと、しみじみ思うのだ。ある時は自ら身を切り、相手を守ることの偉大さを悟るべきなのだと思う。一国の国益ばかりを追求することの愚かさを知り、人類が永遠に平和のうちに繁栄する道のりを描くことのできる政治家が、今求められている。

混合診療解禁問題が、様々な議論を生んでいる。良いことだ。規制改革・民間開放推進会議に、一方的に推し進められたのではかなわない。東大・京大・阪大の附属病院長が、推進会議あてに混合診療解禁を要望したことは、私たち庶民にとっては好ましいものではない。推進会議の委員は、オリックスの宮内氏をはじめ各界のそうそうたる人たちばかりで、いざ入院ということになったら、東大や京大あるいは阪大の附属病院に優先的に入れる身分の人たちばかりなのだから、両者の利害関係の一致は火を見るよりも明らかだ。

医療費の抑制や医療の質の向上の本質は、混合診療解禁により解決される問題ではない。むしろ、特定の病院で特定のお金持ちだけに高度な医療が施されるという、ゆがんだ医療の構図が生まれる源になる。厚生労働省は特定療養費制度の拡充と制度の速やかな運用を決断し、国会議員も患者の立場に立ち、本当の意味での医療の質の向上には何が必要なのかをしっかりと見極め、納得のいく議論を展開していかなければならない。

代替医療についても、忘れてはならない。鍼灸・気功・指圧・免疫療法・アロマセラピー・ビタミン療法・精神心理療法など、西洋医学の範疇にないものの治療効果が、今続々と認められてきている。いずれは代替医療の中からも、混合診療の対象となり保険適用される治療法も出てくるだろう。そういう意味で、混合診療は多くの可能性を秘めている。規制改革・民間開放推進会議が目論んでいるような、所得格差が命の長短を決定してしまいかねない形での混合診療解禁は、絶対に避けなければならない。
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