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11月の予定と10月の記録

少し遅くなってしまいましたが、毎月恒例の「予定と振り返り」です。今月は控えめに挙げてみました。

11月の予定

展覧会
「浦上玉堂展」 千葉市美術館(11/3-12/3)
「アルベルト・ジャコメッティ展」 川村記念美術館( - 12/3)
「肉筆浮世絵展 江戸の誘惑」 江戸東京博物館( - 12/10)
「プリズム:オーストラリア現代美術展」 ブリヂストン美術館( - 12/3)
「クリーブランド美術館展」 森アーツセンターギャラリー( - 11/26)
「ビル・ヴィオラ:はつゆめ」 森美術館( - 2007/1/8)

コンサート
東京都交響楽団第635回定期Aシリーズ」 R.シュトラウス「アルプス交響曲」他(11/24)


10月の記録(リンクは私の感想です。)

展覧会
「アート・スコープ 2005/2006」 原美術館 (1日)
「館蔵 秋の優品展」 五島美術館 (1日)
「ピカソとモディリアーニの時代」 Bunkamura ザ・ミュージアム (1日)
「国宝 伴大納言絵巻展」 出光美術館 (7日)
「赤と黒の芸術 楽茶碗」 三井記念美術館 (7日)
「広重 二大街道浮世絵展」 千葉市美術館 (9日)
「石内都 mother's」 東京都写真美術館 (15日)
「HASHI『橋村泰臣』展」 東京都写真美術館 (15日)
「ウィーン美術アカデミー名品展」 損保ジャパン東郷青児美術館 (15日/28日鑑賞会
「ベルギー王立美術館展」 国立西洋美術館 (22日)
「仏像 一木にこめられた祈り」 東京国立博物館 (29日)

ギャラリー
「開廊10周年記念展」 小山登美夫ギャラリー (14日)
「シルケ・オットー・ナップ」展 タカ・イシイギャラリー (14日)
「イケムラレイコ 『パシフィック』」 シュウゴアーツ (14日)
「小金沢健人 『数を忘れる』」 ヒロミヨシイ (14日)
「山口紗矢展」 INAXガレリアセラミカ(22日)
「タワー展 - 内藤多仲と三塔物語 - 」 INAXギャラリー1(22日)

コンサート
「藤原歌劇団2006」 ロッシーニ「ランスへの旅」/ゼッダ他 (22日)

以上です。

今月開催の展覧会では、目立たないながらも「川村+千葉市美」の千葉シリーズ(?)が一番期待出来るかと思います。また江戸博の肉筆浮世絵展は、会期末にかけての混雑も予想されます。なるべく早いうちに拝見したいです。

コンサートでは、都響とインバルの久々の競演に注目です。インバルが都響に登場するのは何年ぶりでしょうか。これは楽しみです。

仏像展やベルギー展などの感想は、なるべく早いうちにアップ出来ればと思います。それでは今月もどうぞ宜しくお願い致します。

ブログリンクを一部更新しました。
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「いま世界には、アートが必要だ。」 雑誌「Pen」11/15号

雑誌Penによる、久々の現代アート特集です。早速購入してみました。

「『Pen』2006年11/15号/阪急コミュニケーションズ」

特集のメインは、世界各地にて活躍中の現代アーティスト17名の紹介(「注目すべき、17人の現代アーティスト」)です。特に今、MOTで大個展を開催中の大竹伸朗と、江戸博にて東京をテーマとした個展を開いている荒木経惟の記事が優れていました。ともに、豊富な作品写真とインタビューが掲載されているので、これを拝見してから展覧会へ足を運ぶのも良いのではないかと思います。その他では、奈良美智と会田誠、それに天明屋尚や束芋、またはリュック・タイマンスやリヒター(この辺は殆どオマケ程度ですが…。)なども紹介されていました。これらはどれも決して濃い内容と言えるものではありませんが、片手でペラペラめくりながら楽しむのにはピッタリです。極めてコンパクトにまとまっていました。

識者の選ぶ展覧会ベスト5(識者10人が選んだ展覧会ベスト5)も興味深い企画です。ここでは、誰もが納得しそうな杉本博司展(2005年森美術館)やエリアソン展(2005年オペラシティ)、さらにはティルマンス展(2004年オペラシティー)などが選出されていました。また個人的に面白かった「森山・新宿・荒木」展(2005年オペラシティー)ややなぎみわ(2005年森美術館)が選ばれていたのも嬉しいところです。さて、今年も残すところあと二ヶ月。恒例(?)のベスト10は如何致しましょう。

今更感も否めませんが、以前MOTにて開催された「カルティエ現代美術財団コレクション展」の特集も組まれています。また都内に点在する有名なギャラリーもいくつか紹介されていました。ちなみにその情報によれば、今月8日から杉本博司の個展がギャラリー小柳で予定されているそうです。これは必見です。

その他、「日本の美術館へ、行こう。」と題した美術館の紹介なども掲載されていました。全体的に総花的過ぎた嫌いも見受けられましたが、大上段に構えたタイトルはともかく、写真をふんだんに使った特集は見ていて素直に楽しめます。11/15号、定価500円です。まずは一度書店にてお手に取られることをおすすめします。
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「ウィーン美術アカデミー名品展」 鑑賞会メモ

損保ジャパン東郷青児美術館で開催中の展覧会です。先日、恵泉女学園大学の池上英洋先生ご引率のゼミに参加させていただき、改めて再度鑑賞して来ました。その時の模様を、メモ程度にまとめておきたいと思います。(一部、学生発表を含む。番号は作品番号。)

ウィーン美術アカデミーについて
ウィーンの通称リンクの一角にある美術学校。(1726年設立)ウィーン最古の公立美術学校でもある。ヒトラーが受験に失敗したエピソードは有名。ハプスブルク家の収集したヨーロッパ絵画を陳列。生徒は作品を模写して学ぶ。絵画史を追うのには最適なコレクション。

1.ヨース・ファン・クレーフェ「聖家族」(1515頃)
ヨセフはおそらく絵の寄進者を描いたもの。到底大工には見えない。

2.ルーカス・クラナハ「不釣り合いなカップル」(1531)
年齢差の著しい老人と女性。老人は女性に目がくらみ、女性は老人のがま口に手を入れている。男性の性的欲望と、女性の浅ましさを教訓的(こうなってはならないとする。)に表現した作品。

3.ルーカス・クラナハ「ルクレティア」(1532)
ローマ神話の有名なエピソード。ルクレティアは貞操を犯され短剣で自殺した。聖人として尊敬されている。

4.ルーカス・クラナハ「ヘラクレスとアンタイオスの闘い」(1530)
ガイアの子どもアンタイオスとヘラクレスの闘い。アンタイオスを地面から離すこと(ヘラクレスが持ち上げている。)で、その力を失わせようとしている。


5.ルーカス・クラナハ(工房)「聖ドロテア」(1530)
植木職人や花屋の守護聖人として知られる。妖艶な姿。健康的な女性が描かれている。

6.ボニファツィオ・デ・ピターティ「野外で楽しむ人々と水浴する女たち」(1540頃)
食卓に注目。当時の食事の様子が良く分かる。ワイン、チーズ等、ミネラルを中心とした栄養摂取。フォークがまだ使われていない。スプーンのみ。


9.ペーテル・パウル・ルーベンス「三美神」(1620-24)
「与えること・受け取ること・返すこと」をそれぞれに表現した三名の美神。豊潤な裸体が描かれ、その優しさや祝宴の喜びを表現している。象徴であるビーナスへの花束をカゴに入れている。三美神を描いた作品としては珍しい構図。ラファエロらの伝統的な構図感からは逸脱している。


10.ペーテル・パウル・ルーベンス「軍旗をめぐる戦い」(1601-08)
レオナルドの失われた原画をモチーフにした作品。シエナとミラノの戦いが描かれている。単なる模写ではなく、ルーベンス風の描写も取り入れ、新機軸を打ち出した。


13.ピーテル・ブール「地球儀とオウムのいる静物」(1658頃)
貴族の収集したコレクションを描いた作品。オリエンタルな中国磁器や世界のネットワークを示す地球儀、さらにはヴァニタス(儚さ)を示すオウム(夫婦愛や繁殖の意もあり。)などが描かれている。現世の繁栄は死後の世界へ持ち得ないという暗示。


19.ヒリス・ファン・ティルボルフ「農民の食事」
オランダで発展した風俗画の一つ。農民社会を嫌みなく真摯に描いている。生き生きとした姿。


25.ヘンドリク・ブルーマールト「サムソンとデリラ」(1635)
サムソンの秘密を聞き出したデリラが、彼の巻き毛を切らしている。サムソンの神性の喪失。旧約のあまりにも有名なエピソード。

27.ヤン・リス「放蕩息子」(1625-29)
放蕩息子(兄)を温かく迎える父親と、それに反感を抱く弟が描かれている。


55.フランチェスコ・グアルディ「サン・マルコ広場と時計塔」(1770頃)
建造物などを鳥瞰的に描いている。聖マルコを象徴するライオンの列柱など。

56.フランチェスコ・グアルディ「サン・マルコ図書館のある小広場」(1770頃)
55の作品と合わせて一つのパノラマが完成。(景観画)同じモチーフを用いたものとしてはカナレットの作品が有名。当時、富を蓄積していたイギリス人が多く購入していた。(これらの絵の所有することがステータスに。)一種の観光写真でもある。

以上です。(実際にはもっと他にもたくさん、また詳しいご解説がありましたが、とりあえず私がメモ出来たのはこれだけです。)展覧会は今月12日までの開催です。最後になりましたが、恵泉女学園大学の学生さんと池上先生には大変お世話になりました。どうもありがとうございまいした。(10/28鑑賞)

*関連エントリ
「ウィーン美術アカデミー名品展」 損保ジャパン東郷青児美術館(私の拙い感想です。)
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音楽展望(朝日新聞) 吉田秀和氏の再登板

昨日(11/1)の朝日新聞夕刊に掲載されたコラム「音楽展望」です。かなり前からお休みなさっていた吉田秀和氏が久しぶりにまた筆を取られました。レコ芸に続いての見事な復活劇。今後、年四回ほどのペースで掲載を続けていくのだそうです。楽しみが増えました。

コラムのタイトルは「モーツァルトってだれ?」です。内容は、ワルター指揮のモーツァルトを実際に聴いたというお話から始まり、その他アーノンクール、内田光子、ムターなどの演奏家を引き合いに出しながら、モーツァルト演奏の多様性を簡潔に探っていくものでした。ご本人は不幸だと仰るフルトヴェングラーの「ドン・ジョバンニ」体験など、これまでにも聞いたことのあるエピソードが散見されましたが、お馴染みの流麗で随筆調の文章は至って健在です。あちこちにお話が飛びながらも、いつの間にかその文章の醸し出す上品な雰囲気に飲まれている自分に気がつきます。冒頭にある「長らくお待たせしました。やっとまた身体に暖かいものが流れ出し、音楽がきこえてきた感じ。でも今日はそんなことからぼつぼつ書いてみましょう。」という一文など、吉田秀和氏以外では殆ど書くことが許されないような、どこか達観していながらも親しみやすく、また温かい前口上だと思います。一瞬の澱みもありません。

何はともあれ、未だ氏以上に「読ませる」音楽評論家はいらっしゃらないでしょう。いつまでもお元気で、今は少なき美文(嫌みがないところが他では見られない芸当です。)を拝読出来ればと感じました。

*関連ニュース
文化勲章、吉田秀和氏、瀬戸内寂聴氏ら5人に(asahi.com)

「モーツァルトを求めて/吉田秀和/白水社」
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