都内近郊の美術館や博物館を巡り歩く週末。展覧会の感想などを書いています。
はろるど
音楽展望(朝日新聞) 吉田秀和氏の再登板
昨日(11/1)の朝日新聞夕刊に掲載されたコラム「音楽展望」です。かなり前からお休みなさっていた吉田秀和氏が久しぶりにまた筆を取られました。レコ芸に続いての見事な復活劇。今後、年四回ほどのペースで掲載を続けていくのだそうです。楽しみが増えました。
コラムのタイトルは「モーツァルトってだれ?」です。内容は、ワルター指揮のモーツァルトを実際に聴いたというお話から始まり、その他アーノンクール、内田光子、ムターなどの演奏家を引き合いに出しながら、モーツァルト演奏の多様性を簡潔に探っていくものでした。ご本人は不幸だと仰るフルトヴェングラーの「ドン・ジョバンニ」体験など、これまでにも聞いたことのあるエピソードが散見されましたが、お馴染みの流麗で随筆調の文章は至って健在です。あちこちにお話が飛びながらも、いつの間にかその文章の醸し出す上品な雰囲気に飲まれている自分に気がつきます。冒頭にある「長らくお待たせしました。やっとまた身体に暖かいものが流れ出し、音楽がきこえてきた感じ。でも今日はそんなことからぼつぼつ書いてみましょう。」という一文など、吉田秀和氏以外では殆ど書くことが許されないような、どこか達観していながらも親しみやすく、また温かい前口上だと思います。一瞬の澱みもありません。
何はともあれ、未だ氏以上に「読ませる」音楽評論家はいらっしゃらないでしょう。いつまでもお元気で、今は少なき美文(嫌みがないところが他では見られない芸当です。)を拝読出来ればと感じました。
*関連ニュース
文化勲章、吉田秀和氏、瀬戸内寂聴氏ら5人に(asahi.com)
「モーツァルトを求めて/吉田秀和/白水社」
コラムのタイトルは「モーツァルトってだれ?」です。内容は、ワルター指揮のモーツァルトを実際に聴いたというお話から始まり、その他アーノンクール、内田光子、ムターなどの演奏家を引き合いに出しながら、モーツァルト演奏の多様性を簡潔に探っていくものでした。ご本人は不幸だと仰るフルトヴェングラーの「ドン・ジョバンニ」体験など、これまでにも聞いたことのあるエピソードが散見されましたが、お馴染みの流麗で随筆調の文章は至って健在です。あちこちにお話が飛びながらも、いつの間にかその文章の醸し出す上品な雰囲気に飲まれている自分に気がつきます。冒頭にある「長らくお待たせしました。やっとまた身体に暖かいものが流れ出し、音楽がきこえてきた感じ。でも今日はそんなことからぼつぼつ書いてみましょう。」という一文など、吉田秀和氏以外では殆ど書くことが許されないような、どこか達観していながらも親しみやすく、また温かい前口上だと思います。一瞬の澱みもありません。
何はともあれ、未だ氏以上に「読ませる」音楽評論家はいらっしゃらないでしょう。いつまでもお元気で、今は少なき美文(嫌みがないところが他では見られない芸当です。)を拝読出来ればと感じました。
*関連ニュース
文化勲章、吉田秀和氏、瀬戸内寂聴氏ら5人に(asahi.com)
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コメント ( 4 ) | Trackback ( 0 )
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いまは朝日新聞も読んでおらず、FM放送を聴く習慣もないもので、吉田秀和氏のお休みを知らないでいました。
偶々車のラジオで氏の声を聴くことがあると、ああご健在なんだとホッとしていたのですが、最近体調が思わしくなかったという事なのでしょうか。
でも、新聞・雑誌と復帰されて、心温まる思いです。
氏は私にとって心のともしびのように感じられる存在です。
こちらの日記でいろいろ教えていただきました。
ありがとうございました。
拙ブログにコメントありがとうございます。
>偶々車のラジオで氏の声を聴くことがあると、ああご健在なんだとホッとしていたのですが、最近体調が思わしくなかったという事
さすがにご高齢ということで体調の問題もあるかと思いますが、
以前奥様を亡くされて大変気力を失われたとも聞きました。
何はともあれ、ご無理為さらぬように願いたいところです。
>新聞・雑誌と復帰されて、心温まる思いです。
氏は私にとって心のともしびのように感じられる存在
同感です。
音楽評論の中で、吉田さんの文章ほど心温まるものはありません。
ゆったりとしたペースであっても、
またこうして接することが出来るのが心底嬉しく思います。
>こちらの日記でいろいろ教えていただきました
いえいえこちらこそありがとうございます。
宜しければまた遊びにいらして下さい。
よかったです。
>たしか、クライバーの訃報以来
そうかもしれませんね。
年4回ということで多くは望めませんが、
またあの素敵な文章が拝見出来ればと思いました。
まさに何時までもと祈る気持ちです。