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オーチャードホール舞台裏探索ツアーと東京フィルハーモニーゲネプロ公開

超高倍率(40倍!?)の抽選を見事パスされた、「弐代目・青い日記帳」のTakさんのお誘いで行ってきました。Bunkamuraオーチャードホールのバックステージツアーと、東フィルのゲネプロ見学がセットになったイベントです。

「Bunkamuraをより楽しむ、オーチャードホール音の秘密探索ツアー」(公式サイト)

バックステージツアーについてはTakさんの詳細な記事を参照していただきたいのですが、一番意外に感じたのは、てっきり音響反射板と思いこんでいたオブジェ風の吊り板が、とあるデザイナーの手がけた照明だということでした。しかもそれは、あまりにも維持管理に時間や労力がかかるため、開場時などのごく僅かな時間だけしか使用されていないのだそうです。ホール天井から吊るされた照明と言うと、サントリーホールにある泡をイメージしたものが印象的ですが、この階段状の照明もかなり独特な形をしています。私はこの照明が灯っているのを見た記憶がないのですが、次回ホールへ出向いた際には是非確認してみたいと思ました。(いつもステージばかりに目が向いてしまって、天井部分にまでには殆ど頭が回りません。)



ツアーに参加させていただいて申し上げるのも恐縮ですが、オーチャードホールの音響はあまり好きでありません。(ごく一部の座席を除くと、どうしても音圧感に乏しく、音像がぼやけるように感じます。)ただしホール自体は、広いステージやピットなどがあって、様々な形態の公演にも使用可能です。現に例えば、外来オペラの引っ越し公演でここを素通りすることはまずないでしょう。ただその中でも一部、建物の形状の都合上、舞台裏のエレベーター(奥へ向って狭まる形をしています。)などに使い勝手の悪い部分もあると聞きました。そのために、舞台セットなどは小さく解体して搬入するか、時には正面玄関からも運び込むことがあるそうです。ちなみに何年か前のモネ劇場の公演では、一連の「解体+搬入+設置」の作業が現地よりも上手くいったとの評判だったとのことでした。またこれまでのあらゆる公演の中で最も舞台搬入等の工程が大変だったのは、ホールのオープンの際に行われた世界初のバイロイト引っ越し公演なのだそうです。1989年のことです。



オケピットへの入口部分(ステージ側地下より。)にも案内していただきました。このホールは奈落部分が約2メートル程度しかなく、天井の低い空間を這うように進んだ先に入口がありましたが、いつも客席側からしか見たこのない場所を反対から望むのはとても新鮮な感覚がします。残念ながらステージ上から客席を望むことは叶いませんでしたが、ピット部分の衝立てからチラリと見える赤い客席が印象に残りました。まだまだこれからもこのホールのピッドは活躍しそうです。



舞台裏のツアーのあとは、いよいよ東フィルのゲネプロの見学にうつります。曲はこの日公演のプログラムから、メインのバルトークの「管弦楽のための協奏曲」でした。指揮はもちろんチョン・ミュンフンです。ゲネプロということで、楽章の合間などに簡単な指示を与えた以外は、殆ど本番と同じように通して曲が演奏されました。それにしても非常に力強い、まるで大波の押し寄せるような熱い(やや粗さもありましたが。)バルトークです。特に第三楽章の旋律美と、疾走する心地良いフィナーレの部分が耳に残りました。細部の見通しこそやや望めませんが、チョンらしいダイナミクスに長けた音楽だったと思います。(個人的には、カットにはもう目をつぶるしかないセルや、ショルティあたりの冷めながらも激しいバルトークが好きです。)

一通り曲を演奏した後、いくつかの旋律(コントラバス主導?)を丁寧に繰り返してゲネプロ見学は終了しました。約1時間弱ほどです。

見慣れたホールの知らない裏側へ潜り込み、普段着姿のオーケストラメンバーの奏でる音楽に耳を傾けるというのは、とても贅沢な経験です。他のオーケストラ&ホールもこのような企画をやっていただければ、是非参加したいと思います。
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