「阪本トクロウ 背景」 GALLERY MoMo 両国

GALLERY MoMo 両国
「阪本トクロウ 背景」 
12/7~12/28



GALLERY MoMo 両国で開催中の阪本トクロウ個展、「背景」を見てきました。

何気ない都市の光景を絶妙な構図感で描く阪本トクロウ。これまでにも同ギャラリーでも度々個展を開催。また近年では国内外のグループ展などにも参加してきました。

さて見る度にスタイルをどこか変化させてもいく阪本。ひょっとすると今回ほど強い変化を見せたことはなかったかもしれません。

ではそれは何か。突き詰めてしまえば純化した景色。もはや抽象画ともいえる展開です。

もちろん例えばモモでの前回展、「交差点」においても、水の波紋を描いた作品などは半ば抽象的でしたが、今回はよりそれが強まっている。星空に水の景色。そして煌めく光の粒。また星空の作品については一部、ドロッピングの技法を用いているのだそうです。驚きました。

象徴的なのは月をモチーフとした2枚の作品です。グレーの夜空に浮かぶ月。背景にはビルも家々も山々も何もない。ただ広がるのは空。そこに丸い月だけが浮かんでいる。ギャラリーのスペースの手前と最奥部と向かい合うように置かれています。

もちろんこれまでと同様、例えば電柱越しのアパートであったり、高速道路に並ぶ照明灯などを描いた作品もありましたが、ともかく印象深いのはこうした抽象的なまでの作品。寡黙でかつ匿名的な景色がより不在性を帯びていく。作家は本展へのコメントで「無」という言葉を使っています。星空や月夜の前に立った時の感覚、今までの阪本作品とはかなり異なりました。

得意とする道路の白線を描いた作品も幾何学的、より抽象性が高まっているように見えました。阪本の次の展開、その行方を指し示すような展示と言えるかもしれません。

12月28日まで開催されています。

「阪本トクロウ 背景」 GALLERY MoMo 両国@GalleryMoMo
会期:12月7日(土)~12月28日(土)
休廊:日・月・祝
時間:11:00~19:00
場所:墨田区亀沢1-7-15
交通:都営大江戸線両国駅A3出口より徒歩1分。JR両国駅東口より徒歩約5分。
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