「ウィリアム・ド・モーガン」 パナソニック電工汐留ミュージアム

パナソニック電工汐留ミュージアム港区東新橋1-5-1 パナソニック電工ビル4階)
「ウィリアム・ド・モーガン 艶と色彩 19世紀タイルアートの巨匠」
10/17-12/20



アーツ・アンド・クラフツ運動のもと、主にタイルなどの陶器装飾の分野で活躍したウィリアム・ド・モーガン(1839-1917)の業績を回顧します。パナソニック電工汐留ミュージアムで開催中の「ウィリアム・ド・モーガン 艶と色彩 19世紀タイルアートの巨匠」へ行ってきました。

まずはモーガンの略歴を公式HPより引用します。

1839年ロンドンに生まれる。1859年ロイヤル・アカデミーに入学、画家を志す。1861年絵画制作からステンド・グラスのデザインに転換。1863年ウィリアム・モリスと出会い、以後M.M.F.商会にステンド・グラスやタイルなどのデザインを提供する。(全文引用)

続いて展示の構成です。計4章立てでした。

第1章「モリスとの出会い、影響」
 モリス影響下においてバラやヒナギクなどの模様のタイルを制作したモーガン。小品のタイルを約40点弱紹介。
第2章「技法と素材」
 当初は無地のタイルに装飾を施していたが、後にタイル生産から一括して陶器制作に取り組むようになる。ラスター彩の発見。
第3章「デザインの源泉と主題」
 様々な花や船、またイスラムの紋様などを取り入れたモーガンの装飾性を概観する。
第4章「室内装飾のタイル」
 ラスター彩によるタイル壁画など。INAXによる装飾タイル空間の再現。1mを超えるタイルパネルも展示。

  

ヴィクトリア朝時代の建築を飾ったタイルの紹介展示と捉えて差し支えありません。順路冒頭から、ズラリと並ぶのは、鮮やかな彩色によってバラなどの描かれた、縦横20センチ四方のタイル各種でした。その一枚一枚の小宇宙に展開する鶏や花などは、時にはパズルのように合わさり、大きな壁画となって噴水や船の景色までを表していきます。色、そして形全体と、まさに絵画を見るかの如く楽しめるのは言うまでもありません。タイルから次々と開かれる多様なイメージには終始感心させられました。



美しい草花も悪くありませんが、私として一番惹かれたのが、異国への憧れの意味を込めて制作されたガレオン船のモチーフでした。タイル・パネル「ガレオン船」には、モーガンの得意とするコバルトブルーの水面の上に、立派な帆をはった船が堂々とした様で描かれています。またタイルの他、壺や皿も何点も紹介されていますが、うち「花器」にもいくつかガレオン船が登場していました。ラスター彩独特の金彩的な輝きに魅了される方も多いかもしれません。



展示ラストのタイル・パネル「木立の中の噴水」は必見の一枚ではないでしょうか。咲き誇るエキゾチックな花々を背景として、装飾的な曲線による噴水がモニュメンタルに立ちはだかります。横幅1.5mのスケール感にも圧倒されました。



いつも通り、同ビル内の「パナソニックリビングショウルーム東京」を見学すると、受付カウンターにて100円引きの割引券をいただけます。この内容で500円はかなりお値打ちです。

率直なところ、タイルがこれほど意匠に富んだ芸術とは知りませんでした。

12月20日までの開催です。おすすめします。
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