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「静岡市内美術館巡り 2006」 その2『芹沢けい介美術館』+『登呂遺跡』

静岡市立芹沢けい介美術館静岡市駿河区登呂5-10-5

もはや知らない人はいないのではないかと思うくらい有名な登呂遺跡ですが、その敷地公園内に、静岡の誇る染色工芸家、芹沢けい(金へんに圭)介を記念する美術館が建っています。静岡県立美術館と合わせて見学してきました。

静岡県美と芹沢けい介美術館のある登呂遺跡は、直線距離で約7キロほど離れています。直行するには車でないと無理でしょう。と言うわけで、遺跡へは、静岡駅、もしくは新静岡駅から出ている静鉄のバスを利用しました。ズバリ、登呂遺跡行きです。(本数が一時間に2、3本程度しかありません。時間には要注意です。)バスは、駅から平坦な住宅地を抜け、東名高速の方へと進みました。その間約20分ほど。終点の登呂遺跡に到着です。ちょうど遺跡の真ん前でバスが停まりました。高床式倉庫がいきなり目に飛び込んできます。ちょっとしたタイムスリップです。(?!)



復元高床倉庫です。


登呂公園内。広々しています。


復元住居。中へ入ることも出来ました。涼しい!


復元住居2


復元住居と登呂公園


登呂遺跡の名がこれほど知られているのはおそらく教科書の力が大きいのかと思いますが、言うまでもなくこの遺跡は、日本を代表する弥生時代の水田、集落遺跡です。1943年に発見され、その後も調査研究が行われましたが、現在は、登呂博物館、芹沢けい介美術館を含む登呂公園として整備されています。ここもまた思っていたよりも広大です。復元された住居や倉庫などが立ち並んでいます。それらの施設を見学しながら奥へ進むと、すぐに登呂博物館と芹沢けい介美術館が姿を現しました。殆ど隣り合った施設です。ここまで来たのに美術館だけでは勿体ない。せっかくなので登呂博物館へも行ってみることにしました。


左が登呂博物館、右が芹沢けい介美術館です。

この手の博物館というと、大概は、出土した品を適当に陳列して終わることが多いのですが、登呂博物館はちょっと違いました。さすがに有名な遺跡なので入場者も多いのでしょう。弥生人に扮した係の方と一緒に、火起こしをしたり、田下駄を履いたりすることの出来る体験コーナーが設けられています。もちろん参加費は入場料(200円!)さえ払えばタダ。少し時間がなかったもので私は遠慮したのですが、火起こしのコーナーには人だかりが出来ていました。(なかなか火が起きないようで難儀しておりましたが…。)この博物館は生きています。


黙々と火起こし!園内には弥生人の彫像がいくつもあります。

静岡市立芹沢けい介美術館の建物は洒落ています。設計が、あの松濤美術館を手がけた白井晟一(けいいち)と聞けば納得です。美術館を覆う石の外壁からして松濤美術館と良く似ていました。池のまわりを展示室が取り囲み、噴水と寒椿が水辺を演出する。一度、中へ入ってしまうと、外の景色が殆ど見えません。外部との連続性を退け、内部だけの独立した空間を包み込むように徹底して作り上げる。また、エントランス部分も松濤と同じです。あたかも洞穴へ潜り込むかのように、下へと降りて行きます。出口を抜けて再び受ける陽光が眩しい。瞑想するかのように作品と向き合える美術館でした。(美術館のサイトにも建物の写真が掲載されています。)


美術館入口。鬱蒼とした木立に石造りの塀が伸びています。


門を過ぎ、美術館の敷地内へ。整った木々と石塀がコントラストを描きます。


噴水、石塀、寒椿のコラボレーションです。非常に個性的な空間です。


美術館建物入口。まるで洞穴の入口です。


出口付近から敷地内をのぞむ。


展示は、芹沢の多彩な染め物作品と、彼がコレクションした品々で構成されていました。もちろんその作品も十分に見応えがありますが、木組みの温もりある天井や、丸みを浴びた石造りの展示室など、建物自体も非常に楽しめます。実は静岡へ行く直前まで、この美術館の存在を全く知らなかったのですが、これはわざわざ立ち寄って大正解でした。おすすめします。

展覧会の内容については、また後日まとめたいと思います。「静岡市立美術巡り 2006」シリーズはひとまずこれで終わりです。拙い写真を失礼しました。

*関連エントリ
「静岡市内美術巡り 2006」 その1『静岡県立美術館』
「不思議の国・沖縄と芹沢けい介」 静岡市立芹沢けい介美術館 9/2
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