「静岡市内美術館巡り 2006」 その1『静岡県立美術館』

静岡県立美術館静岡市駿河区谷田53-2

東博のプライス展で「鳥獣花木図屏風」を見て以来、どうしてもその別バージョンである「樹花鳥獣図屏風」を確かめたくなりました。所蔵は静岡県立美術館、ちょうど先日までタイミング良く公開されています。もちろん静岡なら十二分に日帰り可能。と言うわけで先週末、いつもの美術館巡りの感覚で、静岡県立美術館と、同じく静岡市内にある芹沢けい介美術館へ行ってきました。まずは両美術館を、私の拙い写真と一緒にご紹介したいと思います。初めに静岡県立美術館からです。

静岡県立美術館は、ちょうど静岡市の名勝「日本平」を背にする形で建っています。辺りは住宅や畑、もしくは林の混在するなだらかな丘陵地帯です。また、美術館の近くには、中央図書館や県立大学なども並んでいました。率直に申し上げて、市中心部からのアクセスは良くありませんが、その風光明媚なロケーションはなかなか優れています。JR線なら東海道線「草薙駅」からバス便、また静岡鉄道なら「県立美術館前駅」から徒歩15分です。そしてここは迷わずに後者の静岡鉄道を選択しました。旅先ではなるべくその地元の交通手段を使うのが私のモットー(?)です。

県立美術館駅へは、静岡市中心部の新静岡駅から約10分程度で到着します。運賃は170円。平日・土日とも、昼間は約6分間隔で運行されていました。私の最寄りの下手な路線よりはるかに使い勝手が良い鉄道です。2両編成の可愛らしい電車に揺られながら、時折見え隠れする富士山を望みつつ、美術館前駅まで車窓を楽しみます。静岡は殆ど土地勘のない場所なので、目に飛び込んで来る景色は新鮮でした。



駅から美術館への道のり。

駅からは日本平へと向かうなだらかな坂道を進みます。歩道の整備された美しい並木道です。雰囲気の良さそうな喫茶店や雑貨店が点在していました。途中、少し坂がキツくなる箇所がありますが、これなら歩いていて飽きることはありません。ぶらぶらと歩き進むこと約10分。秋の日差しを受けながらの愉しい散歩道。ちょっと汗ばんできた頃に、ちょうど美術館や図書館を含む広大な公園が見えてきました。


公園入口です。緑が目に染みます。

公園内からは木陰の爽やかな「彫刻プロムナード」を進みます。ここには、舟越保武や清水九兵衛らの立体作品が約10点ほど展示されていました。プロムナードを抜ければそこは美術館の真ん前。それにしても立派な美術館です。まさかこれほどとは思いませんでした。


舟越保武「杏」(1982)


大西清澄「濤の塔」(1985-86)


トニー・スミス「アマリリス」(1965)と静岡県立美術館。


ここのコレクションはなかなか優れています。ロラン、ロイスダールからクールベ、ヴラマンク、応挙に探幽に広重、大観、さらには須田国太郎から長谷川潔、高松次郎に李禹煥まで。名前を挙げてしまうとキリがありませんが、洋の東西、または年代を問わずに幅広く作品を蒐集しています。そして最後には名物のロダン。ロダン館と名乗る広々とした別棟に、その名作がズラリと揃います。企画、常設、ロダン館の全てをゆっくり拝見すれば3時間ほどはかかるかもしれません。東京国立近代美術館の企画+常設をじっくり見るくらいの心構えは必要です。(?)

展覧会、もしくは「鳥獣花木図屏風」の感想はまた後日へ廻します。次のエントリ、その2は、芹沢けい介美術館と登呂遺跡です。

*関連エントリ
「静岡市内美術館巡り 2006」 その2『芹沢けい介美術館』+『登呂遺跡』
「コレクション 20年の熱情2 時代を超える個性」 静岡県立美術館 9/2
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