Hanews-はにゅうす

ウィーン歌曲歌手、「はにうたかこ」の毎日のちょっとしたことを書いています

フォルクスオパー「ティーフランド」28.10.2007

2007年10月29日 05時56分08秒 | Weblog
その前に、オペラの前にテレビで「ヨハネパウロ」だった?この前のバチカンの一番えらかったおじいさん。の活動伝記映画を2部にわけてやっていた。記録映画ではなく、俳優さんで取り直してある分です。その俳優さんが若いときから亡くなるまでをずっと演じていたんですが、すごいの一言です。目の表情が物を言う俳優さんでした。そしてその目がとてもやさしい。もちろん見ている私は、なにかあるたびにオイオイ泣いて、お目目真っ赤でフォルクスへ行きました。こういう映画は日本でまず観られないので、ちょうど家にいてよかった。

7時開演だと思っていました。6時でした。(冬時間になったから間違えたわけではありません。普通に間違えました。)ついたとたんにベルがなったのでびっくりしました。立ち見がもしかしたら売り切れか?と思いながら、いつものギャラリー立ち見1.5ユーロを希望したら売り切れ。ところが売り切れと書いてある1階パルテレの立ち見なら1枚あるわよ、と売り場のお姉さん。誰か予約したのに取りに来なかったんですね。2ユーロで1階に入りました。

ところが1階の立ち見2列目は、字幕が見えない。今日は初めてのオペラだった上に、あらすじさえどこをさがしてもないオペラだったので、さっぱりわからないんです。山の上のペーターみたいな羊飼いか山羊飼いの男の人が、ふもとの女性と結婚するところから始まるのですが、なぜか女性は嫌がっているように見える。それくらいしかわからない。音楽はとっても美しいロマン派ですが、この作曲家von Eugen d`Albert (オイゲン・ダルベルト)がいったいどこのどんな人かもよくわかりません。でもこの人のオケ曲は、もし演奏会があったら行ってみたいです。今日の音楽もとっても美しい音楽でした。ロマン派なんだけど、泥臭いというか、土の匂いがするというか、そんな音楽でした。

二度と見ないのでパンフレットも買わなかったし、あまりに話がわからないので、休憩で帰ろうと思っていました。帰る前にトイレに行って運がついた?順番待ちのおばさんに「難しくてわかんない。」と言ったらいろいろ説明してくれました。そのうち順番が回ってきてしまったので、続きは後でと、トイレを出てからもご主人まで交えてあらすじを教えてもらいました。「後半がいいわよ。」なんて言われたもんだから、見ないわけには行かなくなって、最後まで見てしまいました。

休憩後はラッキーなことに、前のおばさんが空いてる席に座ったので、立ち見の1列目になり、ドイツ語のオペラなんだけど、ドイツ語の字幕を見ることが出来ました。で、話は以下のとおりです。(注:私の想像も入ってます)

舞台はスペイン。主役の女性マルタは、小さいとき盲目の女性に育てられていましたが、その女性が亡くなり、女性の愛人である老人に町から町へと連れられ、人前で踊ったり歌ったりして物乞いをさせられていました。ある町へ来た時、彼女は13か14くらいでしたが、セバスチャーノという金持ち(村一番の金持ちで、大抵の人が働く工場も彼が持っている)に気に入られ、この村に住み着くようになった。マルタがセバシュチャーノの愛人をさせられていることは、村中知っていることだった。(だれだかわからないんだけど、マルタに心痛めている人が)ペドロと言う正直でまじめな羊飼いとの結婚を取り持った。ペドロは山から下りて来て、結婚式をその村で行ったが、なぜ自分が村人に笑われているのかわからない。セバスチャーノは結婚式の夜なのに、マルタの部屋で密会を迫る。マルタはそのことをペドロに明かすことができないので、かえって冷たくしてしまう。

ペドロがうすうす男の存在に気がつき、マルタは許しを請い、「愛しているからあなたの手で私を殺してください。」と哀願する。ペドロはナイフをもって怒り狂うが、殺すことはできず、村から離れ、山へ二人で戻ろうとする。そこへセバスチャーノが現れ、昨日の夜、マルタに会っていたのが彼だとばれる。ペドロはいったん一人で山へ戻るが、しばらくしてやはりマルタを連れに戻ってくると、生まれて初めて愛を知ったマルタが、やはり生まれて初めて自分に自信を持ち、セバスチャーノの無理強いを拒んでいた。セバスチャーノもマルタを間違った方法で愛していたので、彼女が去っていくことは受け入れられず、彼女を火あぶりにして殺そうとしているところだった。男二人は組合になり、ペドロはセバスチャーノを絞め殺してしまう。村人が集まるが、誰も二人を制裁することはなく、二人はティーフランド(村のある低地)から、自由な高い山へと消えていく。

火曜サスペンス並みのあらすじでしょう?後半話がわかりながら聞いていると、音楽もいいし、これだったら日本語に訳して日本で上演してもいいなぁと思いました。日本初演とか誰かやってくれたらいいのにね。

もう一つ書いておきたいことは、ヌリという10台の女の子の役がありましたが、本当に10台の人がやっていると思っていました。見た目も、動きも、そしてビブラートのかからない声も、どこから見ても10台です。ところが名前をみると、この人がこの前のエーデルトラウトおばさん(私に先生を紹介してくれた人)の娘なんです。つまり子どもが2人いるということ!その上こうもりのアデーレも歌っている。アデーレはお尻ふりながらみたいな役なので、同じ人が(3日と開かずに)この清純な少女役をしているなんて信じられない!この人のアデーレをまだ見ていないので、ぜひ近いうちに行きたいです。

演出Anselm Weber
舞台Hermann Feuchter
衣裳Bettina Walter
照明Olaf Winter

指揮Sebastian Weigle
マルタHeidi Brunner
ペパBirgid Steinberger
アントニアRegula Rosin
ロザリアSulie Girardi
ヌリAndrea Bogner
セバスチャーノWolfgang Koch
トマソSorin Coliban
モルッチオMathias Hausmann
ペドロTorsten Kerl
ナンドChristian Drescher

クラリネットソロStefan Neubauer

コメント
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