Dr. 鼻メガネの 「健康で行こう!」

ダンディー爺さんを目指して 日々を生き抜く
ダンジーブログ

放下

2011-08-14 | 想い・雑感
どんなに引き止めようと思っても
離れていくものがある

それに執着するのは
苦しみが深まるばかり

きっちり捨て去る
ということが
結局は
心の平安を得る最善の策

でも
人って
こだわるんだよね

侵襲的処置

2011-08-11 | 想い・雑感
すこし腹具合が悪かったので
久しぶり(気がつくと8年ぶり)に
大腸内視鏡検査を受けました

2ℓの下剤を飲むのは
相変わらず一苦労
平気な顔をして飲みきってしまう方には
驚くしかありません

検査をしてみると
8年の間に多少のくたびれが出てきたようで
ポリープを2個取ってもらいました

なんと言うこともなく終わった検査なのですが
翌日から腹痛が出現
大腸に穴が開くような処置ではなかったので
恐らく傷ついた粘膜から腸内細菌が入り込み
リンパ節に炎症を起こしたのだろうと思います

ちょっとした処置でも
体を傷つける行為というのは
何らかの危険を伴なうものだと
あらためて思いました

塩分を取れば良い というものでも・・・

2011-08-11 | 想い・雑感
熱中症対策の中で
塩分補給が強調されすぎているように感じます
汗の中にNaClが含まれているのは事実ですが
運動中に流れるように噴出す汗と
じとっと出てくる汗では含まれるNaCl量が異なります

動き回って出る汗には塩分が多く
(と言っても1%も含まれていないはずですが・・・)
それに対し多少の塩分補給は大切でしょう

しかしじっとしていて滲んでくるような汗には
あまり塩分は含まれていないはず

それを十把一絡げにして
塩分補給を強調するのは感心しません
あまり動かないお年寄りの場合などは
補給しすぎれば塩分過多になる場合もあるのではないかと心配です

あまり塩分のふくまれない汗が出た場合には
高張性脱水といって血液の浸透圧は高まっています
そこへ無闇に塩分を補給すればますます浸透圧が高まる結果に

メディアはその辺のところまできちっと伝えてもらいたいものです

どちらが先?

2011-08-10 | 想い・雑感
潰瘍のために30年前胃切除を受けた方が
残った胃(残胃)に癌ができて紹介されてきた

聞くと胃切除を受けたときの主治医は
私の先輩医師
40歳頃に急逝した彼が救った方を
今度は私が引き継ぐ

開腹し 癒着を剥離してみると
丁寧に縫合された胃空腸吻合部が現れた

時の流れを感じると共に
先輩と一緒にいるような
不思議な感覚で手術を行った

時折患者さんに
「あなたと私のどちらが先に逝くかわかりませんよ」
と申し上げるのは
決して冗談で言っているわけではない

私たちは皆
明日をも知れぬ今日を生きているのですから

2歳児餓死

2011-08-10 | 想い・雑感
まだ独り立ちできぬ子に
親が食べ物を与える

親鳥が雛にえさを運ぶ

母猫が子猫に乳を与える

母親が母乳 ミルク 食事を赤ちゃんに与える

こんな当たり前と思えることを
当たり前に行わない母親がいるということに
驚き 哀しみ 怒り を感じる

育ち盛りの子供は
新陳代謝や日々の行動に必要な栄養を取り入れるだけでなく
成長するための栄養が必要

そんな子供が
成長もせず 
逆に弱って行く姿をみて
なお食事を与えないという心のありようが
どうしても理解できず イメージできない

手を合わす

2011-08-08 | 想い・雑感
我が家には和室が一部屋ある

母が亡くなり一人暮らしとなった父が
いつでも来て泊まれるように
あるいはそのまま生活してもらえるようにと
準備した部屋である

実家との距離は車で15分程度だったし
父も元気だったのでお互い行き来をする程度で
結局その部屋はあまり使わないままとなってしまった

今は猫の休息場となり
仏壇をまつる場となった
仏壇の後ろは危険を感じたときの たま(猫)の隠れ場となった

そしてこの季節がくると
思い出したように
私がお線香をあげる場となる

気にはしているのだが
習慣となっていない身には
お線香をあげ 手を合わせるということすらなかなかできない

久しぶりに手を合わそうと仏壇の前に座り
見上げると
すでに仏さんはこちらに向かって手を合わせている
ということにあらためて気がついた

私のようなものに対し
すでに祈ってくれているのだろうか
ありがたいことである

別れ

2011-08-07 | 想い・雑感
癌末期の患者さん
転移巣が大脳の視覚野を圧迫しはじめたのだろうか
「なんか今日は暗いなぁ」
と言い始めた
そのときから
こちらの問いかけに返事はしても
内容は噛み合わなくなった

「隠れてないで出ておいで」
「○○君はもう帰った?」
「まだ行かないよ」
「うんうんありがとう」…

焦点の定まらない視線を虚空に漂わせながら
誰かに話しかけていたと思えば眠りに落ちる

それまであった痛みやお腹の張りなどは
すでに気にならなくなったようで
表情は穏やかである

いろいろな人と会い
挨拶をし
お別れを言っているのだろうか

と思っていたら
安らかに息を引き取られた

最後は必要最小限の医療行為に止め
見守るような態度でいたほうが
穏やかな最後を迎えることが出来るのかもしれない

計算できない

2011-08-07 | 想い・雑感
入院中の患者さんには
十分な食事を取り入れられない人がいる
その原因は様々であるが
足りない分は補う必要がある

濃厚流動食を飲んでもらったり
胃や腸に直接栄養を送り込んだり
血管内に直接それを送り込んだりするわけである

栄養が不足している患者さんに
それを補う処置をしているかどうかをチェックする
という役割にも
私は関わっている

足りないものを補うことによって
栄養状態が改善していく場合が多いのだが
なかには明らかに足りない状態と思えるのに
それほど全身状態が悪くならず比較的元気なかたもおられる

エネルギーや栄養という視点から見て
明らかにINが足りないのに
元気な方を見ていると
当たり前だけど人の体は計算通りでないことを実感する

仏道修行者が
どう見ても足りないだろうという食べ物で
元気に活動している姿も思い浮かぶ

医学でなく医療には
その計算できないところも大切なのだろうと思う
でも計算できないということは
感じることによってしか対応できないということなのだろうか

多発性骨転移

2011-08-06 | 想い・雑感
 胃癌の術後は、5年を目安として定期的に検査を行い
再発の有無に注意を払います。そして、5年経ったときに、
明らかな再発を認めなければ、完治したと考えます。
まあその後も年に一回くらいの検診は勧めますが
元の胃がんに関しては大丈夫だろうと判断するわけです

 ただし5年を過ぎた後でも、時には10年以上の時を経て
胃がんが再発した、と考えられる場合もありますから必ずしも
油断はできません。

 5年目の検査で再発所見を認めず、「よかったですねぇ。」
とお話したSさんが、2ヶ月ほどして胸が痛いとの訴えで
外来に来られました。CTでは明らかな異常は見つかりません
でしたが、血液検査で前回全く正常だった
ALP(アルカリフォスファターぜ)とCEAの値がピョンっと
跳ね上がっています。まさかと思いながらも骨シンチという
検査を行うと、多発性の骨転移でした。

 一般的に骨に転移する頻度の高い癌は、肺がん、乳がん、
前立腺がん、甲状腺がんなどが挙げられ、胃がんはそれほど
頻度が高くありません。それに、胃がんで骨転移を起こした
場合は、他のいろいろな臓器に転移を起こした上で骨にも
転移しているという状態が多いのです。

 ところがSさんの場合は、分かって転移再発は骨だけにあり、
5年をすぎて姿を表したのです。これは、わりと稀なケースになります。

 骨に転移を起こすのは、通常血液の流れに乗って起こすと
されていますから、最初の手術の時に、既に骨に種は播かれて
いたはずです。それが5年間の間息を潜めていた後、
一気に現れた、という感じです。正常だったALP、とCEAが、
2カ月足らずの間に、それぞれ正常値の100倍、3倍に
跳ね上がっているのですから、かなりの勢いでせめて来ています。

 これまで折り合いを付けていたSさんの体とがん細胞との間の関係が、
急に崩れさる出来事があったのでしょうか。5年過ぎたという油断に
付け込まれたのでしょうか。実際のところはわかりませんが、
治療とケアをうまく組み合わせて、よりよい状態を保る努力が
必要です。

ゆっくり

2011-08-05 | 想い・雑感
 切符を手にする機会が随分減った。車掌さんを見ることはなくなったし、
電車を利用するときに駅員さんと切符のやり取りをすることなども
皆無となった。ほとんどの人はプリペイドカードやICカードを器械にかざし、
ピッという電子音をさせながらどんどん流れていく。
 その流れは、昔の2倍や3倍にはなっているような気がする。あまりに
早いので、一人の人が何かの不具合や間違いで改札の扉が閉まり立ち止まると
後続の人はツンノメリぶつかりそうになる。なんともめまぐるしいことである。
 私とて、カードの利便さ快適さを感じているのだが、時にそのめまぐるしさに
めまいを覚えるようになってきたのは年のせいだろうか。そう、何においても
スピードがあまりに速いと、くたびれる感じがしだした。
 やりたいことは色々あるが、その全てをする時間などないということを
実感するようになると、スピードではなく、取捨選択したものにゆっくり
時間を割り振りたくなる。速さよりも充実、効率よりも納得、利便さより満足、
をより求めるようになってきたともいえる。

消費税

2011-08-04 | 想い・雑感
病院で支払いをするとき
領収書を見ればわかると思いますが
消費税はかかりません
まあ何かを買うわけではないから当然だろう
と言う気がします

しかしお待ちください
病院が購入する器材、薬剤、備品に書類などなど
医療に必要なモノを買うときに
病院は消費税を支払っているのです

安全を担保するためには
お金がかかります
お金の削りすぎが医療レベルの低下につながることを指摘されて
国も保険点数をどんどん下げるというようなことはしなくなりました

でも消費税がもし上がったとき
相変わらず医療費に消費税が掛からない状況であれば
病院の持ち出しが増えるだけで
結局医療費削減と同じことになると思います

このへんは
財務省あたりのえら~い人が
他で絞れなくなった時の目立たぬ医療費削減方法として
隠し持っているものと思われます

医療を守るためには
このあたりをうかうかと見逃してはいけません