デンマーク・ハーフキッズ

デンマークについての情報やニュースを紹介、またデンマーク人と日本人のハーフの子供たちの子育て日記。

老後の住処

2006-12-15 15:31:00 | 国際結婚
 国際結婚のカップルの間でしばしば「どこに住むか」という問題があるのではないでしょうか。先日もデンマーク人と結婚している2女性の話題は「老後、どこに住むのか、最近考えるようになった」でした。そのうちの一人はデンマークに住んでもいいかな、と言い、もう一人は両方に関係のない第3の国に住むのがいいのよ、ハワイなんかいいのじゃないかと思って、と言っていました。他にもいずれは相手の国に住む(なぜなら日本の教育を受けさせたくないから)、現在相手の国に住んでいるけれど、将来は日本に戻りたいかもなどという意見を聞いたことがあります。

 日本人同士のカップルならば親の介護や転勤などで移動したり、離れて暮らすようなことになったりということがあると思いますが、どちらにしても国を離れることはありませんし(海外への転勤もありますが)、日本に住むということは話し合うまでのこともないでしょう。けれども国際結婚の場合は、選択ができる分、悩むことになります。

 国を超えるとビザの問題、子どもの教育の問題(特に言語)、自分の言語力や適応能力の問題、健康保険、職、などいろいろな問題が出てきます。それでも数年住むのはいいのですが、さて、それでは最後はどこに住もうかとなるといろいろな覚悟が必要のようです。年金もどこの国にせよ、ある期間は居住したり税金を納めたりしなくてはもらえません。そういったことも含めて、逆算してどこかの国と選ぶのは、実質的にも気持ち的にも簡単ではありません。

 先日会った人のご主人が「俺に日本の老人ホームに入れというのか」と言い、彼女は「じゃあ、私にデンマークの老人ホームに入れというの?」と言ったそうです。若いときはいいけれど、年を取ったときにやはり相手の国の老人ホームに入るのは抵抗がある気持ちは私にもわかります。

 この問題で難しいのは、将来の自分の気持ちや適応能力が完全にわからないことです。そして人は変わるということ。年齢とともに人の気持ちは変わっていきます。間口が大きくなる部分もありますし、逆に間口が狭くなる部分もあります。そういうことをすべて推し量ることは難しいし、一度決断するとかなりのリスクを伴いますので、そう簡単にスイッチできないということもあります。

 さて、私たち夫婦の場合ですが、以前からずっと2人とも言っているのが「夏は3ヶ月デンマーク、あとは日本」という老後の暮らし方が今のところ理想です。もし経済的にできれば、60代のうちは世界中のあちこちに住んでみたいとも思っています。NY、パリ、フランスの片田舎、プーケット、イタリア、などなど少しの期間住んで生活を楽しみたい場所はいっぱいあります。

 デンマーク人会のクリスマス会の帰りの車の中で、改めてこの話を夫としていたのですが、夫に「デンマークに住みたいというのはある?」とたずねましたところ、「僕は日本を選んで、日本に住みたいと思って来た。でも君はデンマーク人を選んだのではなくて、たまたまデンマーク人だったわけでしょう。だからデンマークに老後住まわせるのはかわいそうだと思う。すでに場所を選択したのは自分だという気持ちがベースにある。」というようなことを言いました。

 なんとなく夫の決意というか、私と結婚したことによって後ろに戻れなくなってしまった夫の覚悟のようなものを聞いた気がしました。日本に住むことを嫌がっているわけではありませんが、やはり日本語のできる彼だって、自分の国ではないところで生きていくことはいいことばかりではないはずです。これを聞いて、私はもう少し、異国で生きている夫に思いやる気持ちを持たなければ・・・とちょっと思ったのでした。そして、2人に老後があるのだとすれば、それだけでも感謝すべきことなのかなとも思いました。


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2 コメント

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Unknown (els)
2006-12-16 07:08:15
うん、確かに、一時的に外国に住むのと、一生住むというのとでは全然違うよね。
わたしは、最初3年間だけの予定でデンマークに住み始めたから、デンマーク語を覚える気もさらさらなかったし、年金とか保険とかの現実的な問題、さらに人脈とかもあんまり考えずにやりたいことだけをやっていたけど、夫と結婚してからデンマークに永遠に住む可能性が高くなり、デンマークでの生き方をがらっと変えざるを得なくなったよね。
年金プランも、加入年数の短いわたしにとって有利になるようハイリスクハイリターンのタイプに変えたし、投資信託も始めたし、失業保険にも加入したし、そういう物質的なことだけでなく、よりインタグレートするためにデンマーク語の勉強を本気になって始め、今まで億劫だった人との交流もするように努めるようになったかな。クリスマスランチを続けて参加するのもそのため。
でもこれはわたしが決めたことで、夫を責める気はまったくないです。
きっと、halfkidsさんのご主人もそういう覚悟あって日本に来られたのだろうから、それでいいと思いますよ。
でも、いずれにしても、どういう状況であっても夫婦で支えあうことが大事なんでしょうね。日本に住むのも、デンマークに住むのもそれぞれ困難があって、それを夫婦で乗り越えていくというか。わたしも、将来どうなるかまったくわかりませんが、どうなっても夫婦で一緒に問題に取り組んでいきたいですね。
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Unknown (halfkids)
2006-12-19 07:21:35
elsさん、

これは私の中でいつも漠然とした不安となっているんですよね。日本人と結婚していたら、国が離れてしまうとか、夫婦で住みたい場所が違うとか、故郷が恋しくなるとかにはならないだろうなと思います。
もし将来どこか日本以外に住んだら、子ども達がその国に根付いてしまうかもしれないというのもまた漠然とした私の不安の種ですし・・・。
そして夫も今はそう言ってくれているけれど、年を取っても本当にそう言える? あるいはもし私が先に死んだらどうするの?それからデンマークに住んでもいろいろ大丈夫なわけ?などとも考えてしまいます。
ただ、先のことをあまり心配してもしかたないので、普段はすっかり忘れていますが、たまに考えると「これは国籍が違うカップルの宿命だよな~」などと思ってしまいます。

逆にelsさんは相手の国に住むことに今は決めていらっしゃいますよね。そのへんのことも今度よかったらお話しましょう。
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