デンマーク・ハーフキッズ

デンマークについての情報やニュースを紹介、またデンマーク人と日本人のハーフの子供たちの子育て日記。

主張する人たち

2006-11-02 13:35:04 | デンマーク人
 先日、デンマーク人の集まりに参加する機会があり、そこで気づいたのは、発言する前に必ず小さく手を挙げて、チェアマンがどうぞと言うまで彼らはきちんと待つことでした。それがデンマーク人一般の会議のやりかたかどうかは定かではないのですが、ざっくばらんに言いたいことを発言するのではなく、声を大にして主張したり、相手の意見をさえぎったりもせず、見ていて気持ちのよいものでした。

 もちろん人にもよるのですが、こうした自分の意見を発表することに手馴れた人たちと一緒にいると、ときどき押されてしまうことがあります。日本人として、曖昧さを美徳とするように教育されてきた私には、つい、はっきり「モノ申す」ということができなくて後悔したりすることがあります。

 ちょっと何かを頼まれたときに、それはあなたがすべきことでしょうと思っても、場の雰囲気を考えて何も言えなかったり、はっきりとこうして欲しいと言われると、それに押されてしまって「いいよ」と返事をしてしまったりしてしまうのです。こういう場合の対応として、今後は練習しておきたいところですが、とっさにうまく切り返したり意見したりするには、こちらもそれ相当の訓練が必要そうです。

 こういった彼らの特性は「抗議する」「ストをする」というところにも表れているようです。先日、デンマークから来ていた日本人の友人と、そういった話になりました。まずSASのストの原因について話し合おうとしたのですが、あまりにもよくあることなので、「一体どのストのことを言ってるの?」とどうしても特定することができず笑ってしまったのでした。

 彼女から聞いた面白い話があります。オーフス(デンマーク第2の都市)の保育園で、予算カットに抗議するため先生達が保育園を1週間クローズするというストを行ったそうです。それが他の都市にも飛び火して、コペンハーゲンの彼女の娘が通う保育園でも「オーフスのストに共感を表わすため」のストが一日行われたそうです。彼女も彼女の夫も仕事を休めず、子どもを連れて仕事に行くという大変な目に遭ったそうですが、彼女の夫がまたデンマーク人らしいことに、ビラを作って保育園の前で父兄に配布したそうです。こんなストには断じて納得できないという内容のビラで、「私と私の妻、○○は・・・」という冒頭で始まり、彼女は「私まで巻き込まないで欲しい」と文句を言っていました。主張には主張を、というスタンスのデンマーク人は素晴らしいのですが、ときどき、日本人の私にはその主張の主旨ややりかたが理解できないときがあります。

 この話を聞く前日だったか、ちょうど我が家でも同じようなことがありました。非常に冷酷な対応のマンションの理事長に対して、マンションの住民にビラを配りたいと夫が言い出したのでした。書きたかった内容は「理事長はいい仕事をしていない、したがって彼はこれ以上理事長をやるべきではない。みんなで不信任を決議して、理事長をぜひ替えようではないか」ということだったようです。(まあ、言いたいことは非常に正しいとは思うんだけど・・・。)今回は夫に差し控えてもらいましたが、こういう発想がデンマーク人的だなあと、普段はあまり気づかない夫の中のデンマーク人魂を見た思いがした一件でした。