孫ふたり、還暦過ぎたら、五十肩

最近、妻や愚息たちから「もう、その話前に聞いたよ。」って言われる回数が増えてきました。ブログを始めようと思った動機です。

建国の独裁者、逝く

2015年03月24日 | 日記
シンガポールの建国者がとうとう他界したようだ。この国に対する日本人の抱くイメージは、概していいものだが、私が1年弱赴任していた経験から見ると、決して住みやすい国だとは感じなかった。

確かに、予想していたほど人工的な景色ばかりではなく、街並みはゴミが落ちてはいなくて清潔感はあり、その前に赴任していたマニラの街並みなどと比較するまでもなく、安全できれいなものだった。鉄道は安い交通手段で、どこへでも気軽に行けて大変便利だった。

ただ、電車の中も、駅の構内も、プラットホームも、すべてで飲み物・食べ物は禁止されているので、あの熱い国ではいくら冷房が効いているからといってものどは渇くので、私はつらかった。電車の中で、知ってか知らずかペットボトルをラッパ飲みする欧米の観光客を何度も目にしたものだ。

決められた場所以外での喫煙も罰金の対象で、愛煙家にとっては辛いものらしく、広い公園だからいいだろうと思って一服したら、私の前任者は私服の公安に捕まって、罰金を払わされたそうだ。

いたるところに、「○○禁止」の看板が立てられているのはいいとしても、その看板の下の方には、必ず金額が書かれていて、それは罰金を表している。この辺りは、我々日本人の感覚とはまったくかけ離れている、と感じたものだ。

たまに、電車の中に警官らしき格好をした集団が巡回しているのを見る位で、街中に交番が点在するわけではないし、おまわりさんのような人も見かけないのだが、その代わり私服の公安が結構目を光らせているという話を聞いた。これは、治安を守るというより、政治犯を監視する目的が強いということだそうだ。

政府はマスコミを厳しく検閲しているため、報道の自由はなく、国民に政治の話を振っても皆無関心を装って、話には乗ってこない。権力は世襲されるし、「明るい北朝鮮」と揶揄されるのも無理はないだろうな、と妙に納得したものだった。