孫ふたり、還暦過ぎたら、五十肩

最近、妻や愚息たちから「もう、その話前に聞いたよ。」って言われる回数が増えてきました。ブログを始めようと思った動機です。

「開発速度」と「問題意識の持ち方」雑感

2018年12月15日 | 社会観察
職場では、日本経済新聞が読めるので、毎日昼休みに目を通すのが楽しみだ。

最近の若者は、ほとんど新聞など読まないようで、職場でも新聞を読む者など私を含めてほんの数人のようだ。

いささか旧聞に属するかもしれないが、12月5日の日経新聞に出ていた記事には呆れてしまった。電子版で検索したら、見つかったので改めて読み直してみた。

以下、『』内は日本経済新聞電子版(2018/12/5 13:30)より抜粋。

・・・・・・・・・・・

『トヨタ自動車とダイハツ工業は5日、アクセルとブレーキの踏み間違いなどによる事故を防ぐ後付けの安全装置を発売した。75歳以上の運転免許保有者は国内で500万人を超え、高齢ドライバーへの対応が重要性を増している。』


『トヨタグループのアイシン精機が高齢者向けライドシェア(相乗り)サービスの実証実験に乗り出すなど車関連各社はシニア層のニーズを取り込もうとしている。』

なんとも世界のトヨタは、さすがにご対応の速いことで、と嫌味の一つも呟きたくなる記事だった。

不肖私が、このブログで老人ドライバーがいかに危険かを取り上げたのは、確か3年前のことだったと思う。それも、一度や二度ではない。Yahoo で【孫ふたり 老人ドライバー】で検索すれば、ブログに簡単にヒットするはずだ。





減少しているとはいえ、今でも年間数千人の人が交通事故で死んでいる。ちょっと前までは、年間1万人以上であったから、2年間で私の住む町の住民が一人残らず死んでいたことになる状況だった。



『交通事故総合分析センターの統計によると、ブレーキとアクセルの踏み間違いによる事故は減少傾向にある。それでも17年には4722件の事故が発生した。ペダルの踏み間違いによる事故は75歳以上のドライバーが起こしやすいという。』



コンビニなどは、自ら店の前面に頑丈な鉄製の車止めを設置しているほどで、状況は大して変っていないとみるべきだろう。

自動ブレーキが普及しているようでも、高齢者の運転する自動車がみなその安全装置を備えているわけではないし、その自動ブレーキ自体の性能にも、各社ばらつきがあるそうだ。

何よりも、老人ドライバー自身の心身は、健康そうに見えても、日に日に劣化しているのは間違いないことを忘れてはならない。



このたび、「満を持して」トヨタ(ダイハツもトヨタの子会社)が売り出した安全装置とは、いったいどんな装置なのだろうか?記事は紹介していた。


『トヨタが売り出した安全装置は障害物が近くにある状態で強くアクセルを踏むとブザーが鳴り、急発進を防ぐ。』

『車の前後に超音波センサーを2個ずつ設置。近くに障害物があるときにアクセルを踏み込むと、車内に設置した表示機が警告を表示し、ブザーが鳴る。さらに強く踏むと加速を抑える。』

一体、効果が期待できるのか出来ないのか、正直よく理解できないのだが、自動ブレーキが出始めの頃、よくテレビCMではその効果を映像でアピールしていた。今回の安全装置の効果を紹介するテレビCMは合っただろうか?

新車の多くには自動ブレーキが搭載されているこのご時世に、「踏み間違い防止の安全装置」を今頃売り出すトヨタの「問題意識」は、どうも理解し難いのである。

しかも、新車に標準装備する予定などなさそうで、あくまでも「後付け」。取り付け工賃込みで、価格は6万円前後するそうだ。(取り付け時間は約3時間)

トヨタを始めとする自動車メーカー各社は、自動運転、カーシェアリング、電気自動車など、めまぐるしい開発競争の真っ只中にあることは理解できる。

しかも、自動車産業は日本の基幹産業であることも充分理解できる。しかし・・

根本的に自分たちが人の命を奪う、非常に危険な乗り物を作っているということを忘れてはいませんか? 事故は運転者が引き起こすものだと考えていませんか?

やがて人工知能が制御する自動運転になれば、この世から交通事故などなくなると、本気で思ってるんでしょうか?


「踏み間違い防止の安全装置」など、問題を直視して早急に取り組めば、もっともっと早い段階で『改善』が可能だったんじゃないでしょうか。


高齢化社会先進国のトップメーカーとしての問題意識の持ち方には、疑問を感じざるを得ません。必死の取り組みの結果、この時期の発表となったとすれば、その開発スピードと技術力に別の疑問を感じてしまいます。


コメントを投稿