GSゲルマニウム原人の退屈な日々

見わたせば、気になることばかりなり・・

ブルースセッションでもどう?

映画「どろろ」

2007年01月25日 08時35分26秒 | 徒然なるままに
かみさんと映画の試写会に行って来た。(一緒に映画なんて何年ぶり♪)

作品名は  「どろろ」

そう、あの手塚治虫の作品で私が小学校5~6年の'67~'68年の頃に少年サンデーに連載されていた作品だ。当時カムイ伝を描いていた白土三平や水木しげるの作品に対するライバル心から描いたと言われている。(ガロに対する嫉妬からCOMを出版したのではないかと私は思っているのだが)

しかし、そういった感情の方が先行して白土がのめり込むように安保闘争に代表される当時の世相に巻き込まれていき、また影響を与えていったようなパワー感はなく、水木しげるのようにそのようなところから全く距離を置いた自由さもない、マンガとしては非常におもしろが所々に見える白土に対するジレンマが何となく中途半端に終わってしまった要因なのかもしれない。また、このころから本格的に広まっていった「劇画」に対してのコンプレックスもあったのではないだろうか……手塚の絵はどうしても児童マンガからは踏み出せなかったわけだから。(晩年はストーリー面で変わっては行ったが)

さて、問題の映画である。

父親醍醐景光が権力と引き替えに魔物に48カ所のパーツを奪われた主人公「百鬼丸」には妻夫木聡、その醍醐景光に親の命を奪われた泥棒「どろろ」(原作とは全く違う)は柴崎コウ。原作ではどろろは少年として描かれているが途中から実は女だとわかっていく、さすがに柴崎は大人なので最初から男のふりをしている女として描かれている。柴崎の演技は荒っぽくってうるさくって乱暴で「どろろ」らしいと言っていいだろう、想像以上にミスキャストではなかった。(しかし滑舌が悪くて台詞が聴き取れないところ多し)妻夫木百鬼丸も体の部分がまだ取り戻せない時点では感情を抑えたクールさを出し、声を取り戻したとき(原作では眼の時か?)の少年のような感情のほとばしり方などはなかなか良かったと思う。

ストーリーはほぼ原作のマンガと同じように進むが鯖目の話(子供を食べる妖怪)とバンモンでの景光との出会いの話のみで構成されているという感じだ。
しかし今のCG技術はもの凄い、腕にセットされた妖刀百鬼丸はまさにマンガの通り!腕や足を取り戻すところも非常に見事に映像化されている。

衣装に関しては原作は日本の時代劇のイメージ描かれていたが手塚が「バンモン」に板門店やベルリンを当然イメージしていたところを監督はくみ取ったのか非常に朝鮮韓国系の雰囲気の生地や髪型、メインキャスト以外の兵士やエキストラも朝鮮韓国系的に感じる。いかにも日本のちょんまげ時代劇でないところは私としては良い印象を受けた。

しかしなんと言っても2時間以上……アクションシーンはスピード感もある、敵を倒すことで次にどの体の部分を取り戻すかという期待感もあり良いのだが、その他の部分のテンポが非常に悪い、つまりかなりだらだらしているのだ。だからこの長さが苦痛になってくる、特殊な色加工をされた映像もよくそれぞれの演技も良いだけにこのテンポの悪さはひとえに監督の編集が悪いと言える。100分程度にまとめられたのではないか、あるいはもっとエピソードを増やし12回のTVドラマでも良いくらいだ。深夜枠でセルDVD発売を前提として(ライオン丸Gのように)クオリティの高い連続ドラマとして作った方が良かった気がする。

なお、主題歌はミスチル……エンドロールに流れるだけなので聴かずに席を立てばそれ以外の作品中の映画音楽は非常に良いのであの何を唄ってるか聴き取れない歌詞を聴かないで済むので監督、ここの部分はグッジョブ!である。
コメント (6)
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