現代日本語「誤」百科 810 時間短縮でお送りしています を、例題にしている。時間短縮 という表現を、時間を短縮して という意味では使えないとコラムは解説する。この、~で の使い方を手段の用法と決めている。この説明は一方で、時間を短縮していますという意味内容を捉えない。いわば、時間を短縮だ、としているのだから、接続用法で使っている。経費節減で生産する についても言えないとしているコラムであるが、経費を節減して生産する、と読めなくもない。文章でいえば、経費節減で、生産する となるところだ。例題は、この読点がなくても読んでしまう、あるいは通知として聞いてしまうのは、お送りします という言い方が謙譲用法であるために慣用句を成立させて文の独立をうかがわせるからである。 経費を節減して、お送りします と言えば、わかりよい。 . . . 本文を読む
日本語誤百科 18 ページ 期待倒れ を、例題にしている。期待外れ の語で、期待が外れると言うのはあっても、期待倒れ の語で、期待が倒れるというのはない。~倒れ を見てみると、看板倒れ 計画倒れ 前評判倒れ 掛け声倒れ などがある。食い倒れ 貸し倒れ そして、行き倒れ という語もある。倒れる と言うのが複合語の要素としてつくのは、後者の例である。食い倒れる、貸し倒れる、行き倒れる、これらの語は、動詞を複合語にして名詞形にしたものである。前者の語は名詞に、~倒れ という転成名詞を語構成にするが、名詞の意味に対してそのまま実現しないこと、到達または達成にかかわることが、その通り行われないことを意味する。期待外れは、当て外れで、全く異なった結果を生む場合だが、期待倒れは思いが強くてそのとおりにならなかったほどの意味合いだろう。 . . . 本文を読む
統語文法 日本語の文法について その43 シンタクスと呼ばれる。統語、統辞の訳語を用いて統語論とするとき統語構造を指してシンタクスと言う。単語が結びついて文を構成する場合の文法上のきまりを、形態論に対して、統語論と言っていたのを、それについての研究をシンタクス、シンタックスとも言う、この片仮名で表すことが行われて、文の文法的構造の研究とする。統語文法の用語そのものは形態文法について造語となる。
また文のもつ文法的諸性質に関する研究というとき単語が連結して文をなす上でのきまり、その規則性や原理の研究ともなっていずれにおいても文を前提とする分野である。言語にある語と文を捉えるのは一般に行われることで、そこに文の成立を基本的な事柄として問いかける日本語では統語構造をどのようにみるかが議論されることになる . . . 本文を読む