老いの進む母と重なって
2007年4月7日日本経済新聞夕刊「文学周遊 」を読んでいて「わが母の記」(井上靖著) の存在を知りました。 在庫切れで注文取り寄せだったので忘れかけた頃に読むことになりました。 読み始めて気付いたのですがこの本は今から44年前(まだ認知症という名称が無い頃) に書き始められているのです。 「わが母の記」は ・花の下(80歳の頃) ・月の光(85歳の頃) ・雪の面(~89歳まで) の三部作からなっていて1977年5月刊になっていますがそれぞれ1964年、1969年、1974年に 「群像」で発表されたものだそうです。 現在のように介護問題が一般的な話題になっていない時代なのに、この問題にちゃんと向き合い 老いが進む母親の様子、介護に係わる方々の様子や想いをかなり具体的にはっきりと書いている ことに驚きました。 なので読み終えた時、同じような体験をしている私は戦場で同胞に会えたような気持ちになりました。 そして最後の 「・・・母は長く烈しい闘いをひとりで闘い、闘い終わって・・・」 という文に、これからは介護される側の大変さにも気付かなければとも思いました。 |
時空を超えて (2001年に創作したものです。) ![]() |
偶然にも今朝また親の介護に関する記載(4月22日の日本経済新聞朝刊の文化欄) が目に留まりました。 それは作家 盛田隆二氏の書かれた「幼児のように泣く父」というタイトルで、入所したくない と言い張る父親を介護老健施設に入所させるまでの経緯が書かれているものでした。 なんだか悲鳴のようなものが聞こえてくる文章でした。 これから始まる介護に関わるあれこれを思いつつ”頑張って”の言葉しか思い浮かばない もどかしさを感じています。 さて私は長い介護休暇を終えて、リフレッシュした体と心で介護に復帰です。 安らかな日々になりますように。 |