最後まで読んで、なるほど東野圭吾がよく読まれる理由がわかった。推理小説でありながら、ほろとさせるところがいい。
靖子に金の無心に来た前夫富樫を靖子が殺し、靖子に心引かれる隣人の数学教師石神が、アリバイ工作をする、と言う筋だ。読んでいる途中までは、何故、刑事が富樫の殺ろしの犯人を靖子と決め付ける操作をするのか。遊び人富樫の他の交友関係をあたらないのか、ちょっと断定的過ぎる。「天才数学者」「天才物理学者」との言葉が何度も出てくるのもちょっとどうか、と思った。
ところが、そういう不満を忘れさせるほど、後半の展開がすばらしいではないか。石神の自首と「二重殺人」のトリックにはうならされた。それほどまでにも、自己を犠牲にする石神の靖子への愛、最後の靖子の自首。単なる推理小説に終わらない小説の醍醐味を楽しむことができた。
※コメント投稿者のブログIDはブログ作成者のみに通知されます