功夫電影専科

功夫映画や海外のマーシャルアーツ映画などの感想を徒然と… (当blogはリンクフリーです)

『レディ・スクワッドII』

2014-10-30 23:19:34 | 成龍(ジャッキー・チェン)
「レディ・スクワッドII」
原題:神勇飛虎霸王花
英題:The Inspector Wears Skirts II
製作:1989年

胡慧中(シベール・フー)が率いる女性特殊部隊に、新たな隊員たちが配属されることになった。
先輩の惠英紅(ベティ・ウェイ)や呉君如(サンドラ・ウン)らは、さっそく新人いびりを開始。優等生の梁韻蕊(リョン・ワンスイ)、ナイスバディの葉子[木眉](エイミー・イップ)を始めとした新人組も、負けじとやり返していく。
 そんな中、新たにテロ対策の教官として黄錦[火火火]木(メルビン・ウォン…以下、メルビンと表記が着任してきた。メルビンはとても厳しく、どうやら胡慧中に気があるご様子…。
折しも胡慧中の誕生日が近づいていたため、惠英紅たちは誕生パーティーにメルビンと飛虎隊の教官・馮淬帆(フォン・ツイフェン)を呼び、恋のチャンスを与えようとした。しかし奥手な馮淬帆は積極性に欠け、メルビンにリードを許してしまう。
 その後、女性特殊部隊と飛虎隊の合同演習が行われるも、連携が上手くいかなかったため散々な結果となった。隊長としてのプライドゆえか、馮淬帆は「失敗の原因は女性特殊部隊にある」と主張する。
白黒はっきり付けようと、胡慧中は再び男女間の対抗戦を実施。なかなか融和できない2人の教官だったが、対抗戦の末に始まった馮淬帆VSメルビンのバトルで和解することができた。
ところが今度は国際的な犯罪組織が暗躍し、山中に立てこもるという事件が発生した。さっそくメルビンが人質となり、窮地に立たされる女性特殊部隊と飛虎隊だが…!?

 女性だけの特殊部隊を巡るドタバタを描いた『レディ・スクワッド』。本作はそのヒットを受けて作られた続編で、製作を成龍(ジャッキー・チェン)、監督を錢昇[王韋](チン・シンウェイ)、武術指導を成家班が引き続き担当しています。
キャストもほぼ全員が続投し、今回は前作でチラッとだけ登場したメルビンがメインに昇格したほか、飛虎隊の隊員も何人か扱いが大きくなっていました。ただ新人隊員については、葉子[木眉]くらいしか目立って無かったかな?
 ストーリーは前作よりもギャグとラブコメ描写が増えており、そのぶんアクションが減っています。ただでさえシンシア・ラスロックが抜けただけでも痛いのに、アクションパート自体が少なくなってしまったのは残念でなりません。
主なファイトは食堂でのケンカと男女対抗戦だけで、ラストバトルも肉弾戦は少な目。ボスのダン・ミンツは動きがぎこちないし、またも登場するジェフ・ファルコン(もしかして前作と同役?)すら一瞬で敗北を喫します。
特訓シーンもインパクトに欠け、前作の炎上ランニングみたいな無茶ぶりもナシ。せめてオープニングにアクションを配し、ラストバトルはタイマン勝負で締めてほしかったなぁ…。

 と、このようにアクション面では不満の残る本作ですが、ストーリーは香港映画らしいギャグが満載! しょうもない小ネタが思わぬ形で役立ったりと、笑いのレベルも向上していました。
前作を見ていればニヤリとできるシーンも多く、次第に態度を軟化させていく胡慧中の可愛らしさ、女性陣の華やかな姿も見逃せません。少なくとも「コメディ作品」としては、上手く前作からグレードアップしていたと思います。
 最大の懸念事項だった樓南光(ビリー・ロウ)のキャラも見直されていて、相変わらずサイテーな行動ばかり取っていますが、そこそこ好感のもてるシーンが増えていました。
呉君如からパーティーの招待状を貰って喜んだり、ラストの銃撃戦で色目を使っていた葉子[木眉]ではなく、腐れ縁の呉君如を庇ったり…。まあ、流石にシャワールームを覗いた一件は擁護しきれませんが(爆
 前作を見ないと解りにくい部分があるものの、ラブコメとしては上等の作品。つくづくアクションシーンの薄さが惜しまれますが、香港では再びヒットを記録したそうです。
ちなみにその後、本シリーズは成龍とゴールデンハーベストの手を離れ、錢昇[王韋]によって2本の続編が撮られています。こっちも気になりますが、アクションの割合が本作よりも極端になっていたらと思うと……見たいような見たくないような…(苦笑