功夫電影専科

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倉田保昭、ブラウン管に現る(3)『浮世がるたの裏表』

2014-11-16 23:38:36 | 倉田保昭
「浮世がるたの裏表」
製作:1980年

▼『ギターを持った渡り鳥』や『銀座旋風児』シリーズで日活の黄金期を支え、かの石原裕次郎と人気を二分していた大スター・小林旭。この『旅がらす事件帖』は、そんな彼が初めて挑戦した連続TV時代劇です。
物語は正義の味方が正体を隠しつつ、諸国を漫遊しながら悪党を斬るという『水戸黄門』タイプの作品。主人公である“闇の道中奉行”小林が、幕府の指令を受けて仲間(長門裕之・三浦洋一ら)と共に戦う姿を描いています。
倉田保昭が出演したのは第9話「浮世がるたの裏表」で、この他にも悪代官役として玉川伊佐男も登場しており、奇しくも『闘え!ドラゴン』の2人が再会を果たす形となっていました。

■上州・鬼澤で謎の集団による代官所関係者、および関係する施設への襲撃事件が多発した。ところが代官の玉川は密かに事態を収拾しようと企み、この動きを察知した老中は小林に調査を依頼する。
人手が足りない代官所は、腕に覚えのある連中を雇って戦力の補充を謀っており、小林はこれを利用して潜入捜査を試みた。その際、彼は旗本くずれの無法者・倉田とその愛人(赤座美代子)と知り合う。
 実はこの赤座という女、かつて故郷を捨ててまで江戸に出たものの、夢破れて出戻った過去を持っていた。故郷の村からは拒まれ、今では宿場町でしがない飲み屋を営んでいるが、妹の村地弘美だけは彼女を慕っているという。
そんな折、赤座の故郷は鬼澤の代官所から立ち退きを命じられ、村地の婚約者・潮哲也(彼も『闘え!ドラゴン』出演組)が奮起。賛同する村の者たちと協力し、代官所を相手に抵抗活動を展開していた。
 他にも立ち退きされた村があるらしく、小林は仲間たちと調査を開始した。その結果、玉川が幕府中枢へ取り入ろうと大量の美術品を購入し、その費用を捻出しようと立ち退かせた村で阿片の密造(!)を行っていた事が判明する。
一方で倉田は村地を人質にとり、潮をおびき出して抵抗勢力の本拠地を吐かせようとしていた。助けに向かった小林は捕まり、ここに来て痺れを切らした赤座も斬り殺されてしまう…。
この情報を手土産に仕官が叶った倉田と、根回しが効いて昇進が内定した玉川。なんとか窮地から脱出した小林は、人々を苦しめてまで私利私欲に走る2人を倒すため、“闇の道中奉行”として立ち上がる!

▲今回も倉田さんは憎々しげな悪役っぷりを見せていて、代官所ぐるみの阿片密造という突飛な悪事にも目を引かれます。が、それ以外の点は可もなく不可もなしといった感じで、あまり特筆すべきポイントはありません。
また、冒頭の謎の集団による事件が潮による抵抗活動だと明示されない、赤座がなぜ倉田のような男に引っかかったのか語られないなど、描写の甘さも気になります。このへんはもう少し解りやすく描いて欲しかったなぁ…。
 アクション面では小林の貫録ある動きがサマになっていますが、ボリュームは全体的に控えめ。倉田さんの殺陣は細々としたものしかなく、2度にわたる小林との戦いも非常に淡泊でした。
初戦は何度かジャンプしているうちに終わり、終盤の一騎打ちもあっという間に決着がついてしまうので(まともな斬りあいは5秒間だけ)、内容には期待しない方がいいでしょう。
 とはいえ、銀幕の大スターと倉田さんの顔合わせは実に貴重だし、若干ですが前回より倉田さんらしい動きが見れたと思います。これ以外にも氏は『水戸黄門』等に出演しているので、可能であればチェックしてみたいですね。
さて続いては、ジャンルが変わって刑事ドラマの世界に倉田さんが進出!その活躍を拝見したいたいところなのですが…詳細は次回にて!