功夫電影専科

功夫映画や海外のマーシャルアーツ映画などの感想を徒然と… (当blogはリンクフリーです)

『少林拳王子(少林傳人)』

2013-07-01 23:08:13 | ショウ・ブラザーズ
「少林拳王子」
原題:少林傳人/少林辣撻大師
英題:Shaolin Prince/Death Mask of the Ninja
製作:1983年

▼皆さんご無沙汰です。現在、私事で重要な出来事が起こっており、ブログにタッチしにくい状況が続いています。しばらくは以前よりもスローな更新になると思われるので、どうかご了承下さい。
さて今回紹介するのは、かの秀作『少林羅漢拳』を手掛けた武術指導の大家・唐佳(タン・チァ)の監督作です。本作が作られた1983年は、『プロジェクトA』や『悪漢探偵2』などが公開され、香港映画全体が急速な勢いで発展していました。
本作はそれらの作品と比べると、ちょっと時代遅れ気味です。しかし内容に関してはとても優れていて、あと3年早く公開されていたら『少林羅漢拳』ともども大ヒットを飛ばしていたかもしれません。ですが、時代は淡々と…そして容赦なく変革の時を迎えてしまいます。

■時の皇帝が逆賊・白彪(バイ・ピョウ)とその軍勢によって討たれた。残された2人の皇子は臣下たちに救い出され、1人は宰相の谷峰(クー・フェン)に、もう1人は少林寺の戒律院を守る3人の変人和尚(笑)に託された。
それから20年あまりの時が経ち、宰相のもとで育てられた皇子は爾冬陞(イー・トンシン)へ、少林寺に預けられた皇子は狄龍(ティ・ロン)へと成長。一方で白彪は甥を皇帝に仕立て上げ、影で国家を牛耳っていた。
 そんな中、白彪は皇子たちが生きていているのではと疑念を抱き、同時に少林寺に収められた秘術・易筋経を手入しようと画策していく。爾冬陞も仇討ちのために易筋経を求めていたが、肝心の易筋経は変人和尚たちを介して狄龍に伝授されていた。
さっそく少林寺を尋ねた爾冬陞だが、少林僧でありながら朝廷の犬に成り下がった李海生(リー・ハイサン)たちによって窮地に陥り、狄龍ともども脱出せざるを得なくなってしまう。
かくして、2人は打倒・白彪を誓って一致団結。意見の相違により対立することもあったが、最終的に互いが兄弟であることを知り、少林寺に攻め入ろうとした白彪に立ち向かっていく。果たして勝つのは2人の皇子か、邪悪な反逆者か!?

▲『少林羅漢拳』が謎解き要素の強い話だったのに対し、本作は2人の皇子が悪を討つという単純明快な筋立てとなっています。登場人物たちも個性豊かで、オカルトからホッピングまで飛び出す展開の奔放さも魅力の1つといえるでしょう(ちなみに脚本はあの王晶!)。
 アクションシーンもボリューム満点で、中盤の羅漢陣との激闘は圧巻の一言。『少林羅漢拳』でも似たようなシークエンスはありましたが、ワイヤーワークの縦横無尽さでは本作も負けていません。
さらにラストバトルでは、白彪が変形しまくる御輿に乗り込み、ハチャメチャな暴れっぷりを見せています。こういうギミック重視のアクションは唐佳の得意技ですが、この一戦は御輿と白彪の死に様(見てのお楽しみ)のせいで完全にギャグと化していました(爆
 本作が公開された2年後、本作の製作元であり業界最大手だったショウ・ブラザーズは、経営不振により映画事業から撤退します。ショウブラの衰退は1つの時代が終わった事を意味し、新たな風が香港映画界を包み込んでいきました。
しかし、たとえ変革を経て時代遅れになろうとも、ショウブラ作品は決して輝きを失ってはいないのです。当ブログでは、こうした作品を今後も紹介していきたいと思っています。