功夫電影専科

功夫映画や海外のマーシャルアーツ映画などの感想を徒然と… (当blogはリンクフリーです)

『マスター・オブ・リアル・カンフー/大地無限』

2013-05-03 22:32:33 | 李連杰(ジェット・リー)
「マスター・オブ・リアル・カンフー/大地無限」
原題:太極張三豐
英題:The Tai-Chi Master/Twin Warriors/Tai-Chi
製作:1994年

▼私が功夫映画に目覚めたのは、李連杰(ジェット・リー)の『ワンス・アポン・ア・タイム・イン・チャイナ』系列を見たことがきっかけでした。
しかし当時の私は、李連杰よりも『ワンチャイ』というブランドに執着しており、彼が主演した他の古装片をスルーしていました。そこで最近は未見の李連杰作品をチェックしているのですが、この映画は視聴後に「なぜ当時見ようとしなかったんだ!」と悔やんでしまった1本です(苦笑
本作は『ワンチャイ』と同じく少林英雄を扱った映画で、太極拳の創始者といわれる張三豐に李連杰が扮しています。監督は袁家班の袁和平(ユエン・ウーピン)で、共演には一流の功夫職人たちが勢揃い。アクションのひとつひとつに拘った、実に袁和平らしい作品に仕上がっています。

■舞台は明朝時代の中国。少林寺の修行僧であった李連杰と錢小豪(チン・シウホウ)は、腕前を競いながら鍛錬に励んでいた。しかし、寺の競技大会で反則技を使った兄弟子に対し、錢小豪が必要以上に攻め立てたことでトラブルが起こってしまう。
2人は少林寺を出ることになるが、街では朝廷の人間が傍若無人に振舞っており、市井の人々を苦しめていた。ひょんなことから袁潔瑩(フェニー・ユン)と出会い、楊紫瓊(ミシェール・ヨー)を助けた2人は、役人に追われて反政府派のアジトへと逃げ込んだ。
 その後、功名心の強い錢小豪は役人になる道を選び、李連杰は袁潔瑩たちのもとに残留。やがて朝廷の追求が反政府派に及び、アジトが襲撃を受けてしまった。李連杰たちは雪辱を晴らすべく、宦官・孫建魁を討とうとするのだが、これは出世欲に支配された錢小豪の罠であった。
思わぬ反撃によって反政府派は大打撃を受け、この一件で武勲を立てた錢小豪は将軍へと出世する。そして忠誠心を示すために袁潔瑩を殺害し、捕まった楊紫瓊を救いに来た李連杰を徹底的に痛めつけた。その姿に、かつて少林寺で修行していた頃の面影は無かった…。
どうにか楊紫瓊を助け出した李連杰は、精神的なショックにより心神喪失状態となるが、仲間たちの献身的な介護により復活。少林寺から去る際に受け取った巻物をもとに、相手の力を利用する太極拳の極意に目覚めていく。柔の拳を操る李連杰と、剛の拳を振るう錢小豪…勝つのはどっちだ!?

▲袁和平が監督した太極拳映画といえば『ドラゴン酔太極拳』ですが、本作はそれに負けない完成度を誇っています。まず見事なのがワイヤーワークを交えたアクションの数々です。少林寺での乱戦から始まって、客棧での戦いや孫建魁との決着に至るまで、高度な技の応酬を見ることができます。
李連杰が繰り出す太極拳も非常に美しく、敵の攻撃を流れるような動作で受け流す様は、『ワンチャイ』系列とはまた違った魅力に満ちています。ただ、ラストバトルが李連杰のワンサイド・ゲームと化しており、錢小豪が一方的にボコられるだけだったのは惜しいと思いました。
ストーリーもオーソドックスすぎて意外性に欠けますが、それ以外は概ねクオリティの高い逸品。もし『ワンチャイ』系列で李連杰に興味を持った方は、本作からの視聴をお薦めしたいですね。ちなみに続編の『太極神拳』あまり面白くありません(爆