功夫電影専科

功夫映画や海外のマーシャルアーツ映画などの感想を徒然と… (当blogはリンクフリーです)

『雙輩』

2012-01-22 21:50:19 | バッタもん李小龍
雙輩
英題:Jackie and Bruce to the Rescue/Fist of Death
製作:1982年

●世界を相手に闘った李小龍(ブルース・リー)、そしてコメディ功夫で一世を風靡した成龍(ジャッキー・チェン)。どちらも香港を代表する偉大なドラゴンですが、ファンならずとも一度はこう思ったことがあるはずです…「この2人、戦ったらどっちが強いのか?」
もちろん今となっては叶わぬ夢。李小龍は既に亡く、ジャッキーも随分と年を取りました。この疑問の答えは恐らく永遠に出ることは無いでしょう。しかし、絶対に叶わぬ夢だからこそ、今も多くの人々が思いを馳せているのです。
 ところが、あろうことかその疑問を映画にするという無謀な企画が韓国(と台湾の合作)で立ち上がりました。韓国では、以前にも巨龍(ドラゴン・リー)が主演した『一笑一拳』という同じ題材の大怪作が撮られていますが、本作はあちらほどハジケてはいません。
気になる李小龍役は『死亡遊戯』で李小龍の影武者を演じた唐龍(タン・ロン)が、ジャッキー役は李小明という人が演じています。李小明は別名を程龍といい、羅鋭(アレクサンダー・ルー)の『激突!魔拳塾』でもニセジャッキーに扮した経験を持っているのですが…。

 さて内容についてですが、それほど大したものではありません。精武館の館長がYMCA武館の刺客らしき者たちに殺された。門弟の唐龍は師匠殺しの犯人を探すために動き出し、第三者による巨大な陰謀が動いている事に気付く!……という話ですが、これといって演出にメリハリが無く、非常にユルい出来になっています。
この本筋に李小明が絡むのは開始40分を過ぎてから。それまで深刻なストーリーが続く唐龍サイドに対し、彼の出演パートはコメディ調で描かれていきます。後半にシリアス展開へ突入するものの、かえって作風を統一できておらず、全体的にちぐはぐな印象を残しているのです(ジャッキー作品では絶対にありえない濡れ場を李小明サイドに持ってきているのも×)。
 また、唐龍と李小明のなりきり度はそこそこ高いんですが、アクションシーンは精細を欠いていました。黒幕の腹心を張奔、その手下を白黄基、YMCA武館の門弟を常山、唐龍の兄弟子を韓鷹(イーグル・ハン)が演じてますが、韓鷹以外はみんなロクな見せ場が無いまま退場してしまいます(涙
これら動ける役者を差し置いて行われる最終決戦も実にヒドいもので、バカ映画として突き抜けていた『一笑一拳』の方が遥かに面白いという結果に終わっています。安直に思い付いたネタの安直な映画化…本作はそんな軽はずみな行為を戒める意味を持った作品、だと思いたいです(爆